第十三話 制裁(マジ)
「どこにいるんだ……」
俺は気配を探りながら、北東方面を探し回った。通り過ぎてしまわないように注意しながら、探し回った。そして、里から六キロほど離れた場所で、俺は立ち止まった。
「そこか!」
俺は世界樹聖剣を振り上げると、一気に真下に振り下ろした。
――ドオオオン
今まで以上に大きな破壊音と共に、俺は一つの部屋の中に下り立った。
「どこに……て、お前!」
俺は殺気をばらまいた。
ノアは、縛り付けられた状態で、ギロチン台にかけられていた。
「わあっ! びっくりした。もう来るなんて……あ、これは魔道具になっていて、今僕が持っている宝玉を持っていない人が半径二メートル以内に入ったら、死刑が執行されちゃう恐ろしい魔道具だよ。更に! 僕がこの宝珠を破壊しても、死刑は執行されちゃうから、前みたいに吹き飛ばすのも意味ないよ」
ふざけた口調の男、シャオニンはギロチン台の横でそう言った。
「君がこの子を助け出す方法は一つ。君が死ぬことだよ。それに、もう囲まれちゃってるしね」
「くそだなお前」
俺の背後から十一人の人が出て来て、俺のことを包囲した。
その中には、見たことあるやつもいた。
「ちっ ディンか」
こいつはトリスの森で倒し損ねた男だ。
「ん? 覚えててくれたのか。取りあえず、お前がこの状況で取れる選択肢は二つ。このガキを見捨てて、お前も死ぬか、お前は死んで、このガキを生かすかだ」
「俺に勝つ自信がそんなにあるのか。前回俺に傷一つ負わせられなかったくせにな」
「そりゃ、俺一人なら敵わないさ。シャオニン一人でもキツイと言わざるを得ないだろう。だが、今回は俺とシャオニンの二人がいる。残念だが、お前に勝ち目はないぞ。むしろどうやって勝つのか聞きたいぐらいだ」
ディンは随分と自信があるようだ。それにしても、今のディンの言葉は完全にフラグというものだろう。
「まあ、勝つとか負けるとか。そう言うのは関係なく、俺はノアを助け出す。ノアを攫ったこと、後悔させてやるよ」
この時、俺は本気でキレていた。今すぐこいつらを消し炭にしたいぐらいにはキレていた。
「それにしてもお前らは俺を甘く見すぎだ。LV.100にも満たない奴が、舐めた態度をとるんじゃねえよ。〈空間操作〉」
その時、シャオニンは前と同様笑っていた。だが、ディンは顔を青ざめさせた。どうやら、危機感知能力は、ディンの方が上のようだ。
「よっと、これでどうかな?」
俺の胸元には、ノアがいた。それを見ていたこいつら全員の血の気が引いた。
こうやって人質を取られても、その人質を俺の元に転移させてしまえば問題ないと言う訳だ。
「ノア、大丈夫か?」
「う……パパ~」
ノアはさっきまでの緊張が解けたのか、俺の胸元に顔を埋めて泣き出した。
「すまないな。安全確保をしないで行ってしまって」
俺はノアの背中を優しく擦った。
あの時、ゴーレムを数体作っておけば、攫われることはなかったのではないかと考えると、本当に申し訳なく思ってしまう。
「さて、後は貴様らを処理するだけだな。簡単に死ねるとは思うなよ」
俺は唖然としているこいつらを睨みつけながら、そう言った。
「ちょ……何でその魔法が使えるの……神の魔法だぞ……」
シャオニンは俺が使った魔法に心当たりがあるのか、かなり狼狽えていた。
「まあ、潰す。〈重力操作〉!」
俺はこいつらに百倍の重力をかけて、死なない程度に潰した、だが、ディンとシャオニンは、立った状態で、この攻撃を耐えていた。
「じゃ、〈影操作〉!」
俺は〈影操作〉で漆黒の鎖を作ると、全員を拘束しようとした。
「くっ なめるなっ」
「はあっ!」
LV.40代の雑魚は捕らえることが出来たが、ディンとシャオニンは息絶えたえになりながらも、防ぎ切った。
「これも耐えるのか。じゃあ、これならどうだ」
俺は世界樹聖剣を〈アイテムボックス〉にしまうと、百連パンチ(再生バージョン)をお見舞いした。
これは、前にドーラさんにやった天下の宝刀腹パン(再生バージョン)を威力そのままに、殴る回数を百回にしたものだ。
これでこの二人は、無傷のまま最上級の痛みを味わい続けることが出来ると言う訳だ。
「ぐっ……あ……」
「くっ……何だよこれ……」
百連パンチ(再生バージョン)をくらった二人は、激ししい痛みを味わい続けたせいで、精神的に死にかけていた。
「さてと……あ、こいつらには五十倍をかけ続けるのが良さそうだな。〈重力操作〉!」
俺は漆黒の鎖で捕縛していたこいつらを解放すると、代わりにこいつらにかかる重力を五十倍にし続けて、いい感じに制裁した。
「さてと……次はどうするか?」
俺は再び〈アイテムボックス〉から世界樹聖剣を取り出すと、それを肩に担ぎながらそう言った。
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