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引退、そして入学

ロイ「ケイ!本当に傭兵やめるのか?」

禊「あぁ、これで傭兵ともおさらばだ」

カマラ「傭兵以外の仕事なんてできんのか?」

ロイも頷く。

禊「俺は普通の人生を歩みたい。もう誰も殺したくないんだ」

カマラ「俺もお前もまともな人生なんて送れねーよ。この仕事しかできない。」

ロイ「キリングマシーンのお前はフリーになれば世界中の部隊が金積むだろうよ」

禊はiPhoneを片手に空を睨む。

禊「俺はこのアニメを観てもう一つの人生を知った」

ロイ「なんだそりゃ」

禊「本日をもってケイ・キリヤマは傭兵を引退し、日本の高校生になる!」

カマラ「ヒャヒャヒャ!お前が高校生?なれるわけねーよ!この世界にどっぷり浸かってる奴がよ!」


禊はその日チームを脱退し、偽のパスポートと住民票を受け取ると日本へ向かった。


代理人の話だと私立アクセプト学園は色んな生徒を受け入れている高校で、帰国子女枠も多いそうだ。俺が入る2年Ω組もおそらく帰国子女組だろう。世界中に参戦した俺は五カ国語に対応できる。それも選考で後押しされたのだろう。あとは俺が元傭兵という経歴をバラさないようにするしかない。至って普通な学生を演じなければ…。アパートから学園まで歩いて20分。校門が見えてきた。あそこが俺の第二の人生の入り口か。


「君、転校生?」


いかにも普通ぽいやつが話しかけてきた。


「あぁ、そうなんだ。今日からね」


「そうなんだ。僕は高田。2年2組なんだ。君は?」


「俺は桐山。2年Ω組だよ」


「Ωぁ!?」


高田の大声に周囲が反応する。さっきまでの喧騒が嘘のように静まる。


「ん?Ω組がどうかした?」


桐山が聞き直そうとした時、周囲の生徒は一目散に走り去った。


「一体なんなんだよ…」


プリントにはΩ組の建物は少し奥まったところに位置していた。見た目は他の校舎と比べるとかなり頑丈そうに見えた。


(RPGも防げそうな建物だな…いかんいかん、もうその世界は忘れろ…)


Ω組の同級生らしき学生がちらほらと階段を上がっていく。


(やっぱ普通の高校生だよな)


2階に行くと2年Ω組しかなかった。(帰国子女組ってこんなもんなのか?)教室に入るとほとんどの生徒が着席していた。生徒数は30人。金髪や赤髪、ドレッドもいる。日本人と外国人は半々の比率だ。


「君が転校生の桐山君か?」


メガネをかけた真面目そうな男が話しかけてきた。


「そうだよ。よろしく」


禊は右手を出した。


「僕は委員長の野村。君の席はここだよ」


差し出した右手を意に介せず席を指差す。


(日本だと握手しないのか?)


禊はとりあえず席に座った。教室の中は喧騒が鳴り響いていた。皆仲がいいのだろうか?俺も早く解け込みたい。そうこうしてるうちに担任が入ってきた。


「みんなおはよう!今日から転校生の、えーと、桐山だ、彼が新しく入ってきた。みんなに自己紹介してくれ」


いきなりの振りに驚いたが俺は胸を張って行った。


「桐山禊です。両親の都合でアフリカ方面にずっといました。日本に来るのは実は初めてなので、みなさんよろしくお願いします!」


言い終えると疎な拍手が起こる。


(あれ、アニメだと質問がいっぱいくるのに…)


座ろうとした瞬間、ツインテールの女の子が手を挙げた。


「桐山君は何が得意なの?」


(特技の話か?何かネタを仕入れた方がよかったのか?ナイフと狙撃が得意とか言えねーよな…)


「あ、辛さには強いです!」


なぜかクラスは静まり返った。


(え、俺なんか外したか?何言えばよかった?)


おずおずと席に座ると禊は頭を抱えた。

(普通の高校生ってこうじゃないのか?動画もチェックしたんだけどなぁ…)

担任は気にも止めず進行する。


「えーと、今週の当番は風間だな。よろし…」


と言い終わる前に武装し覆面を被った男達が乱入してきた。装備はナイフとM16を装備している。


(おいおい!日本の学校にはテロリストが本当にくるのか?アニメの展開と同じじゃねーか!?)

(いや、どうする?テロリストは6人。俺一人でもいけるが、武器がねー。奪うにしても俺の正体がバレちまう…)

禊の殺気に気付いた後ろの席の九道が耳打ちする。


「転校生は見てろ。当番は風間だ」


(何言って…)と目を逸らした隙に風間がテロリストの前に立つ。


(あ、あいつ何してんだよ、バカ!)


しかし、風間は印を結ぶと九字を切りはじめる。教室にいた4人のテロリストは何かに怯えると互いの頭を撃ち抜いた。廊下にいた見張り役二人はそれを見ると一目散に逃げ始めた。しかし風間は彼らの目の前にいつのまにか立っている。二人のテロリストはベレッタで撃つ。しかし、撃たれた風間は笑い始めると手を筒状にし息を吹きかけた。そこから火炎放射器並みの火が噴き出てテロリストを飲み込みあっという間に炭となる。Ω組の他の生徒は我関せずといった佇まいだった。


「な、なんなんだよ、こいつら…」


禊が佇んでいると野村が右手を差し伸べる。


「怪我はなかったかい?ようこそ、Ω組へ」


俺が求めていた学園ライフが1日目で崩れた。

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