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武装精霊 RDO  作者: 改樹考果
3.黒い者と駆ける地下迷宮編
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Scene99『かつての出来事は今へと繋がる(後)』

 「クリプティッドのコードネームは、基本的に伝説上の化け物の名前になっとる」

 「ケルベロスとかベヒモスとかゲームとかで聞いたことがありますよ。部隊名と集められた人達に合わせたって感じなんですか?」

 「そうじゃな。単純な話じゃが、それぞれの特異性や戦い方などの特徴から連想しとるようだったの。ケルベロスなら一つの行動で三つ以上の結果を必ず出すや、ベヒモスなら人類最強の肉体と格闘能力などな」

 「……フェンリルは?」

 「戦った相手の技を盗むじゃよ。武術の神なんぞ呼ばれとった奴らからもことごとく盗みよりやがったからな……さっき私がボコボコにしてやったと言うたよな?」

 「はい」

 「日本から出立する頃には技を掛けることすらできんようになっていたな……あのまま続けておったら、わしの方がボコボコにされとったかもしれん」

 「北欧神話で世界を飲み込むとか、オーディンを食い殺したとかそういう話をとらえてってことですか?」

 「そういうことじゃな。ケルベロス曰く、元々あった高い素質がゲームによって花開き鍛えられてそうなったとか。まあ、昔っから各国軍はゲーマーを登用しておったのはそういうところがあるらしいからの。まあ、奴はそれの化け物系といったところかの? なんにせよそれによって奴はクリプティッドのエースにまでなったのは事実じゃよ」

 「つまり、一度見せた戦い方は通用しないどころか奪われるわけですか……」

 「そういうことじゃな。勿論、奴ができる限界はあろうが、そうでなくても即座に対応されてしまうのは間違いないじゃろうな。まあ、奴と戦う状態になったらそのことを念頭に置いておくことじゃ」

 「わかりました」




 クリプティッドの戦力はDEMの施設を破壊するたびに増えていった。

 それは奴らによって作り替えられた中で、比較的成功例として生き残っていた者達。

 復讐、あるいは自分と同じ人達をこれ以上増やさないために。

 様々な理由からクリプティッドのメンバーは増えていった。

 もし仮にこれが正式な軍隊による実験であったのならこうはならなかっただろうと言われている。

 何故ならDEMの多くが研究者であり、己が研究の成功しか考えていなかったからだ。

 助け出されるという事態を想定しない、いや、関心を持っていなかった。

 なんらセフティーが掛けられていないが故に、助けると共に味方が増える。

 そんな風に戦力を増していったクリプティッドは、彼らのために新造された超大型潜水戦艦『パンドラ』を使い世界中を転戦。

 電子の世界を舞台にVR体の情報を手に入れんがために電子戦を繰り広げ、激しい戦いにより世界規模で電子ネットワークが機能停止する事態を引き起こし。

 中国からロシア、ロシアからアラスカ、アラスカからカナダ、カナダからアメリカ、アメリカからメキシコ、メキシコから中南米、中南米からEU、EUから中東、中東からアフリカへと転戦し、一つ一つ研究施設を潰す度に更にDEMによってサイボーグ化された者達がクリプティッドの仲間になり、支援者は増え、ついにはアフリカの奥地までDEMを追い詰めることに成功する。

 だが、そこでは仕留めきれず、衛星軌道上に逃げられ、ラグランジュポイント、そして、月に建造されていた本拠地にて最終決戦が行われた。

 クリプティッドの半分が犠牲になるほどの激戦の末、DEMをとうとう壊滅させる。

 同時に完成体と称された少女を保護し、あまりにも特殊過ぎ治療困難なほどのサイボーグ化が施された彼女をその知性知能を見初めた天野歌人に預けると共に、クリプティッドはその役目を終え解散した。




 「完成体って?」

 「組織名であるデウスエクスマキナという奴じゃよ」

 「か、神様作っちゃったんですか!?」

 「詳細は教えられんが、それに相応しい機械化能力を持っておるよ」

 「機械化能力……ヴァルキューレ。いえ、AGモード、AGスーツ阿修羅もその類なんでしょうか?」

 「ああ。わし達の耳に入ったフェンリル、いや、ギルバートの最後の行動はまさにそれじゃったからな」

 「DEMを倒しても、全てが終わったわけではないんですね」

 「そうじゃよ。ジボシンのレセプションでテロを起こした馬鹿な連中しかり、世界各国にはDEMの信者が隠れ潜んでおったからの。だからクリプティッド解散後、ギルバートはPMScsフェンリルを設立したんじゃ。サイボーグ化深度が深いために一般社会に戻れない仲間達の受け皿になるためというのもあるがな」




 世界同時食糧危機を解決し、ついでのように世界大戦を終戦させたQCの存在は世界中から注目された。

 終戦時の約定により日本政府と天野歌人の手により各国でQCが建造され、さらにQC同士を繋ぐQNが一般に開放される。

 DEMとクリプティッドによる電子戦によって電子ネットワークが崩壊したことにより、クオンタムネットワークへと変わる必要性があったからだ。

 それにともなってAR技術が普及し、VR技術が発展。

 戦傷者のために急速発展したと偽り、DEMから手に入れたサイボーグ技術が一般医療へにも使われるようになる。

 これには戦後復興のための人手を確保するという意味合いもあったが、あまりにも犠牲者が大きかったが故に人手の解消までには至らず。

 その追加手段として自動兵器技術の民間転用などが行われ、世にロボットが溢れることになる。

 これらにより多くの人に余暇が多く生まれ、VRへの熱が高まりVR技術への開発が過熱化。

 天野歌人の忠告がある中、強引な研究が行われ、過度に依存する者達が現れ、重度のVR症発病者が現れるようになり社会問題化。これに伴って、VR耐性などの対策が作られることになった。

 この間、PMScsフェンリルを起こしたギルバートはクリプティッドから残った一部の仲間と共に、かつての支援者の協力を得ながら、DEMの残党と彼らを匿う者達との水面下で戦いを繰り広げていた。

 少しずつ第三次世界大戦の影響が抜けていき、世が平和になっていく。

 そう誰もが思っていた裏で、どこの国も負けもしなければ勝ちもしなかった状況に不満を募らせていた者達がいた。

 主に軍や軍事産業が不穏な動きを見せ始め、それを煽るようにDEMの残党は動く。

 一PMScsでしかないフェンリルのみでは抑えきれないほどその動きは高まり、クリプティッドを作った者達が再び集まり、天野歌人から一つの作戦が提案される。

 なにも知らない者達のガス抜きとそれによってなにが起きるかを思い知らせるための、軍事QCとQNの普及により発展した自動兵器のみの世界大戦。

 表向きは平和な第四次世界大戦の勃発である。



 「人によっては大規模な軍事演習でしかないという見解がありますよね」

 「そうじゃな。結果として表向きは誰一人死んどらんしの」

 「ということは裏で?」

 「おう。再結成されたクリプティッドとDEM残党との戦闘でかなりの死者が出ていたな。もっとも全員、表では存在していない幽霊じゃったからな。戦死者には数えられなかったというわけじゃ」

 「それにこの時の成果で軍人の必要性が更に下がり、第三次世界大戦前から始まっていた軍による人件費削減が加速化。職を失った大量の軍人やPMCによる犯罪や自殺者が急増してますものね」

 「そうじゃな。それを第四次世界大戦の最大の被害だと言っている者もおるな」

 「治安悪化を懸念した各国により彼ら専門の対応会社が設立されてからはそんなことがないって話ですけど……一応、これって天野歌人さんが世界を救った三度目の話ですよね?」

 「そうじゃな。自動兵器が主力であるために、人類史上初めて人が死ななかった戦争と呼ばれ、同時に掛かったコストが人類史上類を見ないほどの額になったことにより、二度と戦争を起こさない世界条約が交わされた。これによって人類は恒久的な平和を手に入れ、第四次を提案した歌人は世界を救ったと賞賛された。ってことになっとるがの。実際のところ、世界は救いきれとらんのが現状じゃな」

 「まだギルバートは英雄のままですものね?」

 「そうじゃ。この件で確かに多くのDEM残党を狩ることはできた。だが、完全には無理でな。結局これの影響で新たな信者を増やすことになっての。結局、ギルバートはPMScsをそのまま続けることになった。まあ、あと少し、あと少しというところじゃったからな。わしらはそれを出来る範囲で応援しとったよ……じゃが、一年前の話じゃ。最後の残党が潜んどる研究施設が破壊されて以降、PMScsフェンリルはわしらの目すら届かん闇に潜みよった」

 「そこでなにかがあったんですね?」

 「そうじゃろうな。なんせそこはAGチルドレンと呼ばれる人工的天才を製造研究する施設じゃったからな」

 「日暮翼……ちゃんがああなった場所」

 「わしらがわかってる話はそう多くないが……一年前のことじゃ」

もうちょい過去語りは続きます。


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