第一子の出産、本性をあらわしはじめた姑
結婚式の後、私は第一子(娘)を妊娠した。新型コロナ禍でマスクを付けながらの生活だったので、夫の両親や姉家族と会う頻度は少なく、平穏な妊婦生活が過ぎて行った。夫の両親や姉家族とは、夫がメッセージアプリで簡単なやり取りをする程度で終わった。両家の親族からの結婚や出産祝いのお返しをしたり、これから生まれてくる子どもを家に迎え入れるための勉強や買い物をしたりと、忙しくも平和な日常を送っていた。
出産は無事に終わった1カ月後、夫の両親が初めて娘の顔を見に来た時、姑が本性を現し始めた。私は昼夜問わず授乳や育児に追われ、身体も完全に回復していない状態だったにも関わらず、突然、姑が夫と2人きりの時にこんなことを言い出した。
「優子さんは出産を機に正社員の仕事を辞めたけど、体調が落ち着いたら、またフルタイムの仕事をしてくれるんでしょ?真一郎だけが仕事することになったら、生活費や教育費等の負担が大変だもの。」
私は別室で授乳をしている最中だったが、その発言を聴いた瞬間、耳を疑った。産後間もない妊婦で、昼夜問わず育児に追われボロボロになっている姿を目の前で見ているのに、息子の心配しかしないのか、と。もちろん、夫と結婚するまで仕事人間だった私は、育児が落ち着いたら仕事に復帰する予定だったが、姑に言われたから仕事に復帰するみたいで、何だか気持ちの納得がいかなかった。姑は現役時代、専業主婦ではなく高校で英語の先生をやっていたらしく(定年した今でも、働いていたことを誇らしげに話す)、結婚しても働くことに対しては理解のある人だった。仕事人間だった私は、そこに期待していた。ただ、仕事を通して自己実現をすることに対し、理解があると考えていた。しかし実際はそうではなく、単に夫の負担を減らしてくれる存在と捉えられていたのかもしれないと思った。後々、私の予想が的中する発言が姑の口から次々と出てくることとなる。
産後の体調が落ち着き、新型コロナの状況も落ち着く頃、娘のお宮参りを行うことになった。近所の由緒ある神社へ行き、着物を着付けさせて、私も着物をレンタルして行くことにした。お宮参りには、車で来れる距離にいる夫の両親も一緒に行くことになった。ここで、また姑が本性を現し始めた。「あら、優子さんも着物着る必要あるの?時間かかるんじゃないの?」と言われた。私は、夫の姉がお宮参りに赤ちゃんだけではなく着物をきていたのを知っていたので、「真由子(夫の姉の名前)さんが着物着て赤ちゃんと一緒に写真に写っているのを見せてもらった時に、すてきだなと思ったんです。だから私も着物を着ることにしました。」と伝えた。その後、私の着付け時間を待っている時、姑が私の娘に向かって「ママに振り回されて大変ねぇ。」と言った。まだ言葉が理解できない赤ちゃんではあるものの、腹立たしくて仕方なかった。せっかくのお宮参りが、私にとっては嫌な思い出の一つになってしまった。着付け時間を待ちたくないなら、わざわざ早めに来なくて神社で待ち合わせでもいいのに・・そう思った。
もう一つ、夫の両親の価値観で違和感を感じたところがある。出産前「産後は大変だろうから、何か助けが必要な時はいつでも言ってほしい。」と言ってくれていたので、初の子育てで右往左往して、夫から両親に家に来て少しサポートをお願いしたいと頼んだ時、夫の父から「私たちの家(夫の実家)に泊まるなら、サポートする。」と言われたのだ。車の運転をあまりしたくないのが理由らしいが、別の機会で会った時に、車で昔の仕事仲間と釣りに出かけている(割と遠くに)と聞いていたので、私はまたも唖然としてしまった。そして、一生懸命で色々私に尽くしてくれる夫だけど、本当にこの両親の下で育ったんだろうか?と疑問に感じた。後から分かってくることだが、夫は両親の前では昔から「優等生」だったようで、学業成績もよく、両親の言うことは何でも素直に聞く子だったようだ。故に両親には未だに反抗できない、言いたいことが言えない性格らしく、この親子の関係性が後々、私が逃げ場を失うことに繋がるのである。