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第三十二話 最初から敵だった

「ああ……死ね」


 サルトはいきなりそう言うと、俺の首に剣を突き刺した。


「よし、殺し……は!?」


 サルトは目を見開いた。まあ、実は俺も驚いている。何故なら、サルトの剣は俺に小さな傷しかつけられていないのだ。

 俺ほどのステータスになると、急所である首ですら、とんでもない防護力になっているなっているのだろう。


「ま、取りあえず……はあっ」


 俺はいきなりサルトに襲われなことに唖然としたが、直ぐに我に返ると、サルトを前方に投げ飛ばした。


「がはっ……まさかそれほどの魔道具を持っているなんてな」


 俺に投げ飛ばされたのにも関わらず、サルトは直ぐに立ち上がった。


(ん? ステータス的にありえないはずなんだが……て、は!?)


 俺はサルトのステータスを見て、目を見開いた。

 ー--------------

 名前 サルト 人族 LV.66

 体力 7600/7900

 魔力 9100/9100

 攻撃 8900

 防護 12100

 俊敏性 9000

 スキル

 ・剣術LV.7

 ・物理耐性LV.6

 魔法

 ・なし

 ー--------------

 LVが前に会った時の丁度三倍になっていた。


「サルト……なんか前よりも強くなりすぎてないか?」


 すると、サルトは楽しそうに笑った。


「はははっ凄いでしょ。それはね。弱体化の腕輪をつけていたからなんだ。潜入調査をする時は目立たない方が良いからね。ただ、あの時のウォルフの言葉にはヒヤッとしたなぁ……あの時、〈真偽〉に引っかからないように受け答えしておいて正解だったよ」


 サルトの口ぶりからして、どうやらサルトは最初から神の涙の人間だったようだ。


「なるほどな……俺をあっちに行かせたのもこの為か……」


「そうだよ。陰の支配者(シャドールーラー)が足止めしてくれたおかげで、こいつら全員を捕らえる時間を作れたんだ」


 どうやら神の涙という組織は取引相手の陰の支配者(シャドールーラー)を潰してでも、俺を始末したかったようだ。


「何故そこまでして俺を殺そうとするんだ?」


 俺は別にこいつらを滅ぼす為に動いているわけではない。それなのに、ここまでして殺そうとしてくる理由が分からなかった。すると、その質問にシャオニンが答えた。


「そりゃ君は僕の部下を殺したからね。ほら、君が護衛していた馬車に人が来たでしょ? あれ、僕の部下なんだよ。それに、その後もどんどん僕の部下を殺したからね。これはもう絶望を見せながら殺すしかないっしょ、と思ったんだ。で、こうしたってわけ」


 そう言われた時、俺は思い出した。確かカルトリで襲ってきた男がそんなことを言ってた気がする。

 だが、俺がそのことを思い出した瞬間、後ろに気配を感じた。


「!? はあっ」


 俺は素早く後ろに振り返ると、そいつの首を掴んだ。


「ちっ〈気配察知〉を使わないときつかったよな……て、こいつは!?」


 俺はこいつの顔に見覚えがある。確かこいつは、カルトリで最初に襲ってきた二人組の生き残った方だ。


「が……ぎざまぁ!!」


 男――ノームはもがきながらも、人とは思えない声で叫んだ。


「ちっ 仕返しってことか。ただ、それはお前らが襲ってこなければよかっただけのことだ」


 俺はそう言うと、近くの地面に叩きつけて殺した。


「おー凄いね。あの子の〈気配隠蔽〉が意味をなさないなんて……まあ、もう交渉は決裂っぽいし、殺しちゃっていいよ。出来るだけ痛めつけるようにしてね。あ、こいつらの見張りは僕がしとくから安心していーよ」


 シャオニンは心のこもっていない拍手をすると、部下に命令した。すると、それと共にみんなを取り押さえていた神の涙の連中が襲い掛かってきた。


「じゃ、やるか……」


 俺はそう呟くと、〈アイテムボックス〉から白輝の剣を取り出した。そして、〈剣術〉、〈気配察知〉を使うと、目の前に迫っていた四人の首をまとめて切り落とした。


「なっ……おい! 一斉に叩き込――ぐはっ」


 俺は神の涙の連中を、僅か数秒で半分近く倒した。


「あとはこれで終わらせる。〈雷速砲(サンダーキャノン)〉×四十!」


 俺は極小の〈雷速砲(サンダーキャノン)〉を大量に撃って、残ったやつらの心臓を消し飛ばした。

 これで残っているのはシャオニンとサルトだけだ。


「ば、馬鹿な……」


 サルトは目を見開き、唖然としていた。そして、剣を持つ手は震えている。だが、シャオニンは相変わらず子供っぽい笑みを浮かべていた。


「あははっ強いね~僕の想像以上だよ。でも今ので魔力がなくなっちゃったんじゃない? それに、僕がここにいる限り、君は僕に戦いを挑むことすら出来ないねぇ~」


 シャオニンはそう言うと、衛兵たちに剣を突きつけた。あの笑みがイラつくが、こいつの実力は本物だった。

 ー--------------

 名前 シャオニン 人族 LV.81

 体力 10200/10200

 魔力 5100/5100

 攻撃 14100

 防護 10100

 俊敏性 14300

 スキル

 ・身体強化LV.8

 ・薬物耐性LV.6

 魔法

 ・なし

 ー--------------

 こいつのステータスは今まで見てきた人間の中では一番高い。あいつのくそみたいな煽りも、ステータスが高いからこそ出来るのだろう。

 だが、俺の方が高い。


「シャオニン。お前は勘違いをしている」


「ん? どんな?」


 シャオニンはニコニコしながら聞いてきた。


「それはな。お前の方が弱いということだ。〈重力操作(グラビティー)〉!」

読んで下さりありがとうございます。

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実はサルトが裏切っていることを匂わせることは書いていたんですよ。

例えば、神の涙はユートの使う魔法を水、火、土の三属性だと思っていましたが、これはDランク昇格試験の際にユートが使った魔法をサルトが伝えてたからなんですよね。

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