Episode6:世はレボリューションを求めている!
「ホー・ホーキンって……」
「はっはっは! 何をバカなこと言っているのさ! クリスチャン! アニメに出てくる架空のキャラクターだろう! あっはっは! あぁ~お腹痛い!」
デビーが腹を抱えて笑う。
いや、でも彼の顔は真顔だ。
そして俺たち退魔士だからこそ分かる構え。
だけどカレンが戸惑っているのが目に入って俺は冷静になる。
「すまん。寝不足で変なことを言ってしまった。お詫びする。ゴンノスケ殿」
「いや……私はアナタのような大スターとご一緒した覚えがないからな……なんというか、なんというのだろうな……でも……ブワッハッハッ!!! 可笑しいよぉ!!! ホー・ホーキンってアニメでもマイナーなキャラクターだろう。そんなので騒ぐならば、ウィル・レジェンドとかで騒ぐって言うの!」
「んっ? ウィル? レジェンド?」
「あ、いや、何でもない。それよりカレンは大丈夫だ。彼女は思った以上にみんなの人気者なんかになったから、チョット戸惑っただけさ! SNSを始めて貰ったのさ! するとどうだ! 内向的な性格も大きく変わったのだよ! 今日はその成長お披露目の場となるだろう! 乞おうご期待!」
「フォローよろしく」
そう言って彼女はスマホに自身のXアカウントを映してみせた。
「お~日本のアニメだね。チェンソーだね。俺、このDVDを持っているよ。趣味が合う。なんか嬉しいね。良かったら今度俺と……違う。違うよ。俺ってばDVDを友達に売って。結構な金になるかと思ったら、そのままトンズラされてさ。アハッ。アハハッ」
気持ち悪い童貞野郎が。見苦しい。黙りやがれ。
しかしカレンは確かにこれまでの彼女と明らかに変わったようだ。
『ハイ! みんな! 調子はどうだい! 俺はブリブリ元気さ! クリスチャンだぜ!』
『カレンよ! 世はレボリューションを求めている!』
『よ~し、カレン、今日紹介する商品をだしてくれ!』
これまでゆっくりと動く彼女がサササッと機敏に動く。
『どんな人でもかっこよく見えるマントよ!』
『わぁ~お! すごくクールじゃないかぁ!』
『みてみて、クリスチャン! こうして羽織ってもカッコいいけど……』
カレンは手際よく折りたたんで腰にソレを巻いてみせる。
『こんなふうにみせることだって出来るわ!』
『わぁ~お! これは新しいファッション!』
『でも、このマントの使い道はそんなありきたりなものじゃないの』
『ん? どういうことだ?』
台本にない。何をするつもりだ?
『クリスチャン、私を襲って』
『えっ?』
『本気で襲ってきなさい』
『いや、未成年相手にソレしちゃうのはさすがに……』
『腰抜けが。それでもラビッツのヒーロー気取りかよ』
『!?』
思わぬ言葉がでてきて俺は戸惑った。
そして、あろうことか混乱した勢いのまま彼女に飛びかかる。
俺は闘牛になってしまった。
彼女がマントをつかって俺の突進を受けかわしたのだ。
『わぁ~お! 防犯にも使えるなぁ! イテテ……』
『ふふふ、これだけの機能があって通常60ドル。だけど先着1000名様には10ドルでお買い求めできるわよ! ねぇねぇ! クリスチャン! これってお得でしょ~』
『まさにレボリューションさ! お買い求めはこちらぁ!』
俺はカレンじゃない別の誰かと番組をやっているようだった。
変わり過ぎだろ。
収録後。ゴンノスケに叱られるようにしてカレンは彼の話を聞いていた。
俺は腕を組み、彼女を待つ。
「お疲れ様。この番組でお前と組んで本当に良かったぜ」
「ありがとう。Xとインスタのフォローをよろしくねぇ」
彼女と握手と交わす。ただ、それだけの為に彼女を待った。
何だろうな。俺はすげぇ今の自分の人生が楽しくってたまらないようだ――




