プロローグ
初投稿なのでどうぞお手柔らかに...
暗闇の中、一人の少年神道金次は一筋の光を見ていた。その光は、だんだん小さくなっている。今なにが起こっているか何もわからず、ただ小さくなってゆく光を見つめることしかできなかった。
キンジは今、暗闇に向かって落下している。小さくなってゆく光、それは、松明の光である。ダンジョンを探索中、ある出来事があり、巨大な裂け目に落ちてしまった。しだいに、光は無くなり真っ暗闇となってしまった。自分の死を覚悟したキンジは、走馬灯を見た。
キンジが、なぜこんな絶望的な現状になっているのか。なぜこんな不幸を味わっているか。ある出来事までの経緯を。
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ピピピピピピッ。
「んんっ...」
キンジは、まだ覚醒しきっていない目をこすりながらつぶやいた。
「朝か...あぁ~だるいな」
今日もいつもの時間に起きる。昨日は徹夜をして、ずっとゲームをやっていた。学校があると思うと非常にだるいのだ。キンジは、地元の高校に通っている高校二年生だ。
キンジは、徹夜で眠いと言っている体を無理矢理動かしながら、朝のHRの開始ベルがなるギリギリに教室に入った。すると、朝から舌打ちされたり、睨まれたり、侮蔑の表情をしたりと、主に男子からでている。そのなかから、声があがった。
「よぉ、神道。今日も遅いな。徹夜でゲームか?まぁーゲームやることしか脳にねぇーもんなぁ」
「なんであいつみたいのがこの高校にいるんだか」
その声を発したのは、毎度キンジが教室の扉を開けるとちょっかいを出してくる清水悠斗である。清水の周りでゲラゲラと笑っているのは、篠崎駿、岡田樹の二人で、清水も合わせてキンジをいつもからかってくる三人組だ。
キンジは、その言葉を無視しつつ自分の席に座った。キンジの通っている高校は近くの高校よりレベルの高いエリート高校だ。中学校までは必死に勉強しており、この高校に入るには充分だったが、高校に入ってからは勉強のやる気を持てなくなり、ずっとゲームばかりしている。ゲームをしていてもこんなにも蔑まれる理由は2つある。
一つはこの高校はエリート高校であるため、テストの結果などで生徒の中での差別意識が高いのだ。ほかの高校の平均的なレベルまで落ちたキンジは、ここの高校では雑魚扱いされてしまう。
そして、二つ目は幼馴染である。その幼馴染は、学校の中ではだんとつの美女である。成績優秀、運動神経抜群、黒髪の艶やかなロングヘアー、完璧の天才美女である。入学して二日目でファンクラブができるほどの大物だ。
「あっ、神道くん。おはよう!」
その噂の彼女、姫川天音が話しかけてきた。
「ああ、おはよう」
普通に朝の挨拶を交わした、ただそれだけ。ただそれだけなのだが、まわりの男子からは殺気のようなものがこっちに向けられている。その冷たい視線に冷や汗を流す。
朝の挨拶を交わしていると、姫川がいつも絡んでいる三人、神崎愛香、不知火大和、火神龍也が歩いてきた。この姫川グループの4人は小学校から仲なのだ。
神崎愛香は、セミロングの黒髪をひとつにまとめており、すらっとした体に、切れ長の瞳は鋭く、凛とした声、運動神経抜群のかっこいい系の美女だ。
不知火大和は、イケメン。俗に言う王子様だ。勉強も運動もできる、大半の女子から好意をもたれておりモテモテ体質の男子だ。
火神龍也は、運動神経はいいが、勉強の方は平均的な脳筋タイプだ。熱血漢がピッタリといえる。そして、大和の幼馴染だ。
「神道、おはよっ」
「神道くん、おはよう」
「よっ、神道。おはよう」
この三人はキンジ対して、普通にフレンドリーに接してくれる。
「あぁ、おはよう」
普通に朝の挨拶を交わす。
「神道は相変わらず、男子にモテモテだなぁ」
「僕は、なにもしてないです。普通に朝の挨拶しただけです」
「神道くんは、いつも大変だね」
「神道ぉ、ふぁいとぉぉぉぉ」
「龍也は、いつもそれだな。なんの励ましにもなってないよ」
そんな会話をしていたら、担任の先生が教室に入ってきた。
「さっさと席座れー朝のHRはじめるぞー」
先生の号令から憂鬱な1日が始まった。徹夜した体は、先生の話しを聞いてるうちに耐えられなくなり、視界が真っ暗になった。
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「はっ...」
教室が騒がしくなり、強制的に覚醒させられた。気づけば、四時間目が終わり昼休みになっていた。親が共働きなので、弁当を作ってくれる余裕なんてなし、朝早起きして作る気力はない。いつもの購買のパンを買いに行こうとして席を立とうとした時、
「神道くん、今日もパンにするの?体に悪いよ、おかずあげよっか?それとも...作ってあげようか?」
「えっ...」
天音から発せられた爆弾発言は教室投下された。すると、その発言を聞き逃すわけもなく...
「なんであいつが?」
「雑魚が調子乗るなよ?」
「まじでくたばれ...」
主に清水グループから罵声を浴びせられ、ほかの男子からは冷たい目で睨まれる。ただはなしかけられただけでこの調子である。
「大丈夫だよ、気にしないでくれ」
「そお?別に遠慮しなくても...」
「いざとなればコンビニでサラダでも買うさ」
「え~まぁーそう言うならいいけど...」
天音は頬をぷぅ~と頬を膨らませながら納得する。キンジ的には作ってもらいたいと思っているが、そんなことを言ってしまったら、自分の身が危うくなるのはわかっているので遠慮しておく。大和たちが天音を呼んでいるようなので、
「ほら、大和たちが呼んでいるぞ。行った方がいいんじゃないか?」
「神道くんもいっしょに...」
「僕は1人で落ち着いたところでところで食べるのが好きだから遠慮するよ」
「そっかぁー、そういうなら仕方ないか」
天音は大和たちのところに行くと、不満そうに頬を膨らませている天音に、
「天音は昔から神道につきまとってるねーやっぱりまだ神道を...」
「な...なに言ってるのよ愛香は、そ...そんなわけ...」
「なにいってるんだ愛香、世話好きなだけだろ。昔からなにも変わってないな天音は」
「はぁー大和はいつになったら『それ』がなおるんだか」
「それとはなんだ??」
ツンデレみたいな発言をしつつ頬を赤く染めている天音。昔からキンジのことは好きなのだが、気持ちを伝えられないでいる。周りにもばれないように隠してきたが、愛香の目は誤魔化せなかったらしい。大和の『それ』とは、恋愛から無縁な生活をしてきたためそういうことには鈍感という意味である。
姫川グループがそんな話しをしているなか、キンジはいつもどおり購買に行きパンを適当に買い、屋上に向かった。屋上にはベンチがいくつかあり1番端にあるやつによいしょと座った。
「はぁーやっぱりここは落ち着くな、ここの高校やつらは勉強やることしか頭にないのかな、ほかの高校はみんなで楽しくワイワイスクールライフをおくってるんだろうな、なんでこんなとこ入ったんだろ」
心に思っていることをぶちまけつつパンにかじりついた。温かいお茶を飲みながらポケ~っとしていたらチャイムが鳴り、静かだった昼休みは終わりを告げた。
教室に戻り五時間目の準備をしいつもどおりに目を閉ざし五時間目開始の号令とともに居眠りを開始した。そして、気づけばこくこくと時間が過ぎていき下校時間になった。天音とは家が近いため極力帰宅時間が被らないように帰っているのだが、今日は帰り道の途中でばったり会ってしまった。
「あっ、神道くんも今帰ってるんだ、みんな部活とか用事でいないから一緒に帰ろ!」
「あ...あぁ」
周りに男子共がいないか確認した後、承諾する。
「ねぇ神道くん、なんで勉強しなくなっちゃったの?なんかあったの?」
「ははは・・・それをここで聞きますか」
「だって気になるんだもん」
「まぁ単純な話しだよ、ただ飽きたさ中学までは必死にしてさ高校にはいるまではよかったんだ。けど、勉強してなにになるんだろうって考えたとき自分のには将来の夢なんてものはなかっただけさ」
「そっか、でもこれからそれをみつけていけばいいじゃない。それに、夢がなくても勉強は大事だよゲームばっかりしてちゃだめだぞぉ~」
「うぐっそれを言われたらなにもいいかえせん」
「ぷふっ」
ふふっと笑う彼女を見るとなんだか懐かしい気分になっていた、そんな他愛ない話をしているうちに家に着いてしまった。
「それじゃまた明日」
「うん、また明日ね」
別れの挨拶なんていつぶりだろうかなど考えながら帰宅した。ただいまと玄関の扉を開け、自分の部屋に行きなめらかな動きで制服をぬぎ部屋着に着替え、慣れた手つきでゲームを起動、そのままゲームの世界に入っていった。親はどちらとも帰りが遅い、なのでいつも自分で夕食を作る。作るといっても、カップラーメンや冷凍食品などを適当に準備して食べている。天音から帰り途中に言われた、勉強しなきゃめっだよ、などといわれていたのを思い出し
「久しぶりにやるか、だるいけど」
などつぶやきながら自室に戻り今日の授業のノートをまとめた。勉強しているうちにうとうとしてきたので時計を見てみると、夜の12時過ぎていていままでなら余裕で起きてられる時間だが、今日は異様に眠かった。お風呂に入り体をきれいにしてから、布団に入った。
「この世の中に自分がなりたいものなんてあるのか?」
自分の将来のことなんて考えたこともないためつぶやいていた。ゲームのプログラマーになろうかと思ったが自分はやる側のほうが適していると気づき断念した。近くにあるゲームを見ながらこんなことを思ってつぶやいてみる。
「ゲームの中みたいな世界があったら、きっと楽しいだろうな」
そんなつぶやきをしているとうとうとしてきて寝てしまった。
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(誰か...誰か...助けて...誰か...)
「はっ...」
なにか聞こえたような気がして目が覚める。きょろきょろしてみるが周りには誰もいない。カーテンを開けて外を見る。けれど誰もいない。
「夢なのか...」
あの助けを求める綺麗で透き通った少女の声、思いかえしてもなにも頭には浮かばない。時計を見てみると、目覚ましより先におきてしまったようだ。二度寝しようという気分になれなかったので朝食をとりいつもより早く学校に行くことにした。
教室に入ればいつものように蔑まれるが、気にせず席に座った。そしてまた退屈な一日が始まったのだが、キンジは今朝の助けを求める声が頭から離れなった。なんだかいつもとは違うキンジを見て、天音が気になってしまい。
「なにかあったの神道くん?」
「えっ...あぁなんでもないよ気にしないで」
突然声をかけられて少し驚いたが、他人に相談できるようなことではないのでいつもの「気にしないで」を使う。天音の頭上には?がいっぱいでていたがスルーしておく。
今朝の⦅声⦆が気になりすぎてなにも頭がはたからず、結果的にいつもと同じような生活になった。帰りのHRで先生からの話が終わり教室を立ち去ったあと、みんなが帰ろうとしたとき。教室の床に大きな魔法陣が出てきて光り始めた、
「えっなにこれ」
「これってCGなのか?」
「それにしては現実的だろ」
「えっそれはないだろ」
生徒から困惑した声がたくさんあがり、光が大きくなり魔法が完了したかのように白い光が教室の中で爆ぜた。
「うっ」
まぶしい白い光がキンジの目を強制的に閉じらせる。そして、だんだん光はおさまってゆく。すると、いたはずの生徒たち40人は忽然と姿を消してしまったのである。
次話は、準備ができ次第投稿します。