第十四話 空飛ぶ魔物
「これで準備完了かな?」
準備を終えた俺はすれ違う人が全くいなくなったことでもう使う必要もなくなった変装用の魔道具を〈アイテムボックス〉に入れた。
そして、〈アイテムボックス〉から白輝の剣を取り出すと〈身体強化〉、〈風強化〉、〈剣術〉、〈結界〉を使った。
「よし、行くか」
俺は気合を入れると、四十五階層に下りた。
四十五階層に下りると、早速ブラック・タイガーに遭遇した。
「よし、早速試すとするか」
俺はそう言うとまず〈光防具〉を使った。
〈光防具〉は使うと全身が薄く白く光り輝いた。
感覚としては全身に薄い膜が張られたような感じだ。
「さ、攻撃してみるがいい」
俺は左手の人差し指をくいくいっとやって軽く煽った。
「グルルル!!」
ブラック・タイガーは俺の煽りに威嚇で答えると、鋭い牙を見せつけながら突撃してきた。
対する俺は守りの態勢になった。
「はあっ」
俺はブラック・タイガーの突進を両腕で抑えるようにして受け止めた。
「お、思ったよりも強度があるな」
ブラック・タイガーの牙が俺の手首に当たっているが、〈光防具〉のおかげで皮膚には届いていない。
まあ、結構ギリギリだったが……
「グガ!?」
ブラック・タイガーは牙が刺さらないことに困惑していた。
「じゃ、次の実験の為にちょっと俺から離れてくれ」
そう言うと、俺は左腕でこいつの頭をつかむとボール投げの要領でブラック・タイガーを投げ飛ばした。
「ギャイン」
ブラック・タイガーは二十メートルほど投げとばされると子犬のような鳴き声で地面に頭から激突した。
「では、〈炎槍〉!」
〈炎槍〉は〈氷槍〉や〈土槍〉の炎バージョンだ。
そして、〈火矢〉の上位互換とも言える。
そんな魔法がブラック・タイガーの頭に一直線に飛んでいった。
「グルァ!」
ブラック・タイガーは俺を睨みつけた。
その眼には「俺を殺しても第二第三の俺が現れていつかお前を殺す!」とでも言いたそうな感じだった。
しかし、それが俺に伝わるのと同時にブラック・タイガーの頭に穴がぽっかりと開き、死骸は塵になって消えた。
「なるほどな……あ、〈水回復〉の実験忘れてたな……」
俺はやり忘れたことを頭を掻きながら後悔した。
まあ、〈水回復〉というのは魔力を少し多めに使う〈回復〉だと、トリスの図書館で知ったので、今後使うことはなさそうだ。
もし使う時があったとしたら使える属性を隠す時ぐらいだろう。
「ま、実験はこれくらいにして先に進むとするか」
そう言うと、俺は奥を目指して走り出した。
「よし、時間はかかったがようやくフロアボスの部屋に着いた」
大体六時間ほどかかってしまったが、ようやく五十階層の奥にある扉の前にたどり着いた。
「じゃ、入るとするか」
そう呟くと、俺は扉を開け、中に入った。
「ん?なんか高くね?」
今までのフロアボスがいる部屋の天井までの高さは十メートルほどだったが、ここはその三倍の三十メートルはあった。
そして、この部屋の中央には鷲のような顔と翼。そしてライオンのような胴体を持つ魔物がいた。
〈鑑定〉をしてみると、
ー--------------
名前 グリフォン LV.60
体力 9000/9000
魔力 10500/10500
攻撃 9100
防護 8900
俊敏性 11800
魔法
・風属性
空を自在に飛び回ることが出来る。
上空から魔法を撃ったり、急降下して獲物を捕らえる。
ー--------------
と表示された。
「グギャア!!」
グリフォンは俺を見つけるなり、俺のことを威嚇した。
そして、翼を羽ばたかせて二十メートルほど上に飛びあがった。
そして、上空から威力高めの〈風刀〉を数十個撃ってきた。
「まあ、対処は簡単だな。〈結界〉!」
俺は〈結界〉を張った。
そして、その直後に俺の元に大量の〈風刀〉が俺を襲った。
だが、所詮は〈風刀〉だ。この程度では俺の〈結界〉を破壊することは出来ない。
俺は〈風刀〉を全て防ぐと、反撃の準備をした。
「じゃ、数の暴力ってやつをくらうがいい」
そう言うと、俺は〈氷槍〉×百五十をグリフォンに撃った。
「グギャ!?」
グリフォンは飛んでくる〈氷槍〉を見て、「はあ!?多すぎだろ!?」て感じの顔になり、動きを一瞬止めた。だが、直ぐに我に返ると全力で回避しようとした。
だが、これほどの弾幕を反応が遅れたグリフォンが避けられるわけもなく、全身に〈氷槍〉受けた。
「グギャアア!!」
グリフォンは断末魔と共に全身から血を流しながら落下した。
そして、地面に落ちながら塵になり、奥に扉が出現した。
「よし」
初めて空を飛ぶ魔物と戦ったが、問題なく仕留められたことに小さくガッツポーズをとった。
その後、魔石を回収すると扉へ向かった。そして、扉を開いて部屋の外に出た。
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