第二十一話 Aランク冒険者の強さ
俺が戦いを終えてから一分ほどたったところで、
「よし、こっちは終わった。ユートの方は…もう終わってるか」
ライザの方も、ライザがオークの腹を切り裂いたことで勝負がついた。
「ああ、こっちも何とかなったよ」
「ええ、あとはさっさと燃やして寝ましょう」
ニナが眠そうな顔をしながら〈火球〉を撃とうとしたが、
「ちょ、ちょっと待て!討伐証明部位を取ってから燃やすぞ。あと、一部は焚火で焼いて朝食にするぞ」
ライザの忠告でニナは詠唱を中断し、俺たちは討伐証明部位と肉を切り取ることにした。
ライザにオークの討伐証明部位はどこか聞いてみたら、レッドゴブリンと同じ右耳だと教えてくれた。俺は言われた通り三体の右耳を切り取った。横では三人が肉を剣で切り取っていた。
「ていうかなんで朝食分だけなんだ?」
「たくさん持っても持ちきれないだろう?」
「いや、俺〈アイテムボックス〉持ってるから…」
「それでも流石に入りきらないだろ?確かスキルLVを5まで上げてもオーク一体入るかどうかだぞ?」
そういえば俺の〈アイテムボックス〉の容量ってどのくらいなのだろうか?LV.MAXと書かれているのでもしかしたら容量無限なのかもしれない。まあ、それをライザに話すわけにはいかないので、
「ああ、そういえばもういっぱいだったな…」
と言って適当にごまかした。
「俺とサルトが肉を焼いて保存しとくから二人はオークを燃やしといてくれないかな?」
「ええ、消し炭にしておくから安心して」
ニナが力強くうなずいた。やっぱりニナはオークに対するあたりが強い。まあ、それは仕方のないことだと思って納得した。
そのまま俺たちはオークの死骸に向けて〈火球〉を撃って燃やし、骨は埋めた。
低ランクの魔物以外は体表に多少の魔法耐性がついていることが多いと言われたので、オークの腹を切り裂いてその中を燃やした。
こうしてオークの襲撃の後処理まで終わったところで、
「よし、お前たち、よくやった」
後ろを見ていたシンさんがこっちに向かってきた。
「お、起きてたんですか!?」
ライザは起きていることに気づいていなかった為、かなり驚いていた。他の二人も同様に驚いている。
「まあ、オークが来たのを察して起きたんだよ。まあ、オークの討伐はDランク以上の冒険者が受ける依頼だからな。それを危なげもなく倒したんだからもう合格にしちゃってもいいんだけどな…まあ、これは依頼も兼ねているものだから最後まで気を抜かずに頑張ってくれ」
シンさんからは称賛の声が上がった。
「ふっ俺たちのランクアップは決まったようなものだな」
ライザはそのことを自慢げに語っていた。
「はぁ…そう言って調子に乗って魔物に喰われないといいけどね…」
ニナはライザの言動にため息をつきながらあきれていた。
「ちょ、不吉なこと言うなよ!ちゃんと最後まで気を抜かないから!」
「はいはい。じゃあさっさと寝ましょう。ユートはもう寝ていいからライザが見張りしといて」
「なんかユートの時間短くないか?」
大体俺が起きていたのはオークの討伐時間を含めると二時間ほどなので確かに短い。俺としては寝たいところだが、ここで寝るのは良心が傷む。
「まあ…確かに少し短いしもう少しやってから交代することにするよ」
「そう?まあ、ユートがいいって言うならいいわ」
「分かった。じゃ、ライザ。暫くしたら起こすからそれまで寝ててくれ」
「ふう…分かった。ありがとな」
ライザはそう言うと戦いの疲労もあってか直ぐに寝てしまった。ニナもそのすぐ後に横になった。サルトはライザが調子に乗ってた時からすでに寝ていた。なんという睡眠欲だ。シンさんは気が付いたら寝ていた。いつの間に俺たちの前を離れたのだろうか……
(そういえばシンさんのステータス見てなかったな…)
Aランク冒険者の強さを知る為に、俺はこっそりと〈鑑定〉を使った。シンさんは寝ているときに魔物の接近に気が付いたので、変な視線を感じたら起きてしまうと思い、なるべく視線をそらして、無意識に見ることにした。
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名前 シン 人族 LV69
体力 8500/8500
魔力 11000/11000
攻撃 9300
防護 8300
俊敏性 10100
スキル
・剣術LV.7
・毒耐性LV.3
魔法
・水属性
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(…強すぎるだろ……)
俺の倍近くあるステータスの値とLVに俺は驚いていた。
神様から世界最高クラスの力を授かり、その後、魔物を大量に倒してかなりLVを上げたつもりだったが、それでもまだシンさんと同じくらい強くなるにはまだまだ特訓が必要そうだ。というかこのステータスでAランク冒険者ということは、Sランク冒険者はいったいどんな感じなのだろう。
(次はウォルフさんもやってみようかな…)
当然だが見たステータスを他人に言うといったことは絶対にしない。Sランク冒険者の強さを知りたいだけだ。
「そろそろ交代しようかな…」
オークを討伐してから三十分ほどたった。トータルで二時間半やったので、ちょうどいい頃合いだろう。
俺はライザを起こして交代してもらうことにした。
「ライザ~起きろ~」
俺は周りの迷惑にならないように小声でライザの耳元でライザの肩をたたきながら起こそうとした。しかし、ライザからの反応は寝息だけだ。
俺はため息をつくと口を開いた。
「おい!お・き・ろ!」
「は、な…え?」
さっきよりも大きな声で言ったらようやく起きてくれた。
「やっと起きたか…そろそろ見張りを代わってくれないか?」
「ユ、ユートか…わ、分かった…」
ライザは寝ぼけながらも起き上がり、見張りの交代をしてくれた。
「ふぅ…寝るか…」
そう言って俺は意識を手放した。
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