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第九話 噂は広まる

「ふぁ~…朝か……」


 カーテンの間からさす日の光が顔に当たったことで俺は目を覚ました。

 眼をこすりながらベットから起き上がると、ローブを着て、靴を履いたところで俺はあることが気になった。


「俺の靴ずいぶんと傷んでるな……」


 俺のはいている靴はどこにでもあるスニーカーだ。ただ、森の中を走りながら魔物と戦ったこともあり、これ以上履き続けたら近いうちに破けてしまうだろう。


(今日は剣のついでによさそうな靴も買ってこよう…)


 これからやることを決めた俺は食事をするために1階へ降りることにした。


 俺が下に降りると、俺が来たことに気づいたおばあちゃんが直ぐに食事の準備を始めてくれた。俺は適当な席に座り、食事が出来上がるのを待つことにした。

 時計は午前六時二十分を指している。朝早いが、冒険者らしき人たちがすでに食事をしていた。


(取りあえず朝食食べ終わったら冒険者ギルドに行って賠償金をガッポリいただかないとな~)


 大金を一気に失ったあいつらの泣き顔が目に浮かぶ。

 て言うかあいつらってあの後どうなるのだろうか?あのまま釈放なんてされたらたとえウォルフさんに脅されていたとしてもあいつらのことだし俺の元に来る予感がする。まあ、また返り討ちにして身の程をわきまえてもらわないとな…


 フフフと悪い笑みをこぼしていたら宿の人が食事を運んできてくれた。俺の表情を見て「え…」て感じになってたが見なかったことにした。


 運ばれてきたのは森狼(フォレストウルフ)のコロッケ、山菜のスープ、米だ。


 俺はそれらを食べながらあることを考えていた。


(今日中に依頼を百回こなすっていうのをやっときたいな~)


 依頼を百回やればDランク冒険者になるための試験に出ることが出来る。Dランク冒険者になると出来る依頼が一気に増えるので早めになりたいところである。

 俺は朝食を食べ終わると、極小の〈水球(ウォーターボール)〉を〈アイテムボックス〉から取り出したコップの中に入れて飲んだ。


「結構美味いな…」


 味は天然水って感じがした。結構冷たいし、最初こそはあまり役に立たなそうと思ったが、今は意外と使えるものだなと思っている。


 俺は水を飲み干すとコップを〈アイテムボックス〉にしまい、立ち上がった。


「冒険者ギルドに行くとするか~」


 俺はそのまま宿を出て、冒険者ギルドへ向かった。


 冒険者ギルドに着き、中に入ってみると、昨日の朝来た時よりも冒険者の数は多かった。そして、その内の半分は掲示板の前にいた。受付も昨日の夕方ほどではないが、かなり混んでいた。


(依頼を受けるついでに賠償金のことを聞くとしよう…)


 昨日と違い、かなり早く来たのでいい依頼があるかもしれない。

 俺は人と人の間をくぐり抜けて掲示板を覗いた。


(ん……いっぱいあるけどランク不足だなあ……)


 Dランク以上の依頼がかなり多いので、俺がやれる依頼は割と限られていた。俺はその中で、ある依頼に目が止まった。


「えーと…サラン商会右の図にある回復草五十本の採集、グランの森全域、報酬金十万セル、Eランク冒険者以上……これがよさそうだな」


 報酬金が高いのもそうだが、採集するついでに森狼(フォレストウルフ)やレッドゴブリンを倒せばいい稼ぎにもなるし、依頼百回を達成することも出来るだろう。

 昨日と違い、常設の依頼ではないので、依頼票を剥がして受付に並んだ。




 暫く待ったところでようやく俺の番になった。


「この依頼を受けたいのだが…」


「かしこまりました。それでは冒険者カードの提示をお願いします」


 俺は〈アイテムボックス〉から冒険者カードを取り出すと受付嬢に渡した。


「……はい。確認できましたので冒険者カードをお返しします。それではお気をつけて」


「あ、ちょっといいですか?」


「はい?どうされました?」


「昨日の件で話がしたいとウォルフさんに聞いてきてくれませんか?ユートと言えば分かると思います」


「?わ、分かりました。少々お待ちください」


 受付嬢は訝しみながらもウォルフさんを呼ぶために二階へ向かった。


 一分もしないうちにウォルフさんが二階から降りてきた。


「俺の部屋で話すからついてきてくれ」


 俺はウォルフさんの後に続いて二階へ向かった。

 ウォルフさんを連れてきた受付嬢が目を見開きながら俺とウォルフさんを交互に見ていた。

 一方その様子を見ていた冒険者は…


「あいつ、支部長に何かやったのか?」


「いや、あいつは確か昨日絡んできたBランク冒険者三人をぶちのめしたって聞いたから多分それじゃないかな?」


「見るからに十代半ばのガキだろ?そんなことがあるのか?」


「ひょろひょろだしチビだし…」


「俺、実はその光景を見てたんだけどやばかったぜ。目にもとまらぬ速さで腹を殴り、そのままギルドの壁までぶっ飛ばしたんだよ」


「まじかよ…」


「ホントなのか?」


「しかもそんなことをしておいて新人って聞いたぞ」


 こうしてグランの冒険者の一部で俺はかかわってはいけない人として有名になったのであった…

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