第十一話 強い魔物が現れる
「ふう…何とか終わった……」
俺は二時間ほどかけて回復草50本を集め、〈アイテムボックス〉にしまった。〈身体強化〉を使っていたが、それでも頭がパンクしそうになるくらい疲れた。
幸いなことに、回復草の根は簡単に引っこ抜くことが出来たのはありがたかった。もしタンポポみたいな根だったら俺は絶望していたことだろう。
道中森狼十頭、レッドゴブリン十五匹が現れたが、〈身体強化〉、〈剣術〉で特に見どころもなく、苦戦もなく討伐することが出来た。〈剣術〉は使っている間は剣の腕前が上がるといった感じだ。具体的には狙った場所にピンポイントで切りかかることが出来たり、〈身体強化〉ほどではないが、少しだけ力が強くなっている気がする。
前回はめんどくさいと思っていた魔石採りが回復草の採集をやっている最中だと『楽だな~』と思ってしまった。
「このまま帰ってもいいけどまだ昼前だし、あとレッドゴブリンか森狼を十体討伐すればDランク冒険者になるための試験に受けられるんだったな…」
どうせなら早く受けてみたい。
そう思った俺は早速探しに行った。
「ん?あれはレッドゴブリンの群れだな」
視線の先にある少し開けた場所にレッドゴブリンが十匹程いた。まだ俺に気づいてはいないようだ。
相変わらず「グギャグギャ」言ってるがそれで意思疎通は取れるのだろうか……
そんなことを思いながらも、さっさと倒すために〈アイテムボックス〉からミスリルの剣を取り出すと〈身体強化〉と〈剣術〉を使い、レッドゴブリンの前に飛び出した。
「グギャ!?」
「ゲゲ!?」
俺がいきなり飛び出してきたことにかなり驚いているようだ。だが、木の棍棒を振り上げる暇を与えることなく、全匹の首を切り落とした。
「よし!あとは討伐証明部位と魔石を取りだしたら依頼完了と言ったところだな……」
俺は魔石と右耳をレッドゴブリンから取り出しすと〈アイテムボックス〉に入れ、グランに帰ろうとした時……
「ズルズル……」
地面を這うような音が後ろから聞こえた。
そして、濃い紫色の大きな蛇が草むらから現れた。
「シャー」
俺に対して威嚇をしながら近づいてきた。改めてみると長さ十メートル、太さは三十センチメートル、頭は五十センチメートルもある。
(何か見るからに強そうだな…)
そう思いつつ、俺は〈鑑定〉を使った。
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名前 ポイズン・スネーク LV.26
体力 5000/5000
魔力 1000/1200
攻撃 2000
防護 3900
俊敏性 2200
弱点
・風属性
魔力を使って強力な毒を作り、牙に仕込んでいる。
かまれたら全身に毒が回って僅か1分で死に至る。
ー--------------
「……強いな」
そう言った次の瞬間、ポイズン・スネークは体を伸ばして俺に牙を向けてきた。
「う…危ねっ」
俺はギリギリのところで〈身体強化〉を使うと、後ろへ跳びずさった。
あと一秒遅かったら噛まれていただろう……
「じゃ、お返しだ!!」
俺は〈風強化〉と〈剣術〉を追加で使うと、〈アイテムボックス〉からミスリルの剣を取り出すと、剣に魔力を流した状態でポイズン・スネークの頭めがけて振り下ろした。ちなみにここまで魔力を剣に込めなかったのは、単純にそのことを忘れていたからだ。
「シャ!?」
ポイズン・スネークは死にはしなかったものの頭に大きな傷を負っており、動きがかなり鈍っていた。
「俺の勝ちだな」
と、少しかっこつけながらとどめの一撃をくらわせた。
「ザンッ」
と音とともにポイズン・スネークの頭と胴が泣き別れとなった。
(これって多分Eランク冒険者が相手していい奴じゃないでしょ……)
森狼の討伐がEランク冒険者以上なのだからそれと比べるとこれはD?いや、Cだろうか……
俺はポイズン・スネークの死骸を〈アイテムボックス〉にしまうと、その場に座り込んだ。
「強い魔物を倒したんだし結構LVが上がってそうだな~」
俺は少し期待しながらステータスを見た。
ー--------------
名前 ユート・アラキ 不老人族 LV.28
体力 3500/4600
魔力 7900/8000
攻撃 4000
防護 3800
俊敏性 5100
スキル
・鑑定LV.MAX
・言語翻訳LV.MAX
・身体強化LV.7
・剣術LV.6
・アイテムボックスLV.MAX
魔法
・火属性
・水属性
・風属性
・土属性
・光属性
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「どんどん強くなってるな」
ステータス面ではこの世界に来た時よりも約七倍にまで上がっているが、中々その実感はわかない。ただ、こうしてステータスを見て、自分が強くなっているということが見れるとなんだかわくわくしてくる。
ただ、LVはだんだん上がりにくくなってくるのでここから先はだいぶ厳しくなるだろう。
(それにしてもLVって上限あるのかな?)
ゲームとかだと上限は基本百だ。まあ、もしかしたらさらに上があるかもしれないので期待しながらLVを上げていこうと思う。
その後、俺はミスリルの剣に付いた真っ赤な血を振り払って〈アイテムボックス〉にしまうと、依頼完了の報告をする為に街にある冒険者ギルドへと向かった。
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