第十三話 充実していく装備
「はい。合計で三万五千セルになります」
「ありがとう」
俺は今、レッドゴブリンと森狼の魔石を売り、その代金をもらったところだ。
「あと、ポイズン・スネークっていう魔物を倒したからそれを丸ごと売りたいのだが」
「分かりました。では、横のスペースに出してください」
俺は〈アイテムボックス〉からポイズン・スネークの頭と胴体を取り出した。
「かなりきれいに切断されてますね……もしかして腕利きの冒険者なのでしょうか?」
「いや、まだEランク冒険者だ」
「Eランク!?ポイズン・スネークはCランクの魔物なのでパーティーで倒すならCランク冒険者以上、ソロならBランク冒険者以上でないと厳しいはずなんですけど……もしかしてお知り合いが討伐したのですか?」
強いというのは何となく分かっていたが、Bランク…となると昨日絡んできた冒険者なら倒せるということか…それならやっぱ出来そうって思ってしまう自分がいる。
「いや、俺が一人で倒したぞ」
「あの…嘘をつくならもっとましなものをついた方がよろしいですよ」
受付嬢の口調は丁寧だが、目が全然笑ってない。と言うか怖い…
(め、めっちゃ怖え~)
だが倒したことは事実なので、ちゃんと話せば分かってくれる…と思う。
「いや、まあ俺は冒険者になる前にかなり鍛えたし…あ、ウォルフさん…ギルドの支部長に聞けば分かりますよ」
ウォルフさんは発言力もありそうだし、俺がBランク冒険者三人をぶっ飛ばしたことを知っているので、ポイズン・スネークを倒したことも分かってくれると思った。いや、そもそも〈真偽〉と言うスキルを持っているので、そのことを知らなくても直ぐに分かるだろう。そのことを受付嬢に話したら、
「し、支部長に強さを認められているってことですか?大変申し訳ございませんでした」
受付嬢は土下座するような勢いで頭を下げて謝罪した。
(いや、認められてるかどうかは知らないけど……)
だがそれを否定したらややこしいことになりそうなので言わないで置いた。
(てかウォルフさんって偉い人なんだなあ…)
受付嬢の反応からそういうのを感じ取れた。
「え、え~と…買取金額は五万三千セルになります」
受付嬢は少し緊張…と言うか怯えながらも五万三千セルを手渡した。
「わ、分かった。ありがとう」
俺は五万三千セルを受取り、〈アイテムボックス〉にしまうと、素材解体所の外に出た。
外に出て、少し散歩をしていると、ふとあることを思った。
「うーん…金もたくさん入ったところだしローブの中に来ている服も変えとこうかな?」
俺はかなりの数の魔物と戦ってきた。そんな中、中に来ている服の耐久性に不安を感じる時があった。普通に使う分にはいいのだが、ステータスの俊敏性の上昇に加え、〈身体強化〉や〈風強化〉が加わると、服に対して相当な負荷がかかってしまうのだ。
「前の服屋に戦いやすい服とかないのかな?」
そこで買ったこのローブには、耐久力上昇、汚れが付かない、フードをかぶっても視界が遮られないといった特殊な効果が付いている。恐らくそういう服も売っていることだろう。
俺はそんなことを思いながら前に来た服屋へ行った。
「あ~やっぱりこれだな」
店についてから、一時間弱悩んだ末に白い長そでのTシャツと、薄茶のズボンを買った。
一見何の変哲もない服だが、ローブと同じく魔導具なので、特殊な機能としてどちらも衣服の耐久力上昇と±七度まで自動で温度調節をする機能が付いている。
「なかなかいい買い物したな…」
余談だが、俺は自身に対するダメージを軽減する効果の付いた衣服とこれのどちらを買うか悩んでいた。上だけでも重ね着すればいいではないかと思ったが、重ね着したら思ったより動きにくくなったことと、普通に金が足りないということであきらめた。
「お値段は二十万五千セルです」
中々高額だが、ポイズン・スネークで思ったよりも財布が潤ったし、今後の冒険者活動の為でもあるのでなんのためらいもなく金を出すことが出来た。
(と言うか今のところ金の使い道があまりないんだよな…)
稼ぎもよいし、普通に暮らしてたら金がかなり余る気がした。まあ、金が余る分には俺は困らないので問題ないが……
前の世界で俺が生活費以外の金の使い道と言うとゲーム関連の物しかなかった。この世界にゲームはなさそうだが、こういう世界だとまた違った娯楽もあるかもしれない。
支払いを終えた俺は早速店の更衣室で着替えてみた。鏡を見るに似合ってるかどうかは自分ではあまり自信を持って言えないが、少なくとも似合っていないわけではない。
この服の着心地は前に着ていたものとあまり大差ない。ただ強度が違うことは一目で分かる。
俺は着替え終わると、満足げにうなずいてから店の外に出た。
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