第12話 嘘と真実
大変遅くなり申し訳ありません。そして、お待たせしました。第12話です。では、どうぞ。
昔は、国と国が協力しあい魔界軍と戦ってきた。そして、キンジたちのように勇者を召喚して魔界軍をもう少しのところまで追い詰めた。のだが、突然の裏切りによって覆されてしまった。
裏切られた、この話はキンジを見ている。錆びた剣に触れた時に見たエイジたちの記憶だ。
そして、エイジの暴走により裏切り者たちはほとんど殺されたが、その生き残りたちがまた裏でなにか企んでいるらしい。その証拠が勇者召喚だ。
「なんでそいつらは裏切ったんだ?」
「それは、この世界、全世界を支配しようとしたんだよ。そして、違う世界。君たちが住んでいた地球を乗っ取ろうとしていた」
「繋がっているのか、ここと地球が」
「まぁ詳しくはあとで話すよ。これはあくまで昔の話だ」
昔の話。それでもまた同じことを繰り返すのかもしれない。それを止められるのは勇者たちのように優れた能力をもった人達でしか止められない。
しかも、今の魔界軍は崩れている。魔界では穏健派が6、過激派が4で6対4で分かれて幸運にも魔王様は穏健派らしい。
「俺が召喚された時の話しだと、とりあえず魔界軍はみんな敵!殺せ!って教わったぞ」
「ん?なぜだ?穏健派が多い今なら平和で解決できるはずだろ?」
「そうだよな。あの大臣め...」
「その大臣の名しってるか?」
「確かウィル...?なんだっけかな?すまんそれしか分からん」
「...」
キンジの口から出た名前。その名前を聞いた途端エイジは黙り込み、目が少しばかりだが殺気を持っている目になった。少しだけなはずなに、キンジまで冷や汗を流し少しびびってしまう。
(少しだけだが、感じる。少しだけの殺気の塊でも濃さが違う)
少し間が空いたあと、エイジが再び口を開き驚くべきことを話してきた。
「そのウィルとかいう老人。気をつけた方がいい。そいつは俺が逃した数少ない裏切り者の1人の可能性がある。つまり黒の可能性が高い」
「そうか。黒か。じゃー俺を落とさせたのはあいつか...」
体からどす黒いオーラがゆらりと現れる。奥歯を噛み締め、目が鋭く睨みつけるようになっている。憎い、自分の生活が狂わせれるのは気分がいいものじゃない。
「うんうん、いいオーラだすね。だけどそれじゃだめだよ?それで、今も君の仲間はウィルによってうまく使われているだろう。助けるのか?」
「いや、俺はあいつらとは手を切った。誰も仲間だとは思っていない。俺を助けなかったんだ、助けないで当然だよ。どうせ死んだことになってるだろ。それに俺は助けたい人がいる」
「アリス姫のことか?」
「なんであんたがその名前知ってんだよ。ずっとこの暗いとこで引きこもってたんじゃねぇーのかよ」
「まぁまぁ、気にするな!それよりもウィルは大臣だ。そして君は知らんだろうが、あのアルカディア王国は大臣がおもに仕切っている。あのアリス姫の『予知』の固有魔法は奴らに渡ったらやっかい、いややっかいどこではなくなる」
「じゃーはやく助けに行きたいが、固有魔法ってなんだ?」
聞いたことのない単語。得意魔法は知っているが、固有魔法はキンジは知らなかった。
「固有魔法知らないのか?まぁそれも含め、君には力をつけてもらわないとね」
「まず固有魔法ってなんだよ」
「それはーーー」
固有魔法。得意魔法の次をいく魔法のことである。魔法を極めたものだけが使える魔法であり、その魔法は得意魔法の威力が桁違いになる。魔力の消費は高くつくが、高威力で範囲や技も増える。
ついでで教えてもらった『無属性』について。それは稀に見る魔法であって、記録はそんなに残っていないが、時間がたったものや、状態が変わってしまったものは戻せない。しかし、固有魔法になればそれは改善するかもとのことだ。
そして固有魔法は極めればなんでも覚えられるというのだ。キンジの得意魔法が『無』でほかの魔法が使えないと思って萎えていたが、自分が馬鹿だと思ってしまう。もっと努力していれば、木の上で休んでサボったりしていなければ、と。
「とりあえずキンジ君。君にはこの魔剣をあげよう」
「あげようって。だからそれ危険なんだろ」
「大丈夫。君との相性いいし、力をつければ問題ないって。だから修行だよ」
「もらってもなぁ、錆びてるやん」
「最終試験として、錆びた剣をもとに戻し、剣に認められれば、修行の終了としよう」
エイジが右手の人差し指をピンっと立てて、いきなりそして強制的に修行をすることになった。
魔剣が突き刺さっていた下に、模様が書かれた岩の円が三つあった。エイジがそれを回すと、下へと続く階段が出てきた。
それを進んでいくと、鉄製の扉が見えてきた。今度はそれほど大きくない、ごく普通の扉だった。
「ここは俺の書斎であり、秘密基地的なものだ。ここ君に上げるよ」
「そんなひょいひょいあげていいのか?あっまぁーもう生きてないし使わないか」
「馬鹿にするなよ、この部屋は本がたくさんあるからもっと多く知ることができるはずだ、この世界のことを」
扉を開くと言っていたとおりに本がずらっとならんでいた。ざっと500冊ほど。とって見てみるとキンジが知らないことがたくさんあった。勇者宿の図書室なんて比にならないほどの内容と本数。
とりあえず自分が気になった本5冊ぐらい持って椅子があるところに移動した。ちなみにピックアップは『固有魔法』『魔力制御』『混合魔法』等々だ。
移動している途中に一つ気になったものが目に入った。壁にかけられた1枚の布。この世界の地図らしいものだった。
しかし、どこかで見たことのある地図だった。
「この形どこかで...」
「反対にしてみたり、すればわかるんじゃないかな?」
エイジに言われるがまま、左右反対にしてみると、現れたのはキンジの故郷である地球の世界地図だった。
「なに?これて地球じゃねぇか。なぜなんだ?なんか関連性があるのか?」
「俺もあんまり知らないんだ。でも関連性があるのは高いね」
「そうか」
この地図を見る限り何かはあるだろう。まぁそれはこの世界を作った神様にしかわからないことなのだろう。ここに来て約1ヶ月ぐらい立つのだろうか。親はきっと心配しているに違いない。これを見る度にはやく帰りたいと思うのだろう。
「いなみに今俺達がいるのはどこらへんなんだ?」
「ここは地球でいうヨーロッパあたりだな」
「へぇ。ってヨーロッパってなんで知ってるんだよ」
「俺だって地球の出だぞ」
「は?」
キンジの頭に?が出ている。エイジは元々地球の人で、召喚されてこの世界に来て、人々を助けるために戦った。
「じゃぁ地球人なのか?」
「だからそう言っているだろう」
「は...はぁ~」
「君は地球に戻りたいんだろう?それじゃ、頑張らなきゃ」
エイジの襲撃カミングアウト。だがもう既に死んだ身であるので霊みたいな姿だが、武士の面影は少しばかりは残っている。
なにはともあれ、キンジの修行の日々が始まったのである。
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アルカディア王国の地下にある一室。人影が四つあった。
大臣リチャードと、同じく大臣である老人ウィル。そして騎士でロニーとガルドが集まっていた。
「どうだ準備のほうは?」
「金次とやらは始末しましたぞ。これで順序よく進めることができる」
リチャードの問いに、ウィルがその問いの返答をすると大変満足そうに頷くリチャード。
「その手を貸してくれた勇者共には褒美を、とあったな。どうしようか」
「計画が徐々に進めばの話ですが、奴らをそこそこよい地位に立たせるのはどうでしょうか」
「ふむ。利点は?」
「裏から操れ、裏切りはできないようにし、最終的には身代わりの役割を果たせると思いますぞ」
「そうか、確かに良いなそれで行こう」
みなが知らないところで動き出した計画が、着々と進んでいるようだった。この計画がこの世界で大変なことになるかは定かではない。
大臣たちの企みは、静かに誰にも気付かれずに動き出したのであった。
どうでしたか?感想を頂けたら幸いです。できるところは直していきたいと思います。次話はできれば4日以内に投稿できるように頑張ります。




