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第二十九話 作戦会議

「では、衛兵隊長、デークスがこの会議のまとめ役をします」


 今、会議室に入ってきた男、デークスの言葉で会議が始まった。


「まず、影の支配者(シャド―ルーラー)のアジトの可能性がある場所が三つ確認されている。一つ目が南西にある建物の地下、二つ目が北にある建物の地下、三つめがダンジョン前にある広場のすぐ横にある建物の地下だ。〈気配察知〉のスキルを持っているやつがそれらの建物の地下に不審な人の気配がすると言っていたから少なくとも何かしらの犯罪組織ではありそうだ。では、これらを踏まえた上で作戦を考えてくれ」


 その言葉に、真っ先に手を上げたのはサルトだった。


「あの、ちょっといいですか。実は、ニナが攫われた方向を見たんですけど、あの男たちは南の方向に行きましたね」


 どうやらサルトは逃げる方向を見ていてくれたようだ。サルトは冷静な人なので、こういう時に頼りになる。


「なるほど……よくやった。これであいつらを追い詰めることが出来る。ただ、念の為他の二か所にも人は送っておいた方がいいな」


 その言葉に、周りにいた衛兵全員が頷いた。


「サルト、見ててくれてありがとな!」


 ライザがサルトの肩をバシッと叩き、それにサルトは苦笑いしていた。


「では、人員配置を決める。北には冒険者一人と五番隊、ダンジョン前が四番隊、そして、残り全員が南西に向かう。それでは準備してくれ」


 こうして会議が終わった俺たちは出発の準備を始めた。俺は、流石にノアを連れて行くのは危険なので、衛兵の詰所にあずかってもらうことにした。


「ノア、パパはこれから悪い人たちを倒しに行くからここで待っててくれるかな?」


 俺がそう言うと、ノアは寂しそうな顔をするも、「パパ、頑張って!」と言ってくれた。


 ライザとサルトはやる気満々で、「絶対に助け出してやる」と意気込んでいた。

 その後、俺はサルトから「君は強いから人数が一番少ない北に行ってくれないか?」と頼まれたことで、俺は北に行くことにした。

 北に行くのは俺の他に、ゲリオスという黒色の髪と金色の眼を持つガタイのいい男性が率いる二十人の部隊だ。

 俺は、彼らと共に北に向かった。





「ここが……」


 見た感じはただの宿だ。だが、〈気配察知〉を使うと、下に五十四人の人の気配を感じた。しかも、気配の感じからして碌な人間ではなさそうだ。


(南西じゃなかったのか? いや、アジトが一つとも限らないか……)


 そう思っていると、ゲリオスさんが宿の中に入った。そして、それに続くようにして俺たちも中に入った。


「おや? お泊りですか?」


 宿の中年の女主人が平然と声をかけた。


「手を上げろ! 下には何を隠している!」


「え? 確かに地下室はありますけど何もありませんよ?」


 女主人は困ったように首を傾げた。だが、嘘を付いているかどうかは〈真偽〉のスキルを持っている衛兵のおかげで、直ぐに分かった。


 その結果は――嘘


 まあ、俺は最初から気づいていたので、「だよな」と思った。


「嘘を付いていることぐらいすぐ分かる! おい! この女を捕らえろ! 俺は床を破壊する」


 ゲリオスさんがそう言うと、衛兵は手際よく女を縛り、外に連れて行った。そして、ゲリオスさんは〈身体強化〉を使うと、背中に背負っていた大剣を引き抜くと、地面に叩きつけた。


 ――ドゴォン……


 大きな破壊音と共に、地面に大穴が空いた。そして、下にいたガラの悪い男二人が驚愕の表情をしていた。だが、そのまま下に落ちたゲリオスの大剣のさびとなった。そして、それに続くようにして衛兵たちも下りていく。


(凄い強行突破だな……)


 とんでもないほどの力づくのやり方に唖然としつつも、俺もみんなに続いて下に下りた。



「さて……あっちに人が三十三人。そっちに十九人か……」


 俺は〈気配察知〉で正確に数を知ると、〈アイテムボックス〉から白輝の剣を取り出した。


「ゲリオスさん。あっちに人が三十人ほど、そっちに二十人ほどいます」


 俺は分かれ道で、それぞれ指を指して教えた。


「ほう。人数すらも分かるとは。若いのに中々やるな」


 ゲリオスさんは顎に手を当てながら、感心するように言った。


「はい。それで、二十人の方は俺が一人で片づけるので、皆さんは三十人の方をお願いします」


 俺がそう言うと、ゲリオスさんは目を見開いて驚いたが、直ぐに納得したような顔になった。


「なるほど、そっちにさらわれた人たちがいるってことか。ただ、それでも見張りが二、三人いると思うけど大丈夫か?」


 〈気配察知〉を使った感じ、実はゲリオスさんたちが行く方がさらわれた人たちがいる場所なのだが……まあ、ここでわざわざ説明する意味もないので、「二、三人くらいなら流石に大丈夫ですよ」と言った。


 その後、ゲリオスさんたちは小走りで、先へ進んだ。


「では、行くか」


 俺はそう呟くと、奥へ進んだ。

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