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第六話 王城に呼ばれる

「ユート様ですね? 至急王城に来てください。お連れの方も一緒に来ていただいて構いませんよ」


 冒険者ギルドを出た瞬間、俺は白金の鎧を着た騎士にそう言われた。


「……俺何かやらかしたっけ?」


 俺は思わずそう呟いた。王城に呼ばれるようなことをした覚えは……


(あ、もしかして勇者パーティーについてかな?)


 それなら納得だ。恐らくエドワードさんと同じように、俺の人格を見極める為――


「陛下が会ってみたいとのことです。あと、頑張って生き延びてねとおっしゃってました」


「……はい?」


 全然違った。と言うか、それ完全に俺を処刑する気――


(いや、だったらこんなことしなくてもいいよな?)


 国王の目的は分からないが、少なくとも俺を本気で殺そうとしてくることはない……と思う。


「分かりました。行きましょう」


 俺は笑みを浮かべると頷いた。


「ユート。何されるのかは何となく分かるけど……やりすぎないでね」


「……善処するよ」


 俺はクリスの言葉に軽く頷いた。




「でかいな」


 王城の門の前に立った俺は、王城を見上げながらそう呟いた。


「そうね。しかもこの城、魔道具で耐久力が凄い上がってるみたい。私が全力で魔法を放っても、くぼみが出来るくらいかしら?」


 クリスは王城を見ながらそう言った。


「では、このまま応接室へ案内します」


「分かった」


 俺は頷くと、騎士の後に続いて王城の中に入った。


「豪華――はあっ!」


 王城に入った途端、左右から一本ずつ矢が飛んできた。まあ、この程度の速度の矢なら簡単につかみ取ることが出来る。


「……罠か」


 両側には台に括り付けられたクロスボウがあった。そして、俺の足元の床が少しへこんでいた。


(踏んだら矢が飛んでくる罠だったのか……)


 俺はどんな罠だったのかを冷静に分析した。


(てか、あの騎士平然と前に進んでるじゃないか……)


 案内してくれている騎士は何事もなかったかのように先へと進んでいた。


「まあいいや……」


 俺はため息をつくと、騎士について行った。




「ここが応接室です。どうぞ、中に入ってください」


 騎士はそう言うと扉を開けた。


「失礼します」


 俺とクリスは頭を下げると、応接室の中に入った。

 応接室の中にはソファに座った白髪白髭の老人が一人。そして、その老人の背後に兜をかぶった騎士が二人いた。


(……目に見えるのは三人。だが、天井に三人、そして壁に穴をあけてみているやつが五人いるな……)


 俺は気配察知を使い、隠れている人の位置を正確に把握した。


「こんにちは。ユート殿、クリス殿、ノア殿。私はハラン王国にて、宰相の地位を任されております。ドレスト・フォン・マスタング侯爵と申します・どうぞ、お座りください」


「ありがとうございます」


 俺達は礼をすると、ソファに座った。その直後、天井から俺に向かって短剣が複数飛んできた。


「〈結界(シールド)〉」


 俺は慌てず〈結界(シールド)〉を使って短剣を防いだ。


 カチャッ


 その間に壁にあった隠し扉が開き、五人の短剣を持った人間が入ってきた。


「はあっ!」


 俺は〈身体強化〉を使うと、腹パンで五人を気絶させた。かかった時間は一秒弱。


「……随分とお戯れがお好きなようですね」


 俺は平然とそう言った。


「あっはっはっは!」


 すると、後ろにいた騎士が兜を脱いで、大笑いした。


「ユート殿のことは報告で気になってな。一回会ってみたかったんだ」


 兜を横にいる騎士に渡した金髪初老の男性はそう言った。


「ユート殿が私たちの意図を理解してて安心しました。()()。お戯れはもうやめてください」


 ドレスト様はため息をつきながらそう言った。

 あれ?今ドレスト様はそこにいるおじさんのことを何と……


「!? へ、陛下!? てことは国王!?」


 俺はそのことに驚愕し、大声を上げた。

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