第5章
「……仕方ない。暫くなら預かるしかないな。屯所は女禁だから君が良いのであれば女中や小姓と仕事をしてもらっても構わないが……」
近藤さんが私に優しい言葉で言ってくれた。
「働き手は良いとして雑用はやってもらうつもりだからな。こいつの部屋はどうすんだよ?雑魚寝は流石にさせられねえ」
土方さんは思ってた2次元の土方さんじゃなく、全てにトゲがある。
「じゃあ佐之助が連れて帰って来たんだから佐之助さんの部屋で……」
「それも危険だ。総司は女に興味もなさそうだから「待ってくださいよ、僕も年頃の男子ですよ!」」
「じゃあさ、一番疑ってる副長と相部屋にすれば良いんじゃない?副長、余り部屋で寝ないですし(笑)」
「勝手に決めるなよ!」
私の部屋で揉めてるみたいだけど
「私は廊下でもどこでも大丈夫です。帰れるまでですし……」
「「「「それだけはダメ」」」」
「はぁ……。」
皆の意見で結局は副長と相部屋に決まってしまった。
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私にとって一番好きな人が
私にとって一番……
一番……苦手な感じな人が土方歳三?
鬼の副長って言うか全てに対して『鬼』じゃない?
ツンデレだったら解るけど、ツンツンで2次元で疑似恋愛してた私が馬鹿だった。
まぁ噂通りだったら毎晩の様に居ないようになるんですが……。
あんなツンツンに興味も無くなりそう。
なんだろ?我に返ったらタイムスリップとか新撰組とか嫌な事に巻き込まれなければいいんだけど。
世話になってる間は文句も言えないから真面目に働こう。
みんな解散して部屋は土方さんと二人。
夢の中では優しく微笑んで抱き締めてくれてた歳三様が……。
蛇に睨まれた蛙
まさに今の状態がぴったりな感じ
「あの……私は何か手伝いでも」
「大丈夫だ。そこで座ってろ」
「はい」
座りにくいので足を正座から崩し三角座りしていたらいつの間にかウトウトしてしまった。
「おい!」
ひゃっ!気付いたら寝ていたんだけど
「風邪引くぞ」
と、意外に怒られるのかと思ったが予想外に羽織を肩にかけてくれた。
フワッとかけられた瞬間、何だか懐かしい感じがした。
「ありがとうございます」
ちょっと待って私(笑)
懐かしい感じなんかあり得ないし初めて会ったのに、変!
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夕食の準備を手伝いに台所を探しに行こうと部屋から出る時
「どこ行くんだ?」
「夕食の準備を手伝いに……」
と羽織がスカートみたいになっちゃってるけど服も部屋着だったから借り物で我慢しなくちゃ!
「女子がそんな足出して外を歩くとかみっともねぇ格好するな」
「……。」
未来に戻って服も取りに帰りたい。
取りに帰りたいって言うか帰りたい。
「私の身形ですか?」
「そうだ。屯所でそんな格好をして歩いてもらっても困る。」