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第五十八話 地味に痛い

 試験を終えた俺は受付に戻っていた。


「Cランク昇格試験が終わりました」


 俺は上機嫌でそう言うと、カルダンさんから受け取ったCランク昇格証明書と書かれた紙を手渡した。


「はい。では昇格手続きの為、冒険者カードを出してください」


 俺は〈アイテムボックス〉から冒険者カードを出すと受付嬢に渡した。

 受付嬢はそれを受取ると「手続きには十分ほどかかるのでギルド内にてお待ちください」と言われた。




 冒険者ギルドにある酒場の椅子に座り、のんびりしているとさっきの受付嬢が俺に近づいてきた。


「これが新しい冒険者カードです。Cランクからはそれなりの偽装防止の加工が施されています。それで、本人確認の手段として使う為にも血を一滴ここに垂らしてください」


 そう言われて渡されたのは金色になった冒険者カードだ。そして、その裏には真ん中に黒い円があり、俺はそこに人差し指から出てくる血を垂らした。血は貸してくれた針を使って出した。

 血は黒い円に垂れると染み込むようにして消えた。


「はい。これであなたは晴れてCランク冒険者になりました。Bランク昇格試験を受ける為にはCランクの魔物を百体討伐する必要があります。それでは、頑張ってください」


「ああ、分かった。ありがとう」


 受付嬢の最後の笑顔に目を引かれたが直ぐに視線を下に向けて礼を言った。

 受付嬢はそんな俺を見て「ふふっ」と笑うと受付に戻っていった。


 その後、俺は冒険者カードを〈アイテムボックス〉に入れると冒険者ギルドを出た。


「んーどうすっかな~」


 外はだいぶ暗くなっており、冒険者ギルドにある時計では午後五時四十五分を指していた。

 夕飯にするには少し時間が早い。


「…じゃあ先に宿を取ってから夕飯にしようかな?」


 そう決めた俺は宿探しの旅を始めた。




「ま、いつものようにちょっとお高い宿だな」


 俺はニ十分ほどで水月亭という一泊朝食付きで一万五千セルの宿に入った。


 俺は二階にあるニ〇八号室に入ると鍵を閉めた。

 室内はグランの緑林亭と似たような作りだ。違いを上げるとするならそこよりも少し部屋が広いところ。あとは手を洗う為の水道があるところだろう。

 俺はローブと靴を脱ぐとベットの上にあおむけで寝転がった。


「はぁ~今日はいろいろあったな~」


 冒険者ギルドで冒険者に百点満点の土下座をされたり、図書館で魔法や武術について詳しく学んだり、白輝の剣に釣られた冒険者に襲われたり、神の涙の連中に襲われたり、Cランク冒険者になったりもした。

 俺はため息をつくと体を起こした。そして、〈アイテムボックス〉からピザパンを取り出した。


「やっぱ行くのめんどくさいな……」


 今日はいろんなことがあった為普段よりも疲れている。とは言っても体力は満タンなのでこの疲れは主に精神的なものだろう。



 俺はピザパンを食べ終わると続けて塩パンも取り出して食べた。その後、俺は〈アイテムボックス〉からコップを取り出すといつものように〈水球(ウォーターボール)〉で水を入れて飲んだ。


「う~ん……どうするかな~」


 まだ午後七時を過ぎたぐらいだと思うので寝るには早すぎる。俺は暇つぶしにステータスを眺めた。

 ー--------------

 名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.53

 体力 11350/11350

 魔力 15500/15500

 攻撃 9850

 防護 8200

 俊敏性 12600

 スキル

 ・鑑定LV.MAX

 ・言語翻訳LV.MAX

 ・身体強化LV.9

 ・剣術LV.8

 ・アイテムボックスLV.MAX

 魔法

 ・火属性

 ・水属性

 ・風属性

 ・土属性

 ・光属性

 ー--------------

「あ、LV上がってた」


 LVが53に上がっていた。更に、剣術もLV8に上がっている。ただ、見れば分かる通り、防護の上がり具合が他と比べるとかなり低い。

 もうこれは最終手段のわざと攻撃を受けるというのを繰り返すべきか…ん?


「これって攻撃を受けるに関しては別に魔物じゃなくてもいいよな?」


 更に、それを詳しく考えると、自分で自分を殴っても上がり具合が変わる可能性があるということだ。


「〈回復(ヒール)〉もあるし、物は試しって言うしな。…はあっ」


 俺は右拳で左腕を強く殴った。すると、ボキッと骨が折れたような音がした。


「くっ〈回復(ヒール)〉!」


 俺は痛みその腕を押さえながら、即座に〈回復(ヒール)〉で元通りにした。


「う~ん…取りあえず二時間ほどこれを試してからLVを1だけ上げて防護の上がり具合を比較してみようかな」


 俺は骨を折ったら治す、折ったら治すという動作を全身にやり続けた。


 いくら直ぐに治しているとはいえこの動作は地味に痛かった。


(これで結果でなかったら俺泣くぞ…)


 俺は痛みに耐えながらそう思った。

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