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第41話 背後にはご注意を

 週末になり、晴奈が所属するテニス部の大会が開かれることとなった。一年生だというのに大会に出場できるとはやはり晴奈の実力は他が認めるものであるということらしい。

 まあ、晴奈に大会に出場できるほどの実力があるということはこの身をもって体験している。

「けど、すごいよね晴奈さん。友達から聞いたんだけど中学の時も大会で活躍してたんだって」

 今回、試合を応援するにあたって内緒にするというのは何か逆に問題が起きそうな気がしたので他の面々にも伝えると理沙と華蓮が付いて来ることになった。てっきり八恵も同行するかと思ったがどうしても外せない用事があるということで今回は三人で応援に来た。

 ちなみに魅雨は生徒会の仕事で琴陵は興味がないとのことらしい。

「流石、毎日部活三昧の部活星人だよね。それよりもお兄ちゃんどういう風の吹き回し? テニスはもうこりごりだってテレビも見ないのに」

「同居人が頑張るんだから家でゴロゴロしてるわけにはいかないだろ」

 実際にゴロゴロしているのは愛華くらいで他の人は何かとやることがあるのだが、どうやらこいつは俺のことを暇人だと思っているらしい。いつも我が家の掃除をしているのは誰だと思っているのやら……。

「ふ〜ん。まあ、実はテニスに興味あったから良いんだけどね。これが終わったら教えてもらおっかな〜」

「あいつがそんなことするとは思えないな。何だったら俺が教えてやろうか?」

「良いよ別に。お兄ちゃんにはもっとやることがあるでしょ」

 まるで何もかもお見通しですよと言わんばかりの台詞だが、我が妹は残念ながら怠惰な毎日を過ごしているだけで物語の真実を知っているようなキャラではない。

 相変わらずの我が妹に呆れていると恐ろしいお嬢様がお上品な挨拶をしてきた。

「あら、これはこれは天坂さんもいらしてたんですね」

「お、おう……」

 あの豹変ぶりを知っているので体が警鐘を鳴らしている。だが後ろには幼馴染と妹がいるので逃げるわけにはいかない。

「興くん、知り合い?」

「ちょ、ちょっとな。お前たちは関係ないけど」

 まずい。

 こいつたちには彼氏役の件は話していない。何せ理沙たちがここに付いて来ると決まったのはつい最近。もし、ここで彼女にそのことを話されると面倒なことになる。八恵がいないことが不幸中の幸いであるが。

「あら、その方たちはご紹介してくださらないのですか?」

 冷や汗が流れる。

 晴奈の話になり、俺が彼氏であるということを口にされたらその嘘がバレてしまうかもしれない。何しろこの二人は嘘が苦手なのだから状況を理解せず、真実を口にしかねない。

 そうなったら全てが水の泡。

 そこに同じ白煌学園の生徒が白露を呼ぶ声がして救われた。

「申し訳ありません。呼ばれてしまいましたのでこれで失礼しますね」

 助かった……。

 安堵し、冷や汗を拭っていると頬を膨らませる我が妹が冷たい視線でこちらを見つめてくる。

「ど、どうしたんだよ華蓮」

「む〜、お兄ちゃんが私たちに内緒であんなお嬢様と仲良くしてるなんて頂けないな〜と思うな〜」

「いや、それは……後で説明してくれるなら今は晴奈の応援に集中しようぜ。帰りにアイス奢るから」

「それじゃあ、一番高いやつね」

 買収成功。

 そろそろ試合が始まるということで各々、応援するためコートの近くで集まる。

 晴奈と白露は順調に勝ち進んでいき、二人は決勝戦でぶつかり合うことになった。その前に白煌学園の方で少し問題が起きたということで休憩時間が設けられ、その間に用を足そうとしたところ二人と離れた時だった。

 背後から迫るお嬢様に意識を奪われたのは。

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