SF作家のアキバ事件簿200 元カノ戦隊SOS
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第200話「元カノ戦隊SOS」。さて、今回は主人公の元カノ達が戦隊を結成…ではなくて、秋葉原でスーパーヒロイン殲滅計画が発覚!
計画阻止に奔走する主人公達の前に立ち塞がる、悪の女幹部、その娘の天才ハッカー、セーラー戦士ゾンビに…"元カノ戦隊"?
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 結成!元カノ戦隊
ミユリさんが丸鶏を焼いてる…"雷キネシス"でw
「何度見ても飽きないわ。ミユリ姉様の"雷キネシス"って光線の色が美しい。もうアート!」
「紫の光は高貴の証。エレガントな姉様にはピッタリょ」
「ソンな姉様のTO"が、何でテリィたんなの?」
余計なお世話だw
御屋敷のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くて常連が沈殿、回転率は急降下でメイド長はお冠w
ましてや今宵は、勝手に身内で暑気払いやってる。ミユリさんはキメ技ポーズの必殺光線でローストビーフ焼いてるし←
女子会だけど僕は…全員の元カレなので御招待←
「私から話すわ!私がソレとなくスーツの凄さを持ち出す」
「おいおい。何の話だょ?」
「元カノ同士で秘密はマズいと思って。今カノの姉様には打ち明けようと思うの。全員、元カノの"元カノ戦隊"を結成したコト」
"元カノ戦隊"?何だソレ?誰と戦うの?
「何だか知らないけど却下。今夜は僕からスゴく大事な話がアル。そっち系の話題は禁止だ」
「スゴく大事な話?まさか、お盆明けプロポーズ?らめぇ!テリィたん、ソレこそ絶対ダメょ。私達、もう待てないし」
「みんな、どーしたの?」
げ。ミユリさんだw
「だ・か・ら!ミユリさんのローストビーフさ!な?去年の盆踊りの屋台でもバカ売れだったょね…おや!お客様だ!」
「あけましてお盆!」
救いの神と思ったら、銀髪の占雲術師の登場だ。
「私の大叔母さん。育ての親ょ」
「どうも。ダバス博士」
「イラザと呼んで」
僕の天敵だ。ところが…
「見て!テリィたんが言い寄ってる!」
「ミユリ姉様の育ての親だから、好印象で点数を稼ぐつもりだわ!」
「はいはい。じゃみんな席について。ダバス家の伝統は、食事の前に順番に感謝の言葉を述べるの。OK?じゃ誰から始める?」
全員(半分はメイド服w)が一斉に立ち上がるw
「じゃあ私が」
「いや私ね」
「待って。私でしょ」
混乱?を制し僕が口火を切る。元カレ特権だw
「僕は、先ずミユリさんに感謝を伝えたい。僕は、理解ある推しに恵まれた。つまり、ミユリさんだ」
「キャー!」
「待って。私からも一言。私達も姉様に感謝してる。いつでも親身になってくれる。姉様に出会えてマルチバース1、ラッキーょ」
満面の笑みを浮かべ、立ち上がるミユリさん。
「じゃ私ね。私は、感謝したいコトがいっぱいアルわ。だって…」
突然カウンターの上に赤い稲妻が走る!目の前の空間に切れ目が走り"光のBIGBANG"が発生スル!
"リアルの裂け目"だ!突然現れ忽然と消えるw
「…秋葉原の暑気払いって、いつもこうなの?」
第2章 殺人蒸気"コロナ"
パーツ通り地下にあるSATO司令部。
「コチラ、コンピューター衛星"シドレ"です。"秋葉原マンハッタン"で"マイクロクラスのリアルの裂け目"発生。ブルーのレッドの4」
南秋葉原条約機構は、アキバに開いた"リアルの裂け目"からの脅威に対抗するための秘密防衛組織。
僕の推しミユリさんが率いるスーパーヒロイン集団ヲタッキーズは、SATO傘下の民間軍事会社で、僕がCEOだ。
僕は、レイカ司令官にボヤく。
「昨夜は"潜り酒場"に"リアルの裂け目"が出現して大騒ぎだった。まぁお陰で去年ほどじゃないけど盛り上がった」
「全部"シドレ"でトレースしてたわ。"マイクロ裂け目"が発生したのね。原因は?」
「マルチバースの誰かがミユリさんのローストビーフを食べたかったンだろ」
"シドレ"はコンピューター衛星。この"シドレ"が"裂け目"発生を探知スルと直ちにSATO全ステーションに急報。
ヲタクの最高頭脳を結集し作られたSATOのメカ。
「今、時空の亀裂を作る粒子をスキャンするシステムを開発中ょ。完成すれば"裂け目"の発生を予測出来る」
「そしたら"リアルの裂け目"予報をやるスタートアップを立ち上げて儲けよう…さあ、お盆休みは終わりだ。リリアの狙いは何だ?」
「リリア…またの名を"紅き死の頭巾"ね」
リリアは、マルチバース制服を企む悪の女幹部。マリレはヲタッキーズメンバーで"時間ナヂス"だ。
"時間ナヂス"は、1945年、陥落寸前のベルリンからタイムマシンで脱出した"最後の大隊"。
あ、彼女は国防軍だ。ナヂスじゃナイょ念のため。
「恐ろしいことを企んでルンだろーな」
「リリアは、悪企みが大好きだから…娘のスピアは知ってるのかしら」
「直接聞いてみるょ」
レイカ司令官は半信半疑。因みに、彼女は月面基地時代のカラダの線がモロ出る銀ラメのコスモルック&紫ウィッグだ。
今となってはレトロフューチャーw
「テリィたんに出来るかな?」
「おいおい。僕はSF作家だぜ?次作のためのリサーチとか何とか話して、聞き出してみるさ。僕だってやる時はやる(やらない時はやらないがw)」
「そうね。じゃお願い」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御成街道架道橋の下。地下にある"闇のゲーセン"。
「何のリサーチ?私、テリィたんの次のSF作品に登場スルの?」
「うん。まぁな。時代の旗手とその母親って設定」
「私と母の関係なんて、リサーチの価値ナイわ」
そう逝いながら、早くも舞い上がってるスピア。
彼女はハッカーで僕の"元カノ会"会長を自称w
「適当に美談にして。でも、私は期待ハズレの娘だった。母とは衝突ばかり」
「どんなコトで?ハッカーになったコトとか?」
「私がママの世界征服路線からドロップアウトしたからょ」
トンでもない母娘だなw
「だょな!でも、スピアは自慢の娘だろ?」
「…ねぇ大事なハッキングがあるの。リサーチは今度にしない?そしたら、スク水がトレードマークになった理由とか歌っちゃうけど」
「(知ってるょソレw)え、そっか。じゃ」
僕を笑顔で追い払い、スピアはスマホを抜く。
「あ。ゴメンね、ママ。何なの?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
手ぶらでSATOに帰れないので"スーパーヒロインカフェ"に御帰宅スル。メイドが全員スーパーヒロインのカフェだ。
「おかえりなさいませ、TO様。何かお飲みになる?」
「no thank you」
「ごゆっくり。貴方、常連なのね。お酒の代わりに私はどう?」
セーラー戦士系のコスプレだが、実際の"覚醒パワー"はテレパスかもしれないから、対テレパス用ヘッドギアを被る←
妄想を読まれたら恥ずかしいからなw
「光栄だけど…でも、別の"推し"を探してる」
「あ、そう。私、貴方にTOになって欲しかっタンだけどな。残念」
「どの道、僕はハズレさ…あ、あれれ?」
ロングスカートの"赤頭巾ちゃん"がお出かけして逝く。
アレは…後を追う僕のいたテーブルの下に蒸気のボンベw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「赤頭巾ちゃん」
人影の無い地下アイドル通りで声をかける。振り向いた女の顔は…リリア?と思った時には壁に叩きつけられてるw
「SF作家?あ、テリィたんか!」
「職業まで良くわかったな"紅き死の頭巾"!」
「だって、頭に描いてアル!」
僕のヘッドギアには"SF writer"の文字w
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"スーパーヒロインカフェ"。さっきまで僕のいたテーブルの下にボンベが隠されている。
やがて、赤い蒸気が噴き出し店内に満ちるや、ソレを吸った人々がバタバタと倒れて逝くw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
一方、裏通りで、僕が"紅き死の頭巾"にボコボコにされていると、激しく咳き込みながら、ヒロイン達が逃げて来るw
「早く逃げて!」
「何だ?どーした?」
「スーパーヒロインが全滅よ」
僕を口説いたセーラー戦士もバッタリ倒れる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
SATO司令部メディカルセンター。
「僕なら元気だ。片手で腕立てが出来る」
「口から回復するトコロがさすがだけど"スーパーヒロインバー"で浴びた物質が感染したら厄介だから、テリィたんは隔離します」
「え。隔離?そんな殺生な」
目の前に万世橋警察のラギィ警部。
「一体何が起きたの?」
「だから、話しただろ?紅き死の頭巾を見かけて、外まで追っかけて闘ったら負けた。そしたら、カフェからヒロインが大勢逃げて来て…みんな死んだ」
「小学生の作文みたいな報告をありがとう。
やがて、ミユリさんが変身したムーンライトセレナーダーもやって来る。
「バーにいたスーパーヒロインは、全員死亡しました。普通の腐女子は平気だったのに…パワーに"覚醒"した者だけを殺す蒸気なんて初耳です。大叔母さんの力を借ります。ヒロイン生物学が専門だから」
「犯人は逃げる。早く捕まえないと」
「待って。ムーンライトセレナーダーは外には出せないわ。スーパーヒロインが狙い撃ちされてるの。貴女も危険なのょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
御成街道地下の"闇のゲーセン"。スピアのブースをママが訪れる。ママの正体は"紅き死の頭巾"w
「やけに優しいのね。いつも露骨に私を養子扱いするのに。ママはいつも兄さんを可愛がってた」
「そして、貴女は父親ッ子」
「嫉妬してるの?」
女親と娘の微妙な会話w
「悪くとらないで。私は子供を平等には愛せない。でも、スピアのコトも愛してた。私なりにね」
「そう?SF作家が嗅ぎ回ってる。ヲタクのくせしてヤタラ鋭い時がアルの。ママを調べてる。今度は何を企んでるの?」
「あらあら。久しぶりに連絡をくれたから、仲直りが出来るかと思ったけど無理みたいね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
SATO司令部。レイカ司令官が話してる車椅子にゴスロリの女子はルイナ。秋葉原D.A.大統領の補佐官を務める超天才。
「レイカ、テリィたんの容体は安定してるけど、間違いなく感染してるわ」
「スーパーヒロインじゃなくても"感染"スルの?ヲタッキーズは大丈夫かしら」
「ガス化したウィルスに直接触れなければ問題ナイと思う。でも、テリィたんの血液中のウィルスを分析したトコロ、結晶性シアン化水素が検出された」
何だょソレ?
「結晶性シアン化水素?アウシュビッツで"最終的解決"に使われた毒ガスじゃナイの!なぜソレを紅き死の頭巾が?」
「ミユリ姉様。私、暑気払いで"リアルの裂け目"が出現した時、鼻血を出してしまって…そうか、アレは私の血をゲットして、中に入るためだったのね!」
「何?中に入るって、何処の中に入るの?」
全員がマリレを凝視スル。
「第2.5帝国の北極要塞です」
第3章 第2.5帝国"北極要塞"
1945年、ベルリンが陥落した時、ナチスの多くは南米へ、あるいは南極へ、さらには月の裏側まで逃げたとされる。
しかし、ソレらは全て欺瞞であり、実際は北極の氷の中に眠る浮遊大陸へと逃げたのだ。あらゆる"超科学"と共に。
マリレは"北極要塞"へ飛ぶ。チョビ髭のホログラムAIがお出迎え。
「久しぶりだな、マリレ。ベルリン陥落以来だが、何が知りたい?」
「"プロジェクト・コロナ"って?」
「"プロジェクト・コロナ"は、帝国防衛プラン。感染兵器による帝国防衛システムだ」
澱みなく回答。
「"気狂い電卓"さんがウィルスを作ったの?」
「蒸気省と軍事ギルドによる共同プロジェクトだ。スチーム以外のパンカーを攻撃する。"コロナ"があれば、侵略されても一般人だけを殺せる」
マルチバースの何処かと話が混線しているようだ。
「でも"気狂い電卓"さんの仕事は、世界征服でしょ?」
「スチームパンカーが世界を征服スル。"プロジェクト・コロナ"は、そのための最終決戦兵器だ」
「その決戦兵器が、紅き死の頭巾の手に渡ったw」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再びSATO司令部@アキバのパーツ通り地下。北極要塞から戻ったマリレの報告を聞く。
「リリアは"コロナ"の製法を"気狂い電卓"からダウンロードして盗んだ。つまり、紅き死の頭巾は"コロナ"を作れる」
「スチームパンカー以外のパンクスを殺せる蒸気なのね?」
「ココではスチームパンカーをスーパーヒロインに置き換えて」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「そう…ねぇミユーリ。私に話があるんでしょ?」
「ないわ」
「ないけど…溜め息をつくのね。貴女は隠しゴトが下手だから」
ミユリさんをからかう大叔母さんw
「違うの、イラザ大叔母さん」
「テリィたんに関係あるコト?いつも、貴女は彼の話をしてる。なぜ私に話せないの?」
「話したら、大叔母さんは失望スルかなって」
控えめに探りを入れるミユリさん。
「貴女が秋葉原のメイドになったから、挙句スーパーヒロインに"覚醒"したから、私が失望スルとでも?」
「私に普通の人生を望んでた?」
「貴女の秋葉原のお友達が普通に見えると思う?私は、貴女達を見ていて"普通"が1番だなんて、ちっとも思わなくなった。ミユーリ。貴女は、スーパーヒロイン。特別な子ょ。いつも頑張ってる。だから、どんな貴女でも、私はミユーリを愛してるわ。さ、おいで」
温かいハグ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋に捜査本部が立ち上がり、早速スピアがスパイしに来る。ラギィ警部は、ソレを承知でスピアを迎える。
「私、自分の両親は善良だと思ってた。でも、知れば知るほど見えてくるの、ホントの姿が。あの人の娘であるコトが恥ずかしい」
「ご両親も、それぞれの景色を守ろうとしただけょ」
「悪人も善人も、みんながそう思ってる。でも、私の両親は、スーパーヒロインに死をもたらした」
その時、捜査本部のモニターに突然ルイナの顔のドUPが出現!署のモニターをラボからハッキングして話に割り込むw
「"コロナ"をガス化スル方法がわかったわ!溶剤を見つけるの。地球で使えるのはアイソトープ4540…え。何、テリィたん?」
「ソレって神田花岡町にある1000万ボルト系の原子力"変"電所で炉内生成される奴か?」
「YES。テリィたん、アイソトープ4540が紅き死の頭巾の手に渡ったらお終いょ。殺人蒸気が広まり、スーパーヒロインは死滅スル」
ラギィが叫ぶ。
「捜査本部から全ユニット!神田花岡町へ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
神田花岡町の第3新東京電力 花岡町"原子力"変電所。
「止まれ!武器類を放棄して投降しろ!」
セキュリティがラッパ型に開いた銃口の音波銃を一斉に抜く。迫り来るのは…死んだハズのスーパーヒロイン?
ゾンビ?いや、死体に電極を接続しリモートで操られてるw
「ゲートを突破された!地下のコントロールルームへ退却スル…ぎゃ!」
「おい、どーした?応答しろ!…ん?エレベーターが降りて来る?ゲートの連中か?」
「ソイツは敵だ!ドアを開けるな!」
装甲ドアが溶け落ち目からデス光線を放つセーラー戦士が姿を現す!駆けつけた警官隊が音波銃の一斉射撃を浴びせる…
楽々と跳ね返すセーラー戦士(の死体w)w
「ダメだ!地下変電所内に侵入された!」
「コントロールルームを放棄スル!退却だ!」
「ちくしょう!スーパーヒロインは何処だ?ムーンライトセレナーダーを呼べ!」
その時、破壊されたコントロールルームに消防士の1団が飛び込んで来る。彼等は消防士に偽装したSATOの特殊部隊w
「対ヒロイン兵器"音波バズーカ"前へ!」
腰ダメに構えたホースから超音波が飛びセーラー戦士を直撃!さらに1発!セーラー戦士はフラつくw
「トドメだ!…離れろ、撃つぞ!」
その時、突然赤い稲妻が発生、時空に切れ目が走って"リアルの裂け目"が開くw
「下がれ、アステロイダ!」
セーラー戦士が"リアルの裂け目"に倒れ込む。入れ代わりに"裂け目"からはデス光線が飛び出しラギィの胸を直撃w
「ラギィ!!」
「"リアルの裂け目"が消える!」
「警部が撃たれた!ラギィ警部、負傷!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
SATO司令部。花岡町のモニター画像を確認スル。ムーンライトセレナーダーを囲んでヲタッキーズのエアリ&マリレ。
「結局アイソトープ4540は?どーなったの?」
「姉様、紅き死の頭巾は奪取に失敗した。ソレよりテリィたんの容体は?」
「良くないわ。治療薬も見つからナイし」
マリレが口を開く。
「私が北極要塞でダウンロードしたデータに、治療のヒントがあるカモ」
「確かにウィルスの製法と拡散方法は描いてあった。でも、肝心の治療はハナから想定してなかったみたいなの」
「スピアは?」
エアリの意外な指摘。
「え?」
「スピアのママが殺人蒸気を合成したのでしょ?ママの仲間に聞けば何かわかるカモ」
「スピアは、スゴいショックを受けてた。とても聞けないわ」
消極的なムーンライトセレナーダー。
「姉様。あのママは演技派ょ。人を騙す天才って"ウワサ"ょ」
「いいえ。目を見ればわかるわ」
「姉様のTOが死ぬカモの瀬戸際ですけど?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
結局、スピアを訪ねるムーンライトセレナーダー。
場所は"闇のゲーセン"。旧万世橋駅の地下空間。
「ムーンライトセレナーダー?珍しいわね。まさかゲーセンに遊びに来たワケじゃ…」
「頼みがアルの。スピアのお母さんを見つけたい」
「元カノの私に、今カノの貴女が頼み?」
嫌味ではなくて、全力でキョトンとするスピアw
「スピアのママは、今回の黒幕の紅き死の頭巾」
「単刀直入にありがとう」
「彼女は、秋葉原のスーパーヒロインを殺せる兵器システムを手に入れたの。コレ以上、犠牲者が増える前に居場所を知りたい」
すると、スピアは…明らかに不機嫌な顔にナル。
「貴女も同じね。正義を振りかざしている。貴女の、ご大層なTOもママを追い詰めた。確かにママは聖人じゃない。でも、かと言って悪魔扱いされる筋合いも無いわ」
「親に幻滅するのは辛い。でも、私にはわかる。貴女は母親とは違う。アキバは貴女を信じてる」
「ムーンライトセレナーダー、もう帰って」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヲタクなら誰もが通院経験のアル"外神田ER"w
実は僕の転院先だが、何とラギィが担ぎ込まれる。
「デス光線をコンパクトのミラーで反射した?テクマクマヤコンかょ?悪運が強過ぎるだろ?」
「言うわね。それだけ、口が達者なら、テリィたんも殺人蒸気の影響は消えたのね?」
「いや、瀕死だ。でも"新橋鮫"負傷の報に居ても立っても居られなくてさ。僕の大事な…元カノだから」
ラギィとは、前任地のNSCの頃からの知り合いだ。
「初めてテリィたんに"元カノ"と言われた時、私は絶対に違うと思った。でも、今は幸せょ。だって、やっと自分自身になれたンだモノ。大事なのは、自分がどう生きるか。だから…ありがとう」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
続いて、今度は僕の病室にスピアがお見舞いに来る。
「あれ?スピアが2人に見えルンだけど」
「白内障の手術、失敗だったンじゃナイ?」
「僕は死ぬのかな」
厨二モードで迫る←
「らメェ!ソンなコト言わないで…必ず治療薬が見つかるハズょ!」
「良いンだ。どーせ今まで何度も死に損なって来た。タマには年貢を納めてみるさ」
「死ぬなんて絶対らメェ!ぜーんぶ私のママが悪いの」
スピアは涙目。厨二は需要がアルw
「リリア?」
「違う。マリレが教えてくれたけど"コロナ"を作ったのはチョビヒゲの伍長ょ。あぁ!でも、そのせいでテリィたんが苦しんでいるなんて」
「君ってきれいだね…重荷を背負っているのに」
スピアの金髪(いつ染めたンだょw)を撫でる僕。
「気休めはやめて」
「あぁすごく綺麗だ」
「ごろにゃん」
キス。ハッカーは真っ赤になって周りを見回す。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その日の夜。"闇のゲーセン"。
「1日の間に朝も夜も顔を合わせるナンて、まるで普通の親子みたいね」
「"プロジェクト・コロナ"のためにセーラー戦士の死体ロボットを送り込んだわね?狙いはアイソトープ。ねぇママは全ての黒幕なの?」
「あら。私に説教スルつもり?」
突っ張り合う母と娘。娘が折れる。
「…いいえ。ママの信念にも一理あるわ。必要なら手を貸す用意がアルし」
「あら。あっさりね」
「聞き分けの良い子でしょ?昔からょ」
スピアは、メタルのアタッシュケースを開ける。
中は、赤いアイソトープを収めたガラス容器だw
「ママの欲しがってたモノ。見直した?」
「意外だわ」
「もっと私を知るべきね」
第4章 お盆休みに赤い霧
SATO司令部。警報が鳴り響く!
「こちらコンピューター衛星"シドレ"です。神田花岡町に放射線反応。テロリスト"人類旅団"に強奪された"アイソトープ4540"由来の放射線と断定。SATO全ステーション、第1級非常体制。ブルーのレッドの4」
衛星軌道からの警告にSATO司令部は騒然だw
「例の"アイソトープ4540"が"闇のゲーセン"から動き出した!」
「連中は"タイムズスクエア"で殺人蒸気を撒く気だ」
「ガス化して大気中に放つなら最適ポイントだ。電気街全体に拡散してインバウンドが全滅スルw」
その時。司令部の全モニターがハッキングされるw
「悪夢が終わる。今宵、地球上の全てのスーパーヒロインが死ぬ。地球は人類のモノ。未来はヲタクのモノ。私は"人類旅団"の"紅き死の頭巾"」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
先ず"外神田ER"。
「ラギィ、逝くぞ!"タイムズスクエア決戦"だ!」
「テリィたん?ダメょ!殺人蒸気を吸ってヤケになってるの?私も傷痕が…」
「死んでも構わない。どーせ死ぬなら、信じる主義のために戦い、愛するアキバのために死ぬ。ヲタクの手でスーパーヒロインの運命を変えてみせる」
病棟の廊下をコツコツと歩く音。僕は振り向く。
「テリィ様は、逝かせません。ソレは、テリィ様に推された者の使命だから」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。アキバのタイムズスクエア。
「こちらコンピューター衛星"シドレ"です。"タイムズスクエア"に高熱源反応。正体不明の8輪重装甲車が後部ミサイル格納コンテナを発射体制に展開中。ブルーのレッドの4」
「8輪重装甲車は、後部ウェポンベイをOpen!あ、アレは…」
「"コロナ入りスーパーヒロイン皆殺しミサイル"だ!」
一方、重装甲車を前に発射管制盤を囲む母と娘。
「スピア。ミサイル発射装置の鍵を受け取って。貴女がホンキだとママに証明するのょ。この秋葉原からスーパーヒロインを一掃するの」
躊躇いなく管制盤にキーを差し込むスピア。
「私、ママの娘だから」
キーを回す。ミサイル格納コンテナから白い噴煙が噴き出して、ビルの谷間から夜空に向かってミサイルが発射される。
「遅かった?!ミサイルが発射されたw」
「おやおや。ヲタッキーズ、今頃お出ましかい?行け!死体ロボット!」
「ココは任せて!姉様はミサイルを止めて!」
タイムズスクエアに舞い降りたヲタッキーズを、セーラー戦士の死体ロボット(太陽系内外w)が取り囲む。
メイド服vsセーラー服。どちらもミニスカコスプレで、さながらヒロピンAV夏休み企画並みの豪華さ←
「待て!ムーンライトセレナーダー、お前の相手は私ょ!」
ムーンライトセレナーダーは、発電器官が発達したヒロインで、自ら発電スル強電圧のイオンクラフト効果で空を飛ぶ。
発射されたミサイルに取り付き、外装を剥がし中の配線をショートさせるが…飛行原理不明の赤頭巾が追っかけて来るw
「待って!貴女も空を飛ぶの?作者は、も少し設定を詰めてから飛ぶコトにしないと!」
「問答無用!えいっ!」
「何ょ!」
上昇を続けるミサイルを背に、悶絶しながら首を絞め合う!
「首の締め合い?ヒロピンの定番だけど、ムーンライトセレナーダーの弱点、腹パンチを叩き込めないわ!」
「上等ょ!地獄に送り返してやる!」
「アンタの言う通り、アタシは上等ょ!」
次の瞬間、ミサイルは大爆発!
夜のアキバに…赤い霧が降る。
「コレで秋葉原のスーパーヒロインは全滅だわ!」
高笑いスル赤き死の頭巾を逆さに抱え、そのママ急降下してラジ館前のアスファルトに叩きつける!
ムーンライトセレナーダーの"急降下パイルドライバー"!スクエアに大の字になりピクつく頭巾w
「ミサイルが爆発した!この赤い霧は…コロナ?」
電気街にいた者は全員、スーパーヒロインもヲタクも一般人も空を見上げ、降って来る赤い霧を満身に浴びる。しかし…
「おかしいわ。スーパーヒロインは死ぬハズなのに…アイソトープをすり替えたのね?コロナを無効にした!」
「そうょママ。ついでに、警察も呼んどいたわ」
「もはやコレまで。さようなら、スピア」
自爆でもスルのかと思ったら、赤い光で時空を切り裂き"リアルの裂け目"に逃げ込む。悪の女幹部だけに逃げ足の速さは天下一品だw
「マルチバースに逃げ込まれた。追跡不能だ」
「テリィたん、大丈夫?」
「無事だけど… 僕より逃げ足の速い奴がいるナンてw」
僕は、フランス人みたいに肩をスボめて見せる。
「ところで、突然だけどテリィたんの元カノ戦隊の名前"ミレン5"に決めたから」
「そりゃスゴい名前だなw」
「みんな、テリィたんが悪いのょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
冥王星沖。時空60万マイル。
「マスター"ゼリル"、時空波動帯の垂直跳躍に成功。本船は"ヲタクの泉"に到着…第3皇女の脱出カプセルは無し」
「見つけなさい」
「時空ステルスを解除。イオン航跡をトレース」
マスター"ゼリル"はつぶやく。
「種を滅ぼし、星を砕いても構わない。時空の果てまで追い、必ずや"ミユーリ"を見つけ出すのょ」
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"ヒロイン皆殺し"をテーマに、マルチバースの支配を狙う悪の女幹部に娘のハッカー、セーラー戦士ゾンビ、スーパーヒロイン皆殺し計画を追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズ、敏腕警部などが登場しました。
さらに、主人公の元カノ達の戦隊結成騒ぎなどもサイドストーリー的に描いてみました。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、大型台風下でも勢いを失わないインバウンドで埋め尽くされた秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。