Episode3:クリスチャン、スタジオ入りまーす!!!
それは今までやったことがないような仕事だった。
「クリスチャンだったな。よろしく」
「ああ。よろしく。スペクターさん」
「こういった仕事はお手のモノか?」
彼はデビー・スペクター。この通販番組のプロデューサーらしい。
「あぁ。まぁ。ずっとしたくって出来なかった仕事さ。憧れていたよ」
「初心者か? 髭がよくないな。いや、そういうのがダメなワケじゃないが似合ってない」
「アンタのほうが似合ってないと思うが?」
「ふふっ、言ってくれる。嫌いじゃないぜ」
こういった都会では黒人の奴って偉そうな奴が多いが、それでも愛想が良い奴と悪い奴がいる。デビーは前者のようだ。前者なら俺も嫌いじゃないぜ。
「おい、イーサン。出演するタレントさんだ。挨拶しろ」
「あ? ああ。イーサン・ジョブス。宜しく」
スタジオの奥から怠そうに幼い感じのガキがやってきた。
でも、ガキじゃなかった。もう21歳だと。
デビーに比べてスゲェ不愛想な感じ。
俺は確信した。コイツとは仲良く出来なさそうだ。あとコイツ、絶対に童貞だろ。
「あの、これって放送する媒体はテレビか? ネットか?」
気になってデビーに尋ねる。
「テレビだぞ? 知らないでここに来たのか? オーディションを受けたのだろう?」
「え? あぁ、いや、その、ここにきて緊張してきたみたいだ。憧れていたからなぁ」
「はっはっは、頼むぜ。チェリーボーイ。何事も経験してみるものさ」
俺はど、ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!
ていうかジジィ。地上波で目立つような仕事を俺にさせちゃいけねぇだろうが?
俺は一般人に紛れこんで退魔士としての仕事に励む。
これがスタンダードだ。
それがテレビで人気者になってSNSでバズってみろ。
俺の人生が薔薇色に……ウハウハで……退魔士なんて辞めちゃうに決まっているだろうが。
「おい、バディがやってきたぞ」
「えっ?」
「しっかりしろよ。番組に出演する気があるのか?」
「うっせぇな。チビ。俺はお前と違って童貞じゃねぇんだ」
チビが偉そうにほざいてきたのでスグに本当のことを突いてやった。
ほらな? 否定しないだろう?
俺の目は節穴じゃねぇ。何だって見通せるぜ。
「…………………………」
そのメスガキは何も言わずに俺の目の前に立っていた。
「あのう、バディって? このコが?」
「お前、何も知らずにここに来たの?」
え? 色々と可笑しい気がするのだけど?
僕のまわりで空耳アワーを知っている人ってどれぐらいいるのだろうか?




