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第2話 始業式と視線

 月日学園に到着して張り出されているクラス割の紙を見てみるとそこにはやはり思っていた通りの結果が書かれていた。

「やっぱりまた同じクラスだったな」

 二年C組。

 そこには俺の名前と幼馴染の三雲 里沙の名前があった。

「うん、そうだね」

「お! お前らまた同じクラスなのか?本当に仲良いな。てかあれだなこれは。神様がお前をひいきしてるとしか思えないなこれは」

 と声をかけてきたのは理沙同様に長い付き合いで親友の比良(ひら) 友和(ともかず)

 茶髪で一見チャラいがそれは地毛で結構根はいい奴だ。

「何でそうなるんだよ友和(ともかず)。てかお前はクラス何処だった?」

「モチ、お前と一緒だ。これからよろしくな」

 ビシッと親指を立てるが彼も何年も同じクラスでこれまた何かの呪いなのではないかと不安になる。

「えぇ〜〜〜〜!」

「なんで嫌そうなのさ?いいだろ別に」

「冗談、冗談。それよりさっさと行こうぜ」

 三人で他愛もない話をしながら指定されたクラスに入り、黒板に書かれている通りに椅子に座ると先生が現れて簡単な自己紹介を済ませると次はこちら側が順番に自己紹介をする事になった。

 まあ、良くある事だし余計な事は言わず、無難に終えてこの次は始業式。

 並べられたパイプ椅子に座りながら校長先生の話を聞いていると何故だが誰かに見られている気がして背筋がブルっと震えた。

「ん、どうしたよ興」

 自由に座っていいと言われたので両側には里沙と友和がいて、全く話を聞いていない友和がその異変に気づいた。

「いや…なんでも無い。ちょっと誰かに見られてる気がしただけ」

 左から一年、二年、三年の順に並んでいるのだがその何処かから視線を感じられたのだ。

「一年もいるからそのせいだろ? どうせ男子が可愛い先輩探して、女子がカッコイイ先輩いないか探してるんだろ」

 校長先生の話というこの時間はあまりにも長く、ただボーッとしているのも勿体無いので時間を有意義に使う為に、と去年友和のしていた事だが実際にそうしてる男子女子は少なくない。

「ん〜、そんな感じの視線じゃなかったけどなぁ〜」

 凄く冷たくて鋭くて、とてもそんな感じの雰囲気ではなかったのだが別に大した事ではないだろう。

「何でもいいだろ。それより始業式終わったら一年に可愛いやついないか探しに行こーぜ」

 去年も「先輩に可愛いやついないか探しに行こーぜ」とか言って散々な結果になっては誰だったのか覚えていないのかこいつは。

 とにかく、結果がどうであれ今年もその話はお断りだ。

「ごめん、話してなかったけど親父がまた海外に行く事になってこれから一人暮らしになるからその準備しないといけないから」

 それに買い物に行かないと冷蔵庫の中身は空っぽだ。

「なに⁉︎ また出かけたのかあのおじさん。で? 今回はどれくらいいないんだ?」

「それが……一年か二年くらい」

「マジか⁉︎ お前だけ夢の一人暮らしをそんなに満喫しようってのかこのやろ〜」

 大声をあげ、友和は興は首を固めて頭のてっぺんをグリグリと押してきた。

「ばっ、やめろよ。別にお前の家だって両親共働きだから一人暮らしみたいなもんだろ」

 俺の親父とは違い、二人とも真面目に仕事をしているのを知っている。

「バーカ。全っ然っ、チゲぇよ。知ってるだろ? 俺には人の邪魔をするのが生き甲斐の姉貴がいるんだぞ! あの姉貴のいる家を出ない限り悠々自適の一人暮らしライフなんて送れねぇ〜よ」

 友和の姉。

 何度も会っているし、いつもそれ関係の愚痴を聞いているので知っている。

 確かにあの人がいる限り、友和に自由の二文字はないだろうな。

「おいそこ! 静かにしろ」

 しまった! 今が始業式の真っ最中だというのをすっかり忘れていた。

 生徒指導の先生に叱られ、今度は三方向から視線が集まりクスクスと笑われたがやはり例の視線が弱まる事なく始業式は終わった。




***




「はぁ〜、今日はいい事なかったな」

 親父は急に何処か行っちゃうし、始業式早々怒られるし、散々だ。

 ビニール袋片手に我が家へと足を進め、ようやく目に見えてきたと思ったら玄関前で見慣れない少女がウロウロしていた。

「ん? あの()、俺ん家の前で何してるんだ?」

 眩いほどのオレンジ色の髪、前髪は一直線に整えられていて、もみあげは肩に届きそうなほど伸びていて、後頭部のところで両サイドから髪を編んで真ん中で小さなポニーテールを結んでいる。

 その姿に見惚れていると少女はこちらに気がついたようでズカズカとこちらに寄ってきて笑顔でこう言い放った。

「どうもお久しぶりです興様。覚えておいででしょうか? (わたくし)、貴方の許嫁、虹咲(にじさき) 八恵(やえ)です」

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