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第45話 三つの問題

 現在、興が抱える問題は三つ。

 一つ、親父と知り合いだという謎の不思議少女。

 二つ、教育実習生として我がクラスにやって来た初恋の相手。

 三つ、晴奈を目当てに転校してくるお嬢様。




 いや、実際にはもっとあるだろうが今のところ早々に対処したいのはこの三つ。そして八恵がもっとも気にしているのは三つ目のようでーー。

「キャラ被りです」

「確かに同じお嬢様キャラだけど、タイプが違うから別に良いだろ。最初はまた住民が増えるんじゃないかとヒヤヒヤしたけど流石にそこまでの我儘は許されなかったらしくてそうはならなかっただけでもまだマシだろ」

 あのお嬢様が我が家に引っ越して来たら晴奈が休まる場所がなさそうだし、あいつには悪いが別々の方がお互いのためになるだろう。

「最悪の事態は免れた感じですけど興様に危害を加えたということはたとえ白露グループのお嬢様だとしても許せません」

「その件については深掘りするな。お互いなかったことにしたいんだからさ」

「興様がそう仰るなら……ですが、もし何かあったら言ってください。虹咲グループが総力を挙げて助けますので」

「そうならないように気をつけるよ」

 やはりお金持ちは極端だ。

 しかし、そのもしもが現実になった場合に一番被害を被りそうなのは自分なので御免蒙りたい。

 とはいえ、あのお嬢様が転校してくるのは一週間後。しばらくは三つ目の問題については考えなくては良いということ。

 気楽に登校していつものように学園生活を過ごし、今日は早めに帰って晴奈のご機嫌取りのために夕食を豪華にしようと帰宅しようとしたがとある人物に引き止められる。

「天坂くん、ちょっと良いかな?」

 彼女は二つ目の問題、俺の初恋相手で現在は我がクラスに教育実習生としてやって来た嘉納 美由である。

 流石にここで逃げるわけにもいかないので頷き、生徒指導室へと案内される。

「この前、あそこで誰に閉じ込められてたの? いじめられてるなら私がどうにかするからちゃんと話して」

「いや、あの件なら誤解ですよ。この学園に限っていじめとかないですから。生徒会長に聞いてみてくださいよ。あの人が一番生徒の事情に詳しいはずですから」

 魅雨姉が生徒会長として慕われているのはただ単に成績優秀で品行方正だからではない。真摯に一人一人の生徒と向き合っているからである。

 教師たちも魅雨姉を見習おうという動きがあるようで歴代の生徒会長の中で最も影響力のある人物で彼女に聞けば間違いないのだが実習生は特に確認することなく、興の発言を信じて安堵の表情を浮かべる。

「そう……それなら安心した。もしかしたら昔みたいにいじめられてるのと思ったから」

「え? それって……」

「もちろん、覚えてるよ。大きくなったね興ちゃん」

「み、美由お姉ちゃん……」

 幼少の頃の記憶が鮮明に蘇る。

 そうだ。俺はこの人を本当の姉のように慕っていた。毎日のように彼女と遊んで、彼女に色んなことを教えてもらった。だからこそ今の天坂 興がある。

 だがそんな時、血の繋がっている方の姉が入室し鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

「わ、私に隠れて姉を作るとは何事だ!」

 どうやら四つ目の問題が生じてしまったらしい。

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