後日談2 もえる朝焼け空
終電時間も過ぎた、真夜中の駐車場。
「ごめんね、遅くまで棚卸し付き合わせちゃって」
「いいんです。家には連絡してありますし……というわけで」
「……うん」
「一晩お世話になります」
立ち寄ったコンビニで、凛ちゃんはお泊まりセットご購入。
「うちにあるの使えば?」なんてのは、さすがにまだ馴れ馴れしいと思ったり。
「こういうの買うの、ちょっと憧れてたんです」
そう言って手に取った洗顔はさっぱりタイプ。若さが眩しいぜ……。
一人で何百回と往復したアパートの階段を、初めて二人で上って行く。
「ここが翠子さんの――」
……あれ? 初めてだっけ……?
*
――そっか。これは夢だ。
意識した途端、まどろみから目覚めてゆく。
キッチンの小窓から朝焼けを眺めながら、二人分の朝食を作るのも何度目だろう。
昨夜作り置きしておいたミニハンバーグ。あなたはいつかと変わらぬ無邪気な笑顔で頬張る。
「凛ちゃん、忘れ物ない?」
「大丈夫。今日は忘れてませんよ」
首に下げたペアリングを誇らしげに見せるあなたに、
「それもだけど、こっちも気をつけて」
私はそっと折り畳み傘を手渡した。
「では翠子さん、お先に。いってきます」
「うん。いってらっしゃい」
踏み出す先が雨降りでも、私が守ってあげるから。