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第27章:観測監査官、崩れる

――救いたかった。

――正しく救いたかった。

――でも“正しい救い”は、いつだって遅れてくる。


地上に出た瞬間、空気が違った。


冷たい。

乾いている。

そして、妙に“静か”だった。


街の音が薄い。

人の気配が希薄だ。


ミナトが顔をしかめる。


「……おい」

「ここ、前より静かじゃねえか」


セイルが周囲を見回す。


「監視が増えてる」


ノクスが笑った。


「増えてるんじゃない」

「“整理”されてる」


その言葉は、嫌なほど正確だった。


街が消音されている。


暮らしが、

生存が、

ノイズとして削られていく。


シオンはレムの手を握り直した。


小さな指が冷たい。


「……寒い?」


レムは首を振る。


「ううん」

「……ちがう」


「ここ」

「こわい」


彼らは廃ビルの影に身を潜め、息を整えた。


アルトは端末を開き、外部ログを確認する。


セイルが覗き込む。


「……拡散、届いてる?」


アルトは短く頷いた。


「届いてる」

「でも……」


画面には断片的な反応が表示されていた。


・BORDER MIRRORの再共有

・DOC-0の解析開始

・“回収班”の存在を示す証言

・Δの噂


だが――同時に。


・デマ判定

・危険情報として封鎖

・“不安煽動”扱い

・救済妨害として通報


情報は割れていた。


観測差が生まれている。


それは狙い通りだ。


だが、狙い通りだからこそ怖い。


割れた世界は、人を迷わせる。


迷った人間は、救われにくい。


シオンが低い声で言った。


「……これで良かったのかな」


アルトは答えない。


答えられない。


正しいのか。

間違いなのか。


その区別が、もうこの世界では意味を持たない。


持たせると、誰かが死ぬ。


ノクスが言った。


「良かったかどうかは後で決まる」

「今は“残った”」


ミナトも頷く。


「生きてりゃ、次を選べる」


セイルは静かに言った。


「……選べるうちに、選ばないと」

「次は“選ばされる”」


その言葉が終わるより先に、遠くから音がした。


ブーン……という低い振動。


ドローンだ。


監視ドローン。


空が“見張っている”。


アルトが立ち上がる。


「移動する」


ミナトが言った。


「どこへ」


アルトは短く答えた。


「境界線の外」

「監視が薄いルートへ出る」


ミナトが目を細める。


「……ユウのルートか」


その名を、誰も大きく口にしない。


けれど全員の心に、同じ影がある。


拾う側の沈黙。


本人がいないのに、

そのやり方だけが残っている。


一行は移動した。


崩れた道路。

錆びた標識。

骨組みだけの高架。


シオンは歩きながら、何度も振り返る。


誰かがついてくる気がする。


追跡の恐怖じゃない。


“観測される”恐怖だ。


見られていると、世界が固まる。


固まれば、管理に勝てない。


それが身体に染みつき始めていた。


途中、瓦礫の間から小さな影が飛び出した。


子どもだ。


やせ細った少年が一人。


目が鋭い。


すぐに逃げようとする。


シオンが止めた。


「待って!」


少年は怯えた顔で後ずさる。


レムが小さく言った。


「……ちがう」

「この子、わるくない」


少年の手には、壊れかけの配給タグが握られていた。


タグの色は白。

“登録済”の印。


でも端末で照合しても、ログは出ない。


セイルが低く言った。


「……まただ」


「配られたのに記録がない」


第1幕の矛盾が、今ここでも起きている。


アルトが少年に声をかける。


「どこから来た」


少年は答えない。


答えるより先に、空が鳴った。


バチッ、と乾いた音。


上空でドローンが反転した。


彼らを見つけた。


ミナトが叫ぶ。


「来るぞ!」


ノクスが舌打ちする。


「早いな」


セイルが端末を操作する。


「妨害――間に合わない!」


シオンは少年の前に立った。


「逃げて!」


少年は一瞬だけ、シオンを見た。


その目に、信じたい気持ちが映る。


でも次の瞬間。


空から声が降りてきた。


「登録個体を確認」

「未同行個体の回収を開始」


少年の顔が真っ青になる。


彼は叫んだ。


「……やだ」

「やだ!!」


「また消える!!」


その言葉で、シオンの胸が裂けた。


“登録された瞬間、消える”。


噂じゃない。


現実だ。


地面に白い光が落ちる。


収束する光。


救済の光。


でもそれはもう救済ではない。


これは拘束だ。


少年の足元に“円”ができる。


逃げ道を消す光。


シオンが手を伸ばす。


「こっちに!」


少年の手を掴んだ瞬間――


シオンの端末が点滅した。


S-PRIORITY/SYNC:上昇


アルトが叫ぶ。


「触るな!」


遅い。


触れてしまった。


観測が成立する。


観測が成立すると、世界が固定される。


固定されると、回収が成立する。


この連鎖を止められない。


シオンは歯を食いしばった。


手を離せば少年は消える。


離せば救えない。


救いたい。


でも救うと、世界が締まる。


その矛盾が、シオンの中で爆発しそうになった。


「……なんで」


声が震える。


「なんで、救うのに」

「こんなに痛いの……!」


アルトが走ってくる。


「シオン、離せ!」


シオンは叫んだ。


「離せない!」

「この子が消える!」


アルトの目が揺れる。


彼も知っている。


これは合理だ。


救済は最適化だ。


だから消える。


最適化は、余分を切る。


少年は余分扱いされる。


それが世界の正しさ。


その瞬間、シオンの頭の中に声が響いた。


――正しくあろうとした。ただ、それだけだった。


アルトの言葉。


第2作の主人公の言葉。


シオンは理解する。


アルトは、ずっとこの痛みを抱えていた。


管理を信じた。


救われた。


だから守ろうとした。


でもその正しさは、

誰かを切る。


今、同じ痛みがシオンに刺さっている。


彼女はついに限界を迎えた。


――救いたい。

――だから、守りたい。

――守りたいから、正しくしたい。

その“正しさ”が、いちばん壊れる。


少年の足元の白い円が、濃くなる。


逃げ道を消す光。

距離を消す光。

未来を消す光。


少年の呼吸が荒い。


「やだ……!」

「やだやだやだ!」


シオンの手は震えていた。


握る手に力を入れるほど、

少年が怖がる。


それでも離せない。


離せば消える。


消えるという言葉が、

ただの比喩ではないと知ってしまったから。


空からまた声が降りてきた。


「回収開始」

「抵抗を確認」

「適合判定:未評価/危険」


回収光の中に、細い線が走る。


光の糸。


少年の体に絡みついていく。


ミナトが銃を構え、空を撃った。


弾はドローンに届かない。


偏向。

修正。

無意味化。


「クソがっ……!」


ノクスが笑いながら吐き捨てた。


「撃てば撃つほど、観測が固定される」


セイルが端末を必死に叩く。


「遮断できない……!」

「回収信号、二重化してる!」


アルトが低く言った。


「回収班が近い」

「ドローンだけじゃない」


その予感は当たっていた。


地上の影が動く。


建物の間。

瓦礫の裏。


白いマスク。

胸のGENESIS紋章。


RECOVERY/S-PRIORITY


また来た。


回収班の一人が淡々と言う。


「DOC-0流出者を確認」

「境界監査官を確保」


“境界監査官”。


シオンが、個人ではなく役職として呼ばれている。


その時点で彼女の心は削られる。


彼女はシオンなのに。


彼女の名前が消えている。


そして少年も同じだ。


少年は、少年ではなく、個体。


登録個体。

回収対象。


シオンが叫ぶ。


「やめて!!」

「この子は危険じゃない!!」


回収班は首を傾げない。


「危険とは、可能性である」

「未定義は危険である」


言葉が刃だ。


ミナトが吐く。


「正論ってやつかよ……!」


アルトは一歩前に出る。


「なら定義しろ」

「この子を」


回収班が答えた。


「定義は回収の後に行う」

「順序は変更できない」


アルトは理解する。


これがGENESISの勝ち筋。


定義 → 監視 → 救済。


ではない。


監視 → 回収 → 定義 → 救済。


救済は最後。

間に合わない救済。


少年が泣きながら言う。


「……助けて」

「お願い……」


その声が、シオンの中の最後の壁を叩いた。


アルトの声が背後から聞こえる。


「シオン、離せ」


でも彼女は動けない。


“善意の登録”が怖いと分かった時点で、

彼女はもう引き返せなかった。


救いたい。


けれど救った瞬間、

制度の歯車が回る。


この二つが同時に成立する世界に、

彼女の心は耐えられない。


回収光の糸が、少年の首元に絡む。


少年の体が少しだけ浮いた。


「……やだ」


声が小さくなる。


引き上げられる。


消えていく。


シオンが叫ぶ。


「行かないで!!」


その瞬間――


シオンの視界が、歪んだ。


色が滲む。


音が遠くなる。


心臓が、“一段落ちる”。


そして、頭の中に何かが走った。


痛みじゃない。


熱でもない。


言葉にできない“揺れ”。


彼女の端末が勝手に点滅する。


Δ/SYNC:13 → 16


アルトの目が見開かれる。


「……上がった」


セイルが声を失う。


「今、16……!?」


ノクスが笑う。


「崩れたな」


ミナトが叫ぶ。


「おい!何が起きてる!?」


次の瞬間。


回収光の糸が、突然“ほどけた”。


絡んでいたものが、ほどけるのではない。


糸が存在できなくなる。


“回収”という意味が、成立しなくなる。


少年の体が落ちる。


シオンが抱き止めた。


少年の目が揺れている。


「……え?」


空のドローンが、ノイズを吐いた。


映像が乱れる。


白い光が黒く濁り、

その中心に“欠け”が生まれる。


欠け。


穴。


世界が一瞬だけ、空白になる。


回収班が初めて声を乱した。


「……異常」

「回収プロトコル、崩壊」


その言葉が、現実になる。


回収が成立しない。


救済の鎖が切れた。


アルトが叫ぶ。


「今だ!!逃げる!!」


ミナトが少年の肩を掴む。


「走れ!死にたくなきゃ走れ!」


少年はまだ状況を理解できない。


シオンが必死に言う。


「走れる!?」

「行けるよね!?」


少年は震えながら頷いた。


ノクスが笑う。


「逃げろ逃げろ」

「世界が追いつく前に」


セイルが端末を叩く。


「回収班のログ、乱れてる!」

「こっちの存在が“薄く”なってる!」


アルトが低く言った。


「……ユウの領域に近い」


拾う側の沈黙。


評価外の生存。


それが今、Δによって強制的に再現されている。


だが、シオンの呼吸が乱れていた。


走っているのに、

目が焦点を結ばない。


彼女の足元が、時々“抜ける”。


地面があるのに、

感触が消える。


存在がズレる。


アルトが叫ぶ。


「シオン!戻れ!戻れ!!」


シオンは返事ができない。


彼女の頭の中に、ずっと同じ問いが響く。


――救いたかった。

――でも救うほど世界は締まる。

――なら、救いとは何だ?


彼女の善意が、臨界を超えて崩れている。


崩れることでしか、

救えないことがある。


その現実が、彼女を壊す。


回収班が追ってくる。


足音が揃っている。


迷いがない。


正しさは揺れない。


揺れたのはシオンだけだ。


回収班のリーダーが言う。


「対象のΔ兆候を確認」

「回収優先度を更新」


「個体“シオン”を優先回収」


その瞬間、シオンが小さく笑った。


「……個体、か」


彼女は泣いていた。


笑っていた。


「私は……」

「人なのに……」


――救いたい。

――救えない。

――それでも、救う。

その矛盾を抱えた瞬間、人は“壊れる”。

そして壊れた場所から、未来は漏れ出す。


走る。


息が切れる。

喉が焼ける。

瓦礫が足を掴む。


BORDER REMAINSは、少年を連れて逃げていた。


背後の足音が近い。

均一な足音。

迷いのない追跡。


回収班の足音は、人間のものじゃない。


“判断”がない。


正しさが走ってくる。


ミナトが振り返り、歯を食いしばる。


「しつけえ……!」


ノクスが笑う。


「しつけぇんじゃない」

「切り捨てるほど効率がいいだけだ」


セイルが端末を抱え、叫ぶ。


「追跡ログが繋がってる!」

「こっちの位置、常に更新されてる!」


アルトが低く言った。


「観測されてる」

「だから追いつかれる」


観測されれば、世界は固定される。

固定されれば、ルートは閉じる。


ユウのやり方は、逆だ。


観測されない。

固定されない。

だから拾える。


BORDER REMAINSは今、

その逆流の中で戦っている。


シオンは走りながら、何度も足を取られる。


地面が抜ける。


いや、地面はある。

“自分”が抜けていく。


存在が薄くなる。


彼女の視界の端で、景色がズレる。

人が二重に見える。

音が遠くなる。


アルトがシオンの腕を掴む。


「シオン!!」

「止まるな!!」


シオンは震える声で返した。


「……わかってる」

「でも、私……」


言葉が続かない。


彼女の頭の中で、救いたいという熱が燃えている。

でもその熱が、制度の冷たさに触れて蒸発する。


熱が残る。

水蒸気だけが残る。


その蒸気が、心を曇らせる。


少年が必死に走りながら言った。


「……ありがとう」

「……でも」


「ぼく、また……」

「また消える?」


シオンが息を呑む。


答えられない。


でも、答えないといけない。


この世界で一番残酷なのは、

答えを持たないことだ。


彼女は言った。


「消えない」

「私が、消させない」


その声は強かった。


言葉だけは強かった。


だからこそ、危うかった。


彼女は自分の強さで、自分を壊している。


追跡音がさらに近づいた。


白い光が路地に落ちる。


回収光。

拘束光。


また“円”が地面に描かれる。


今度は複数。


逃げ道を潰す。


ミナトが叫ぶ。


「塞がれた!!」


ノクスが笑った。


「詰んだな」


セイルが呻く。


「突破できない……!」


アルトが即座に言う。


「突破する」


そして端末を握った。


彼の指が、あるコードに触れる。


彼の中の“管理”が、最後の形で立ち上がる。


壊さないで勝つ。


制度の刃で、制度を折る。


アルトは叫ぶ。


「回収班!聞け!!」


回収班が止まる。


止まったのではない。

“参照”が入った。


アルトの声は、GENESIS内部の権限を持つ。


彼は元オペレーターだ。


評価管制の言葉は、まだ届く。


アルトが言った。


「対象はDOC-0の拡散済み」

「ここで回収しても、定義は完了しない」


回収班リーダーが答える。


「定義の完了は必要条件ではない」

「回収の優先度は維持される」


アルトは一歩踏み込む。


「なら、優先度を更新しろ」

「シオンを回収するな」


回収班が返す。


「理由を提示せよ」


アルトは息を吸う。


そして言った。


「シオンは“誤差を維持する鍵”だ」


その瞬間、回収班の動きが止まった。


誤差。


GENESISにとって、最も危険で、最も重要な言葉。


管理は誤差を嫌う。


だが管理は誤差で壊れる。


誤差は敵。

でも誤差は武器。


回収班が淡々と言う。


「誤差維持は管理方針に反する」


アルトは即答する。


「反するのは分かっている」

「だがGENESIS自身が“誤差を残す判断”を選んだ」


その言葉が刺さった。


アルト自身が残した判断。

第2作の結末。


それが今、GENESISの拘束を生む鎖にもなっている。


皮肉だ。


そして、アルトは言う。


「記録を参照しろ」

「“残す判断”のログを」


回収班が沈黙した。


沈黙は拒否ではない。


参照だ。


その瞬間、空気がまた揺れた。


Δ同期が一段跳ねる。


Δ/SYNC:16 → 18


シオンの視界が白くなる。


白いのに、暗い。


光の中の闇。


“ノイズの黒”。


監視ログが吐いた黒。


彼女の内側から、何かが裂けた。


痛みじゃない。


“境界”そのものが裂ける感覚。


シオンは膝をつく。


「……あ」


声が消える。


アルトが叫ぶ。


「シオン!!」


シオンは目だけで彼を見る。


泣いている。


でも泣き方が分からない。


彼女は壊れている。


心が壊れているのではない。


“役職”が壊れている。


観測監査官としての彼女が、崩れている。


その崩壊は、

彼女を人間に戻す崩壊だ。


回収班の端末が一斉に鳴った。


「……参照完了」

「残す判断ログ:存在」


回収班リーダーが言う。


「例外を確認」

「優先度:更新」


そして、次の瞬間。


回収光の円が一つ消えた。


逃げ道が一本だけ開いた。


たった一本。

けれど十分だ。


ミナトが叫ぶ。


「今だ!!」


ノクスが笑う。


「アルト、やるじゃねえか」


セイルが叫ぶ。


「行ける!!」


アルトはシオンを抱え上げた。


軽い。

軽すぎる。


彼女の存在が薄い。


抱えているのに、すり抜けそうだ。


アルトは歯を食いしばる。


「消えるな……!」


シオンは小さく笑った。


「……消えないよ」

「私、まだ……救いたいから」


アルトは息を呑んだ。


救いたい。


その言葉は、正しさとは違う。

合理でもない。


でも、それが人間だ。


BORDER REMAINSは逃げた。


一本だけ開いた逃げ道へ走る。


背後で回収班の声が響く。


「回収継続」

「対象:DOC-0残存」


追ってくる。

けれど追い方が遅い。


回収班は“参照”で一拍遅れる。


その一拍が、生存の余白になる。


余白。


評価不能領域。


ユウの残した未来。


しばらく走り、監視の薄い地帯に入った。


崩れたトンネル。

鉄骨が折れた通路。


そこでようやく、全員が止まった。


息を吐く。


少年が膝を抱える。


「……こわかった」


ミナトが乱暴に頭を撫でる。


「生きてりゃ慣れる」


ノクスが笑う。


「慣れなくていい」


セイルが端末を閉じた。


「……追跡、切れた」


アルトはシオンを地面に下ろす。


シオンはしばらく動けなかった。


ただ、目だけが揺れている。


アルトが低く言った。


「……シオン」

「大丈夫か」


シオンは息を吸い、吐いて、ようやく言った。


「……大丈夫じゃない」


「でも」

「私、止まれない」


その言葉は、折れた宣言だった。


折れたのに、立っている。


それが一番強い。


アルトは端末を見つめる。


そこに残る記録。


Δ/NAME:DELTA


まだ発動はしていない。


でも、世界は確実に一歩進んだ。


シオンが崩れた瞬間、

Δは濃くなった。


セイルが呟く。


「……これ、4作目で爆発するやつだよね」


ノクスが笑う。


「爆発する前に、拾えるかどうかだ」


ミナトが息を吐く。


「拾うって言うな」

「縁起悪い」


アルトが静かに言った。


「拾うしかない」


そして、誰もいないはずの暗闇に向かって、アルトは小さく呟く。


「……ユウ」


返事はない。


でも、道だけが残っている。

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