始まりの始まり
初めての投稿です。
書いてみて思ったんですが、時間かかりますね・・・。
最初の記憶は、閃光。
夜の町を昼のように染め上げたそれが何なのか考える間もなく続く爆風は、人も建物もすべて吹き飛ばした。
「…生きている?」
意識はある、が、目は眩み、体は痺れ、キーンという音が頭の中に響いている。
暫くして耳鳴りが弱まったとき、周りから人々のうめき声が聞こえてきた。
目も見えるようになってきた。
どのくらい経ったのかは分からないが、閃光はまだ遠くで輝いており、最初に自分がいた場所から数百メートルは飛ばされたことが分かった。閃光に照らされて見える部分では建物はすべて瓦礫となり、所々に人が倒れているが、見える範囲では大なり小なり怪我を負ってはいるものの、皆生きていることが分かった。自身は瓦礫の上にうつ伏せの状態で横たわっているようだ。
早く…助けないと!
使命感に駆られ立ち上がろうとするも体に力が入らない。
早く!早く!!
体に力を入れようともがいているうちに、最初は指先が、次に手のひらが、そして腕が、わずかながら動くようになってきた。腕が動くなら這ってでも、と渾身の力を込めた時、下の瓦礫が傾いて地面に転がり落ちてしまった。
「ぐぅっ!」
痛みに悶えならがら、ふと視線を横に向けた時、閃光に変化が見えた。
中心が暗くなっている。
消えようとしている?と思ったがそうではない。暗いというより黒いのだ。それは星の見えない夜闇よりも黒く、そこだけ何も無いようにも見える。そしてその黒い何かは徐々に大きくなっていっている。
あれは何だ?
どう考えを巡らせても答えなど出るわけもなく、その間も黒い何かは少しずつ大きくなっていく。そして、閃光の半分ほどの大きさになった時、それは「とぷん」と地面に落ちた。涙のように。
落ちた黒い何かは地面においてはスライムのような形状になり、尚も大きくなり続けている。同時に言い知れない不安も広がっていく。何をどうすれば良いのかは分からないが、どうにかしないといけない気がする。しかし、地面に打ち付けられた衝撃でまた身動きができなくなってしまい、大きく広がっていくそれをただ見ていることしかできない。
黒い物体が広がっていく先に人が倒れているのが見えた。同じく身動きができないらしく、呆然と黒い物体を見つめている。
少しずつ、少しずつ黒い物体とその人との距離は近づいていき、ついに両者が接触したその時、黒い物体は動きをピタりと止めた。
次の瞬間、黒い物体が大気と共にブルっと震えたかと思うと無数の棘を放出した。その棘の先は人の手のような形に変わり四散していく。そこまでは一瞬の出来事で、あの爆風のように遅れてやってきた大気の震えは、まるで歓喜の叫びのような音を周囲に響かせた。
わずかに聞こえていた人々のうめき声が恐怖の悲鳴に変わる。黒い手のようなものに捕食されているのだ。それも少しずつ、生きたまま。
あたり一面が悲鳴で埋め尽くされる中、黒い手の一つが自分にも迫ってくるのが見えた。目前に迫ってきたその手のひらには口がついている。
「何が面白い…」
ニヤついた口が大きく開き、食べられるその瞬間に、私の意識は途絶えた。