第二十話 夜襲
誰かが近づいてくることに気づいた俺は目を覚ました。神様のおかげで感覚が強化されているのか、あるいはステータスの上昇が原因なのか…まあ、恐らく両方が関係しているのではないだろうか。
まあ、それはさておき目を覚ました俺は起き上がってあたりを見回すとニナが俺の目の前にいた。
「あ、ユート。おはよう…ていう時間じゃないけどそろそろ見張りを代わってくれないかな?」
ニナは眠たそうに眼をこすりながら言った。
眠たそうにしている女性を見ることはこの年では普通はないのでいい経験(?)になった。
「分かった。次は俺がやるからもう寝てていいぞ」
そう言うとニナは直ぐに横になって寝てしまった。
「やれやれ…見張りってやることないから暇だな~それに結構眠いし…」
ただ、やることがない&眠いからといって寝てしまっては見張りの意味がない。そう考えると夜の見張りというのは想像以上に過酷なものだ。
そう思っていると、森の方から種類は分からないが魔物の気配がした。そして、まだ距離はあるが、こちらに向かってきているということも分かった。
この世界に来たときは〈身体強化〉を使って音で魔物の場所を特定してたが、いつの間にか気配でも分かるようになっていた。それを自覚できたのはさっきニナが近づいてきた時だ。
(おっと、こんなことを考えている場合じゃないな。早くみんなを起こさないと…)
俺は急いで三人の肩をたたいて起こした。
「ううん…ユート…何かあったのか?見張りの交代か?」
「え?もう朝?」
「ユート君。何かあったの?」
三人ともかなり寝ぼけているが、魔物がこっちに向かってきていると言えば流石に目が覚めるだろう。
「いや、違う。こっちに魔物が向かってきてるんだ」
少し大きな声で言うと、
「「「ま、魔物!?」」」
と、三人とも大声で叫んだ。どうやら目覚めさせることに成功したようだ。
ただ、それとともに森の方からガサガサと音が鳴り、
「グルルゥ」
と、うめき声をあげながら三体の魔物が森から姿を現した。
人型で、身長は三メートルほどある丸々と太った豚顔の魔物だ。
(それって特徴から見るにミリが言ってたやつだな…)
幸福亭でたまたまミリと相席になった時に俺が食べた日替わり定食のステーキが確かそういう魔物だとミリが言っていた気がする。俺は一応〈鑑定〉を使ってみた。
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名前 オーク LV30
体力 4600/4600
魔力0/0
攻撃 2900
防護 3400
俊敏性 900
主に4~8体の群れで行動する。
知能はかなり高い。
肉はかなり美味しい。
ー--------------
「やはりオークか…」
ミリが言っていた特徴から〈鑑定〉せずとも何の魔物かは分かっていた。ただ、こいつは前に戦ったポイズン・スネークより弱いし、数もこっちの方が上なので勝つことは出来そうだ。
「ちっオークか。まあ、Dランクの魔物だしみんなでいけば何とかなりそうだな」
「うう…初めて会ったけどオークは女にとって最悪の相手なのよね…」
ニナがオークに対して凄い嫌悪感を抱いていた。
たしかゲームにもオークは出てきたが、そいつの習性の中に他種族の女性をさらうというのがあった気がする。なので、ニナの言葉から察するにこの世界でも同じ習性があるのだろう。
「オークが相手だからすまないけどユートは一人で一体倒してくれ。残り一匹は俺たちが倒す。ニナ、援護は頼んだぞ」
相変わらずのライザの的確な指示で俺たちはオークに剣を向け、ニナは魔法を撃つために詠唱をしていた。あと、シンさんがしれっと後ろから俺たちのことを見ていた。いつの間に起きたのだろうか?
そんなことを考えているとオークが俺たちの方をじっと見つめていることに気が付いた。
「グルルルゥ」
そして、オーク三体が獲物を見つけたような目をしながら一斉にこっちに向かってきた。手には棍棒、腰には何かの魔物の毛皮がまかれていた。
まだ距離がある為、俺は〈火矢〉を三体のうちの一体に向けて撃った。
「グギャアアア!!」
肩に貫通したことでオークは痛みで顔を歪ませながら態勢を崩したが、それでも直ぐに態勢を整えると、今度は強い殺意を持ってこちらに近づいてきた。
「ちっ外したか」
俺は頭を狙ったのだが、オークが動いていたこともあり、外れてしまった。
「気にするな。それより、こっちに向かってくるから身構えろよ」
ライザから忠告を受けたとき、背後から飛んできた〈火矢〉が俺があてたのとは別のオークの腹にあたった。
「グ…グガァ!!」
オークは痛そうに顔を歪めたがそれでも止まることなくこっちに向かってくる。
俺は〈身体強化〉と〈剣術〉を使うと、〈アイテムボックス〉からミスリルの剣を取り出した。
(あ、そう言えばミスリルの剣を使って魔法を使うの忘れてた)
ただ、オークとの距離は二メートルもないので剣で倒すことにした。
俺の方に向かってくるのはさっき俺の〈火矢〉をくらったオークだ。
「グガァ!!」
さっきのお返しと言わんばかりの力で棍棒を振り上げると俺に向かって勢いよく振り下ろした。だが、振り下ろす速度はそこまで早いわけではないのでスキルを使っている状態なら簡単によけることが出来た。俺はそのままオークの腕めがけて剣を振り下ろした。
「グギャアアアァ!!」
オークの右腕はひじからすっぱりと切り落とされてしまった。
オークはこっちをにらみつけてきたが、オークの顔を見る趣味は俺にはないので、さっさとオークの首めがけて剣を振り下ろした。
「これで終わりだな」
「グ…ガ……」
オークの頭が地面に落ち、戦いの決着がついた。
横を見てみると、ニナの魔法で怪我をしたオークをライザが倒し、三人で最後のオークに総攻撃を仕掛けていた。
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