第9章
この季節に洗濯はキツい重労働だわ
ところで何月何日なんだろう?
白い息が出るぐらいの寒さは解るけど
私がタイムスリップした時は11月の末だったけど……。
「はぁヨッコラショ♪」
洗濯機だったら充分に脱水できてるけど手洗いって水分量が半端ない!
「愛美さん、手伝いましょうか?」
「さ……齋藤さんに雑用なんて頼めません‼む、無理です。」
「食事係も外されて……屯所にいる時は普通に皆と同じ事を分担してるんだが」
「齋藤さんのイメージがってゆぅか齋藤さんはクールな感じで……」
「その『クール』とは?」
「えっとあの……説明するとか私、下手なんですがクールとは外見的に判断して齋藤さんは家事とかやらないって勝手な想像なんですけど……。」
「僕だって普通に皆と同じ事はこなすよ。ただあまり人と関わりたくない。」
なるほどね……。クールじゃなくて皆とはしゃぐのが恥ずかしいとか?(笑)
あっこの羽織、少しいたんでる……。
後で縫わなくちゃ。
「齋藤さんのお陰で洗濯が早く干せました。ありがとうございます」
私は齋藤さんに一礼してお礼を言った。
「いや、こっちも屯所の用事が出来て、良かったよ」
ペコッと頭を下げ桶を持ち私は次の仕事に向かった。
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愛美ちゃんダッシュしてます。
と同時に
「愛美ちゃ~ん退屈だよぉ」
追われています。
「新八さん私は忙しいので他に当たってください。」
さすがに着物でダッシュは追い付かれてしまうので裾を捲り廊下をバタバタしておとなげないんだけど用事と言いながらもする事がないので廊下で鉢合わせして鬼ごっこ状態なだけなんだけどね。
「走るの早いよ愛美ちゃん!もう疲れた降参だよぉ……」
「私もはぁはぁ……疲れました(笑)もう鬼ごっこ止めませんか?」
二人で顔を見合わし笑いながら廊下で永倉さんと話をしていたら
「うるせい!誰が廊下を走ってやがる」
出ました!鬼!本物の鬼!
「出たぁ!鬼が来たぁ」
と同時に今度は三人でダッシュダッシュ
私、永倉さん、そして土方さんの三人で鬼ごっこが始まり今度は
「……トシ、おとなげないぞ」
近藤さんの登場で鬼ごっこが終了。
土方さんが最終的に説教され解散になったが私と永倉さんに
「お前らが悪いんだぞ!」
と言いながら睨まれました。
マジで理想像と現実はギャップがありすぎで私は謝りながら笑ってしまい、永倉さんも連鎖され笑ってるとゲンコツを頂いてました。
「おっかしい~♪もう涙が出るぐらい笑えるし」
「ゲンコツ痛いんだよ!副長さぁすぐむきになるから愛美ちゃんはゲンコツはなかったけど絶対に説教されるよ」
「根に持つタイプね、最悪ぅ……」
「たいぷって何?」
「あっ何でもないです。新八さんも説教されに着いて来てくださいね」
「俺はゲンコツで充分だよぉ」
まるで弟みたい(笑)
永倉さんはまだ学校に通う年齢なのに毎日毎日が危険な仕事をしているんだなって思ったら幕末じゃなく便利な世の中に生まれてきて良かったって思った。
「説教されに行って来ますね」
はぁ……と溜め息をつき土方さんの部屋に向かった。
「あ……のぉ土方さん、愛美です。入ります」
「入れば……」
今、拗ねてますか?
やってしまったとは言え参加した土方さんも土方さんやん‼
襖を開け、落ち込んでる土方さんかなって思えば……
そこに居たのはゴロンと寝転び案の定、拗ねた子供の様になってる。
「それにしても走るのに裾までまくりあげて楽しいか?」
あっ!怒られるのそこ?
確かに初めて来た時に注意されたけど今日は長い説教なんだろなって
思いながら下を向きシュンとした様子に見せかけ実は耳日曜日です。
「だいたい初めに言っただろ?女子が足を出して人前をウロウロするなって……」
「すみませ~ん」
「謝る気持ちが伝わらん。俺は別に近藤さんにお前らのお陰で怒られた事とか気にしてないけどな!しかもそれ見て笑うか?ほんと愛美が※◇*〒☆▼£¢……」
長くなりそうってとこから私は下を向いたまま寝て説教が話半分から夢の中に入りそうでウトウト気持ち良くなってきた。
「おいっっっ!!起きろ馬鹿女!!」
ひゃっ!マジで寝てしまった……。
しかも流行りのアゴクイで(笑)
普通ならアゴクイされドキドキするはずが違う意味でドキドキやわ!
しかも土方さん、私のアゴを手加減なく掴まれアゴが取れそうなんだけど。
「ひたひぃ~」←痛い
「俺の説教で寝やがっていい度胸してんじゃねえか?誰が鬼だと?」
「ほにごっほらったのれ……」←鬼ゴッコだったので
もうアゴが本当に取れそうな瞬間、やっと解放された。
ヒリヒリするって事は夢ではなく現実なのね……。土方さんと念願の『アゴクイ』がやっと叶ったと言えば叶ったけど鬼めっ!!
着物で走るとかもう嫌。
本当に帰りたくなった。