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第四十八話 オーク討伐 後

 ここにいる全員が集まったところでザクさんが口を開いた。


「オーク集落にいたオークの討伐、ご苦労だった。討伐証明部位と魔石に関してはオーク・キングはユート、それ以外は俺でも分からないからそれぞれ話し合って決めてくれ。ただし、それで少しでももめたらそこで討伐証明部位および魔石を取ることは禁止とするからそのつもりでいてくれ」


 ザクさんから若干の威圧が混じった声で忠告が入った。


(あれ?俺何体倒したっけ?)


 逃げ出そうとするオーク五体と最初に倒した五十体は覚えているがあとはよく覚えていない。ダメージは俺が与えてとどめは赤き龍の三人のオークもいるので余計に分からない。

 というか、他のパーティーの討伐証明部位と魔石の回収している所を見て思ったのだが、どうやらみんなあらかじめパーティーごとにどこを狙うのかを決めていたようだ。その為、揉め事起きていなかった。


 一先ず俺はオーク五十五体から討伐証明部位の右耳と魔石を爆速で取った。

 具体的にはまず白輝の剣で右耳を切り取って〈アイテムボックス〉に入れる。次に腹を切り裂き、そこから直接魔石を〈アイテムボックス〉に入れるといった感じだ。


 全て取り終わったところで俺はオーク・キングの所へ向かった。


(あれ?こいつの討伐証明部位って右耳か?)


 もし右耳だとしたら普通のオークとの区別がつかないのでどうやって判別するのかという疑問が出てくる。これは先輩冒険者である赤き龍の三人に聞いてみよう。


「なあ、カイ。オーク・キングの討伐証明部位ってどこだ?」


 オークの討伐証明部位を取っていたカイは俺の言葉で手を止めると振り返った。


「ん?こいつの討伐証明部位は二本の短い角だ」


「分かった」


 確かにオーク・キングにしかないものというと二本の短い角だ。

 俺はその角を根元から白輝の剣で切断した。その後、腹を切り裂いて魔石も取り出した。魔石は黄土色で半透明、大きさは十五センチメートルほどだ。


「てかこいつの肉って美味しいんだったな…」


 カルトリで食べたオーク・キングのステーキはオークと比べると凄く美味しかった。それが目の前に丸々一体分置かれている。


「これごと回収しとくか…」


 ザクさんにこれ以上入らないと嘘をついているので、ここで入れてしまったらその嘘がばれてしまう可能性が高い。ただ、食欲には勝てず、結局収納してしまうのであった……


 周りを見ると、〈火球(ファイアボール)〉によって焼かれ、地面に埋められるオークの死骸があった。


「あ、燃やして埋めないとアンデットになるんだったな」


 Dランク昇格試験の時にシンさんが魔物や人の死骸は燃やして埋めないとアンデットになると言っていたことを思い出した俺は討伐証明部位と魔石が切り取られたオークを次々と〈火球(ファイアボール)〉で燃やし、〈地面操作(アースコントロール)〉で穴を作って埋めた。






「よし、これでやることは終わったな。保護した人たちを囲むようにして帰るぞ!!」


 オーク討伐を無事完了させた俺たちはマリノへ帰った。













「よし、じゃあ報酬金を渡すから並んでくれ。ついでにテントも置いといてくれ」


 俺たちは今冒険者ギルドの会議室にいる。そして、報酬金をもらうために俺たちはザクさんの指示で一列に並んだ。

 そして、少ししてから俺の番になった。


「ユート。今回はお前が一番活躍してくれたからな。だからちょっとだけ報酬金を上乗せしといたぞ。あと、今回はこちらから頼んだ依頼だから特別にオーク・キングの討伐証明部位なら出してもいいように受付に言っといたから安心してくれ」


 そう言われて渡されたのは小金貨四枚。つまり四十万セルだ。


(ちょっとじゃないじゃん……)


 元々もらえるはずだった報酬金の二倍の額に驚きつつも俺は報酬金四十万セルを受取ると、〈アイテムボックス〉に入れた。


(てかオーク・キングは出してもいいのか…)


 オーク・キングの報酬金は中々に高そうなので楽しみだ。


「じゃ、後は討伐証明部位を渡せばこの街でやることは終わりだな…あ、あと昨日教育(リンチ)したやつらから授業料(賠償金)を貰わないとな」


 俺はそれらを受取る為に会議室の外に出ようとしたらいきなり肩をつかまれ…そうになったので咄嗟に避けた。そして、そのままくるりと振り返ってみると、後ろにいたのはシドだった。


「それは避けちゃいけないやつだと思うんだけどなぁ…まあ、それは置いといて今の依頼の前に約束したよな。『模擬戦をする』とな。実は訓練場に俺らが使える場所は既に確保してあるんだ。じゃ、やりに行こうか」


「わ、分かった…」


 空気が読めなかったことを悔やみつつも俺たちは訓練場へと向かった。








「よし、じゃあこれから模擬戦を始める。互いに基本剣で戦ってくれ。というかあんな魔法を使われたら大惨事になるからマジでやめろよ」


 カイから「フリじゃないからな」と更に念を押された。まあ、流石にここならやれと言われてもやらないけどな。


 俺は木剣を手に取り、構えた。シドも同じように木剣を手に取って構えた。


「じゃあ…始め!」


 カイの合図で戦いの火ぶたが切られた。

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