第十五話 Dランク昇格試験開始
5/16タイトル変えました。
試験開始→Dランク昇格試験開始
「さてと…今日が待ちに待った試験の日だな」
少しでも合格できる可能性を上げるために昨日も雀の涙ほどにしかならないがLVを一上げ、LV32にしておいた。更に念のためということで予備の剣も一本買っておいた。流石にまた最高品質の剣を買ったら出費が痛いので、四万セルほどの鉄剣にしておいた。あとは、好きな時に食べられるようにオークの串焼きを前買った所で十五本買い、〈アイテムボックス〉に入れた。そしたらおじさんがおまけで一本多くくれた。
こうして念入りに準備をした俺は午前七時に冒険者ギルドに入った。
「えーと…確か二階の会議室集合って言ってたな」
昨日依頼を受けるときに受付嬢から言われたことを思い出した俺は二階へと向かった。
「会議室はここだな」
階段を上がってすぐ左に会議室と書かれた扉があった。
「しつれいします…」
少し緊張しながらも中に入ると、ウォルフさんとシンさんがいて、その前に二人の冒険者がいた。片方は防具を身に着け、腰に剣をさしている男性で、もう片方はローブを羽織り、右手に一メートルほどの黒い杖を持っている女性。ちなみにフードはかぶってない。
「お、ユートか。お前も集まるの早いな」
ウォルフさんはいつものように親しげに話しかけてきた。やっぱりこうしてみると冒険者ギルドの支部長とは思えない。
「そうですか？まあ、ウォルフさんの方が早いですね」
「まあ、支部長っていうのはそういうもんなんだ」
と笑いながら答えた。
その笑いを遮るようにしてシンさんが口を開いた。
「ユート、今日の試験官は俺だ」
「そうなんですか。まあ、俺としては知り合いの方がやりやすいからありがたいですね」
試験官が知っている人か知らない人かでは心のゆとりに大きな差がでる気がする。
「あーそうだ。軽く自己紹介しといてくれ。今日から二日間ともに試験をやる仲だからな」
ウォルフさんの言葉により俺たちは自己紹介をすることにした。
「俺の名前はライザ。Eランク冒険者だ。月光というパーティーのリーダーだ。剣士で前衛をやってる」
ライザは深紅の髪と眼をした二十代前半ほどに見える気の強そうな男性だ。
身長は百七十センチメートルほどで筋肉もそれなりにある。
「私の名前はニナ。Eランクの冒険者よ。ライザと同じ月光というパーティーで魔法師として後衛を務めているわ。よろしくね」
ニナはコバルトブルーの髪に金色の眼をした二十代前半ほどに見える優しそうで華奢な女性だ。
身長は百六十センチメートルほどで、髪型はポニーテールだ。
2人の自己紹介を聞いたところで俺も同じように自己紹介をした。
「俺の名前はユート。Eランクの冒険者だ。俺はソロの冒険者で、魔法を主に使う」
内心少し緊張しながらも、何とか噛まずに言い切ることが出来た。
「ユートか。よろしくな」
「ユート。二日間よろしくね」
二人はかなりフレンドリーに話しかけてくれた。二人は前から一緒に活動しているみたいだったので、俺だけ仲間外れになってしまうのかと心配してしまったが杞憂のようだ。
「ああ、よろしく」
俺は二人と握手を交わした。
自己紹介が終わったところでウォルフさんが口を開いた。
「よし。自己紹介が終わったか。あと一人来ていないからもう少し待っててくれ」
「やれやれ、サルトは朝に弱いからな～」
「まあ、いつものことよ」
と、ニ人はため息をついていた。
「ん？二人の知り合いなのか？」
「いや、知り合いというか同じパーティーのメンバーだよ」
「あ、そうなのか」
まあ、ウォルフさんを見るにまだ時間的には余裕がありそうだ。
俺はそう思いながらサルト来るまでの間二人と雑談をして時間をつぶすことにした。
雑談の内容は俺のことをもっと詳しく聞かせてくれって感じだったのでうまいことごまかした。
十五分後、会議室の扉が開き、一人の男性が入ってきた。
「ライザ、ニナ、遅れてごめん」
サルトは軽く頭を下げて謝った。
「はぁ～まあ、時間的にはまだ余裕があるから別にそこまで責めはしないけど朝に弱いのはいい加減直した方がいいぞ」
「もうこれについてはあきらめた方がよさそうね…」
二人はさっきよりも深くため息をついた。
「すまんライザ。ただ、これは俺の本能と言うかなんというか…と、取りあえず直しようがないんだよ。寝る時間も遅くないし……」
と、サルトは慌てながら言い訳を始めた。
「はいはい。取りあえずユートに自己紹介してよ」
「えっと…ユートって誰？」
サルトは首をかしげながら聞いた。
「あ、俺がユートだ」
俺が名乗ると、サルトは俺の元へ歩み寄ってきた。
「なるほど…ユート君って言うのか。よろしく。俺の名前はサルト。Eランク冒険者だ。二人と同じ月光というパーティーで剣士として活動している」
サルトは落ち着いた口調で礼儀正しく挨拶をした。
サルトは白銀の髪に深紅の眼をした二十代後半ほどに見える細身で紳士的な男性だ。ただ、さっきの会話を聞いてしまうと紳士的には見えなくなるが…
身長は百七十センチメートルほどでライザと同じく防具を身に着け、腰に剣をさしている。
「よし。これで全員そろったな。えーと…試験開始まであと一時間ほどあるな。よし。あんたらはパーティーだから互いの実力は分かっているだろうがユートは分からんよな。だからユートは三人のうち誰かと模擬戦して実力をある程度把握しといてくれ」
ウォルフさんからこんなことを言われた。
互いの実力を把握しておくことはこれから護衛をする上で大切なことだ。そのことを理解した俺たち四人は一斉に頷いた。
「よし。じゃあ今から訓練場に行くからついてきてくれ」
俺たちはウォルフさんとシンさんの後に続いて会議室を出て、訓練場へと向かった。
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