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第四話 冒険者の成れの果て

「ん~順調順調」


 続く二階層と三階層だが、出てくる魔物は一階層と全く同じだったので、特に苦も無く襲ってくる魔物たちを瞬殺していった。

 しかし、四階層へ下りる階段が見えたところで油断した人をターゲットにしたような罠があった。


「お、これで三階層も終わりか」


 そう言って四階層へ続く階段に向かおうとした時、


「カチッ」


 という音が足元から聞こえた。

 その直後、右側の壁から一本の矢が飛んできた。


「!? はあっ」


 俺はそれを白輝の剣で即座に切り落とした。


「ふぅ……こんな所に罠があったのか…ライザは知ってたのか?」


 ライザは昨日ここを通っていそうなので、咄嗟に聞いてみた。


「いや、知ってるも何もダンジョンの罠は定期的に変わるからな」


「なるほど…罠は定期的に変わるのか…」


 まあ、罠の場所がずっと同じだったら罠の場所が書かれた地図が売られてしまい、罠としての意味がなくなってしまうから定期的に変わることには納得できた。


「てかダンジョンってだれが作ったんだろ?」


 俺はふと疑問に思ったことを口に出した。


「あ~ダンジョンって言うのは洞窟の中に大量の魔力が集まることで出来るって聞いたな。そして、どのダンジョンにも最深部にダンジョンコアっていうのがあって、それがダンジョン内の魔物の出現や罠をコントロールしてるって聞いたぞ」


「そうなのか……」


 それにしても罠の位置を人が油断するような所に設置したり、下に行くほど強い魔物が出たりする辺り、ダンジョンコアというものは知性のある魔物のような感じがした。まあ、もし俺がこのダンジョンを攻略出来たら確認してみるとしよう。


「ねえ、そろそろ昼食にしない?」


 このまま進みそうになった俺とライザをニナが引き留めた。

 言われてみればここに来るまでにかかった時間は約五時間。ダンジョンに入ったのが午前八時だから丁度今が昼食の時間だろう。


「あ~言われてみれば腹減ってきたな……階段で食べるか」


 ライザも賛成したことで俺たちは階段の隅に座って昼食をとることにした。階段は、ダンジョンに入る時の階段と同じくらい横幅が広いので、他の冒険者の邪魔になることはない。

 昼食は俺がピザパンとフルーツサンド。ライザたちが干し肉。

 この圧倒的な食糧格差を目の当たりにした三人から妬みの視線ビームをくらったが、俺は視線を横にそらして回避した。





「じゃ、行くか」


 昼食を食べ終わった俺たちは四階層へ下りた。




「う~ん……ダンジョンで出てくる魔物が全然変わらん」


 さっきから出てくるのはグリーンゴブリン、岩狼(ロックウルフ)、キングスライムだけだ。

 罠も、矢が飛んでくるやつが多少あったのだが、対処は簡単だったので特に問題はない。

 そう思っていると、


「ん?何だあれは?」


 奥からカラカラという音とともに錆びた剣を持った骸骨が姿を現した。

 見た目は理科室にある骨格標本と全く同じだが、心臓と同じ位置に深紅で半透明の魔石があった。

 何という魔物か予想がつくが、一応〈鑑定〉しておこう。

 ー--------------

 名前 スケルトン LV.10

 体力 500/500

 魔力 500/500

 攻撃 300

 防護 400

 俊敏性 600

 弱点

 ・光属性

 スキル

 ・超速再生LV.5

 死者に魔力が集まることで生成される。

 魔石と体の接続が切れない限り何度でも再生する。

 ー--------------

「まあ、スケルトンだよな」


 シンさんが人や魔物の死骸から出来る魔物の中にスケルトンというのがあった。

 高い再生力は厄介だが、魔石と体を引き離してしまえば倒すことが出来る。

 俺は素早くスケルトンに近づくとスケルトンをバラバラに切り刻んだ。しかし、スケルトンの残骸はカタカタと音を立てて再生しようとする。だが、俺は完全に再生される前に魔石を抜き取った。

 すると、パチッと静電気のような音がした。そして、それとともにスケルトンは動かなくなった。

 その後、スケルトンの残骸は塵になった。

 俺は他の十二体にも今と同じ動作をして倒した。


「やれやれ……スケルトンが出たってことはこの辺で調子に乗ったやつが死んだのか?」


 どうやらこのスケルトンはダンジョンが生み出したものではなく、死んだ冒険者の成れの果てのようだ。


「これが調子に乗ったライザの末路ってやつね」


「ちょ、だからそういう不吉なことを言うなよ! サルト、お前からもこいつに何か言ってよ!」


 ニナのフラグになりそうな発言にライザはサルトに助けを求めたが…


「ははは……流石に僕もニナの味方をするかなぁ……」


 と、サルトはライザの味方にはなってくれなかった。


「じゃ、じゃあ取りあえず先進むぞー」


 俺たちはこのままさらに奥へ進んだ。

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