第10話 ロックマン
いやぁ、すみません。ずいぶん遅くんなってしまいました。2月の半ばぐらいまで忙しいのですが、できるだけ頑張ります。では第10話お楽しみください。
無数の光によって道が示されている。階段を降りるたびに、暗闇に進んでいく。あるのはキンジの足音と導いている光だけ。階段は数えてはいないがけっこうな数の階段を降りている。
ついに光がとぎれ、階段を降りきった。降りたと同時に反応するように大きな松明が青い炎をボゥッとともたせた。
そこにあったのは大きな扉で不思議な模様が施されていた。
扉の奥からは何か異様な気配がある。まるでゲームに出てくるボス部屋みたいだ。これ以上に感じたことのない威圧感と見たことのない大きな扉、ボス部屋としか考えられなかった。
「これをクリアして外に出るんだ」
両手で扉を押し開ける。中は真っ暗で何も見えない。入ってきた扉がゴゴゴゴ...と音を立てて閉まってしまった。
さっき扉の前にあった松明と同じようなやつが多数いきなり燃え始めた。青い炎の光によって何も見えなかった暗闇が照らされる。
キンジがいる場所は何も遮蔽物がなく、ただ四角形に柵で区切られた場所で柵には四角形に1周する分の松明が取り付けられていた。柵の外には無数の鉄の槍が天井に向かって設置されていた。まるで闘技場みたいな場所だ。
この部屋に入る前に感じたただならぬ気配があったのにもかかわらず魔物1匹すらいなかった。ものすごい違和感を感じながらもとりあえず中央まで行ってみる。すると突然上から殺気を感じたので、後ろに下がった。
ズドォォォン
上から大きな岩が落ちてきた。そして岩が動き出し、重なったりして岩の巨体を作り上げた。その姿はまさに岩のゴーレム、ロックマンだった。
体長5m近くある岩巨人。胸の中央に赤く光る宝石らしきものがあり、これまでに見た中で1番大きな魔石だった。あの魔石が岩どおしをくっつけているのだろう。
体長が5mもある巨人。接近武器で1人で挑むなんてただの自殺行為だ。何人かのパーティーを組んで挑戦するのが無難だろう。遠距離武器も持っていないでしかも単独では勝ち目など無いに等しい。しかし、キンジならば可能性はある。あの赤い魔石にさえ触れて『無散』を発動して消せばいいのだ。ただ問題があるとするなら、魔石が届かない位置にあることぐらいだった。
「やるっきゃない...」
剣を抜き攻撃態勢に入った。先に動いたのはロックマンだった。大きな腕を振り上げ地面に叩きつけた。
ズドォォン
下から振動が伝わってくる。ものすごい威力だった。まともにくらえばミンチ確実だろう。しかし動作が遅いのでよけられるが、上から岩が降ってくる。ただのグーで地面に叩きつける攻撃ではないようだ。上から降ってくる岩は地面に影が写っているのでよけられる。
ロックマンはその巨体のせいか動きはそれほどはやくない。うしろにまわってしまえばキンジのほうが有利だ。
『無散』を魔力付与し、うしろにまわり足の部分の岩を斬る。
「はあぁぁ!!」
複数の岩が体から分離して、離れた岩は消える。ズドォォォンと音を立ててバランスを崩した。体勢を崩している状態ならばどうにかすれば魔石まで届きそうだったが、先ほど落ちてきた岩が飛んできて足の部分がもとに戻ってしまった。
「そのための岩だったのか、くそっ」
ロックマンは再び立ち上がり、怒りを表すように左右の腕をぶつけながら叫びだした。
「ウゴォォォ」
「って、お前しゃべんのかよ」
ロックマンから距離を取りつつ、ツッコミを入れていたがツッコミを入れている場合ではなかった。
動きが活発になりちょくちょく岩が落ちてくるようになってしまった。岩は移動の妨げになって行動が制限されてしまうし、岩を消して崩したとしてもすぐに直されてしまう。
「一気に片ずけるしかない!!」
さっきと同じようにうしろにまわりからの攻撃をしようとしたのだが、ロックマンが両腕を振り上げていた。
(これは、やべぇ。やばいやつだ)
バックステップでうしろにさがろうと飛ぼうとした、が気づいたらすでに体は宙に浮いていた。一回転し着地する。火竜戦で吹っ飛ばされていたので、一回転できるぐらいの地面との高さがあれば地面にきれいに着地するのは容易になっていた。
無事に着地できたのはよかったが、ロックマンは次へと行動していた。体から黄土色のオーラは溢れ出る。土属性の魔法だ。上から落ちてきた岩が組み合わさってミニゴーレムが誕生した。その数はだいたい10体ぐらい。
ミニゴーレムが存在することによって簡単に背後にまわりこめなくなってしまった。しかし、キンジはうしろからの攻撃なしじゃ勝ち目などない。正面から突っ込んだら即ミンチにされ、側面からだと範囲内だったらミンチ、完全にまわりこみミニゴーレムも消すしかない。
『無散』の魔力付与を継続して片っ端からぶった切っていく。ミニゴーレムの数は10体。攻撃はそれほど脅威ではないが、邪魔だ。ロックマンの様子をチラリと見たが動く様子はなかった。
どんどん数を減らしていくが、それでもロックマンは動かない。
残り2体となったときにようやく動き出した。
(もしかしたら、ミニゴーレムが出てる時は動けないのか)
ロックマンはミニゴーレムが残り2体になった時再び動き出した。しかもミニゴーレムには魔石のようなものがなかった。ということはロックマンが魔力を通して動かしているしか考えられない。その証拠に動けないのだ。残り2体のミニゴーレムはロックマンが動き出したと同時に崩れた。
ロックマンからまた黄土色の魔力が溢れ出る。またミニゴーレムが生成された。今度は20体ぐらいだ。動きが停止するのを確認して、キンジも動き出した。
『無散』では消しても岩が残ってしまうことがある。それもまだ理解していない分、『無』のほうを使った方が良さそうだ。
『無』の魔力付与をする。そして《作られた》という出来事を無しにする。これで、あとかたもなく消えるはずだ。
このまま長期戦になっても魔力がもたない。ここで決めるとめいいっぱい力がはいる。そして一気に走り出す。
ミニゴーレムをどんどん処理してあと5体のところまでもっていく。ロックマンは動いていない。
「そう今、このタイミングぅ」
足をぶった切った。そしてさっきと同じように崩れる。残り5体となったミニゴーレムはただの岩に戻っていた。
岩が飛んでくる前に体に乗り、よじ登って肩の位置するところまできた。そして飛び降りて胸のところにある赤い魔石を真っ二つにした。
グガァァァァ
ボロボロと岩が崩れていく。終わりかと思ったがまだ終わりではなかった。ロックマンはキンジぐらいの身長のサイズになり、リトルロックマンになっていた。
距離をとろうとして下がろうとした時、右肩に突然痛みが走った。
「うぐっ」
後ろから岩の槍で右肩を貫かれてしまった。リトルロックマンは1体ではなく、複数作られていた。
右肩に熱い感覚が残っている。リトルロックマンの総数約30といったところ。さっきまで優勢だったキンジがだんだんと劣勢になっていく。
前からくる攻撃を避けても、うしろからの攻撃により体は傷ついていく。身体中から血が滴り落ちている。
左手を右肩の傷に添えて。『無』を発動。傷が治っていくが、貫かれた時の痛みが襲う。
「あがぁ、はぁ、はぁ、ははは...」
笑うしかなかった、それでもやるしかない。生きるためにこの戦いに勝たなければならない。再び動けるようになった右手で剣を握りしめる。
1vs30という理不尽な戦いが始まった。キンジの体から紫色のオーラが出ている。
リトルロックマンをきってきってきりまくる。が、崩しても崩しても再生していく。30からまったくへっていない。それに対してキンジは魔力が残り少なくなってきているのをなんとなく感じていたので『無』と『無散』はむやみに使えない。でもこのままではキンジが劣勢のままだ。
主体のリトルロックマンを探すがみんな同じ形でわからない。ロックマンがほんとに小さくなっただけなら、動かないはずでは?
キンジの頭がこの状況ながらもフル回転する。キンジの予想は的中していた。30体の中でも動いていないやつが1体だけ奥にいた。
「みーつけた...」
キンジの体も限界が来ていた。次の一撃で決めるほどの魔力はわずかにだがあった。
足に全体重をかける。紫色のオーラはさっきよりもわきだっている。そして、ためていた力を一気に爆発させる。
「はぁぁぁぁ」
さっきキンジがいた場所にはクレーターができていた。主体のリトルロックマンに一直線。それをさせまいと他のリトルロックマンが壁になる。
「邪魔だ、邪魔だ、邪魔だ!!俺の邪魔をするなぁぁぁ」
一閃。
リトルロックマンたちは白い光となって消えていった。
「勝った...」
バタッ
キンジの体は力が入らずそのまま倒れてしまった。どこも動かしたくない。動きたくない。感じたことのない感覚。魔力の枯渇である。少し魔力が戻るまで体は重く、動けない。
最後の一閃によって、ロックマンを排除することに成功し、キンジは勝ちをおさめた。
キンジの体はもうボロボロだった。未だかつてないほどに。床に血が飛び散っているし、あきらかに貧血&貧魔力コースだった。
服ももう上半身に関しては来ていないと同じような感じで脱いでしまった方が良さそうだが体は動かないので保留。
剣は折れてしまい、『無』による修復はダメだったようだ。
『無』や『無散』に関してまだわかっていないことがあるようだった。
真っ暗な天井を見ながら魔力の回復を待っていたが、気が遠くなっていき眠りについてしまった。
キンジ君、勝利!!(パチパチパチパチ)
キンジ君の独り言が続いて申し訳ないですが、そろそろ会話相手ださないといけませんね(汗)
あと閑話もどっかで挟みたいとおもいます。




