第17話 それぞれの出発点
このごろ忙しくて全然時間がとれない...。本当にすみません。
キンジはとりあえずアルカデア王国に向かうことにした。
できるだけ身を隠したいところだがまずアリスの様子を見にいくのと、大臣がどこでなにをしているのかの確認をするため入国しなければならない。
キンジは今アルカデア王国の検問所にいる。
「おい、貴様!なにをしに来た!」
「俺は、北の田舎から来た者だ。冒険者になり、旅をしている。」
嘘っぱちを出しながら入国を試みる。
「わかった。では荷物検査だ!!」
荷物検査と言われたが荷物はほとんどアイテムボックスの中だそのアイテムボックスを開くための指輪は口に含み隠してある。
体になにもないか触られながら確認され、うんと頷いて了解してくれた。
「よし!通っていいぞ!」
通ってよしと言われちょっと進んだ後に口から指輪をぺっと出し綺麗に洗ってふいて装着する。
街に出ると人で溢れかえり活気に溢れていた。
人混みにくるのは久しぶりで、すこしくらっとめまいが起こるが慣れるまでの辛抱。
これまでずっと魔物とすごしていた日々が嘘のように平和だった。
今のアルカデアの様子がわからないので、冒険者が集まるところに言って情報収集をすることにした。
まず訪れたのが酒場。ここは冒険者が集まり酒をかわし情報交換をする場所。冒険者ギルドの勧誘や依頼もここで行っていることがある。情報収集にはうってつけの場所だ。
そこで2時間程たっただろうか、情報収集をしたが平和そのものだった。気になったのは帝国がすこし動き始めているということだった。
どうやら帝国の王子様があと何日かたってからこのアルカデア王国にくるらしい。
まだそのぐらいしか情報はない。これは様子見をする必要があった。
久しぶりの生きた人との会話は精神的にも辛い。今まで死んだ人との会話ばっかりだったため、生きた人との会話が難しくなってる気がした。人見知りになって気分だ。
そのせいか体も疲れを感じてきたので休む宿をとることにした。
だが、ここの街のどこに宿があるのかわからない。酒場のカウンターのお姉さんに聞いてみた。
「ここらへんで、おすすめの宿ある?できればお風呂つき。」
「お風呂付きですか...。そうですね、少々高くなるかも知れませんがありますよ。」
「じゃーそこでいいです。教えてください。」
「はい。えーと...」
酒場のお姉さんに教えてもらったとおり道を進み一つの大きい建物が見えてきた。
看板を見てみると「グラテル」と書いてあった。値段も結構いい値段だ。でも朝、夜の食事に個室お風呂付きなので払う価値はありそうだった。
でもキンジにはいまはお金はない。稼ごうにも稼ぐ方法がない。なのであれを使うしかなかった。
グラテルをあとにし、通ってきた道を戻り豪華な装飾が飾られている店にきた。宝石店である。
あれとはレッドアイラビットの目のことで、高値で売れると聞いていたし、金貨1枚ぐらいにはなるだろと思って売りにきた。
「一つ売りたいものがある。」
「ふん。偽物だったら容赦しないぞ?どうだ?叩きのめされたくなかったら帰った帰った。」
宝石店の店主にいきなり追い出されそうになった。まあ、キンジの格好を見る限りいつも宝石を売りに来る貴族の格好ではないから仕方がないのかもしれない。
だがキンジが取り出した赤色の石を見た瞬間、店主の目が驚いたように開かれた。
「レッドアイラビットの目だ。いくらで売れる?」
「か...確認をさせてくれ。」
動揺したような話し方になり、眼鏡をかけて鑑定をし始めた。
「たしかに...本物だ...。90枚。」
「ん?」
「金貨90枚でどうだ?」
金貨1枚でもいいと思っていたがキンジからしたらいい値段だった。だがしかし、店内を見る限りその値段は明らか低いものだった。
ちょっと目を鋭くして言ってみた。
「いや、100枚ぐらいいけるだろ?」
「なっ??」
店主はキンジの言葉に汗を流し動揺した。すこしの沈黙の間、先に言い出したのは店主だった。
「100、いや120にするから許してくれ!!」
顔の表情と声から必死さが伝わってきた。
(まあ、許してやるか。どうせ頑張れ手に入るだろうし。)
「わかった。それでいい。」
「ありがとございます。」
この一つの赤い石が高値で売れて、感謝としてなぜか珍しい宝石が一つ送られてくることになるのは先もっとのことだった。
石一つで金貨が120枚に変わった。これで当分は大丈夫なはずだ。
さっそくグラテルに戻り部屋を借りて休むことにした。
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キンジが入国する2日前に勇者組もアルカデア王国に来ていた。
王室からの招待で近々行われるパーティに参加してほしいと呼ばれたのだ。
「帝国の王子様が来るんだって!やっぱりかっこいいのかな?アリス様も可愛いからお似合いかもね??」
クラスの女子の間で話が盛り上がっていた。恋のお話はこのお年頃の女の子にとっては大好物だ。
そのころ男子はというと。
「やっぱ貴族のお姉さんとかいっぱいいるんだろうな!?」
「やっべ、まじ楽しみだわ!!!」
こっちも興奮して発狂じみた声で叫んでいた。
興奮してわいわいやっている男女とは裏腹に天音は外で椅子に座って夜空を見上げていた。
「キンジくん、私ね。いえ、私達はあのケルベロスに勝ったよ。」
ぎゅっと握りしめ、決意したように言葉を発した。
「前に進むよ。この世界の人たちを助けるために!!」
夜空に浮かぶ星星がキラキラと輝き、月がより一層に美しく輝いていた。
これからは投稿するのを不定期になります。時間があれば書いてますが、文字数も少なくなってしまうかもしれません。




