昔あなたから貰った木苺。ぼくからもあなたへ・二十三
※注意※血が流れるシーンがあります。冒頭より約1スクロール分の場所です。
苦手な方は更にシューッと約1スクロールしてください。
「私の背から出るな」
目の前で始まった戦いに圧され声が出ず、軽く頷いて答える。
らいあの背越しに見えるいちめい達の戦いは激しかった。ぼくがしてきた、見てきたものなど、ままごとだったのかと失望するくらいに。
「しゅゆ、よう見ておけ。これが戦いだ」
ひとっ飛びでたいしょの眼前まで迫ったえきの一“突き”はたいしょの左肩の肉を軽々抉った。
血を散らせながら歯を剥き出し笑うたいしょの一“振り”は腕を交差させ“防御”したえきを壁際まで吹き飛ばした。
たいしょの一“振り”からうまれた風圧を“弾く”で消滅させたぎたいの“重”はたいしょの片膝の皿を砕いた。
総てをものともせず真っ直ぐに立ついちめいが体内で練る“力”は繊細かつ迅速に場の“力”を回収、支配してたいしょに味方する“力”を減らしていった。
これが戦い。ぼくの知らなかった戦いの世界。
「かと言え、これが全てではない」
らいあがぼくの髪をぐしゃぐしゃと掻き混ぜた。驚いて口を開いてポカンとしていると、肩越しのらいあの目が笑った。
「誰かの真似などお前らしくもない。遊べ、試せ、楽しめ。それらが出来る内に。時は待たん。だとしても、お前が時を待つ必要が必ずしもではない」
らいあの深く響く声が、ぶれ、恐れ、落ちていくぼくを引き留める。
「いまはただ、いまを生きよ」
いまを生きる。……でも、ぼくはあの人の子だから、あの人から逃げているから。だから強くならなきゃいけなくて。
「私達がおる故に案ずるな」
心配しなくて良いの?
「けど、ぼく、何も返せなアイタッ」
おでこを指で弾かれた。きーさんだった。
「なぁに子どもがいっちょ前気取ってんだい。そういうのは年喰ったあたしらに任せやあ良いんだよ。あたしらの見せ場を取るんじゃないよぉ。まあ、年喰っても子どもなやつはそこで腹出して寝転んでるけどねぇ。ふえっふえっふえっ」
きーさんが後方下を指すので振り返ると、お腹を出し天井をじっと見詰めて寝転ぶうしおが。
「へぇえ?何してるの?」
「いやぁさ、俺びっくりしちゃうと大きい声出ちゃうじゃん。戦ってるの見てたら絶対びっくりするじゃん。だったら外へ出れば良いんだけど、らいあ置いて行けないじゃん。居るために寝てんの。腹出してた方が落ち着くの」
「……お、お疲れさま」
「ふえっふえっふえっ、そういうこった。こんなんも居るんだから、肩に力入れたってしょぉがないさぁ」
「うん、そうだね。すごく説得力あったよ」
「役に立っとるぞ、うしお」
「やったぁーらいあに褒められたぁー、えへへぇ」
「仲良しだねぇ」
「うん! 俺とらいあ仲良し!」
場にそぐわない満面の笑みが眩しい。と思った直後だった。背後から真夏の猛暑日の熱風くらいの熱波が来た。
「あちゃーい」
目をギュッと閉じたうしおが慌ててお腹を仕舞った。
何事かと振り返れば、壁内で燃え盛る炎。どうやらたいしょを囲んでいるようだ。生きているかのように蠢く“炎”はぎたいが操っていた。
たいしょが“力”をぶつけて“炎”を消そうとするのを、えきが外から“突き”で防ぐ。
いちめいは味方側への“力”の移動と余念がない。
「ふえっふえっふえっ、やるじゃないか、あのチョコボーイ。うちの精鋭が張った防護壁だってのに」
「うあっついぃーやな暑さ!」
『しゅゆあついいや』
「そうだね、暑い嫌だね」
『しゅゆひんやり』
「わーお、鎖骨凍りそう」
キンキンに凍ってる氷みたく冷えたそら。
冷た過ぎて痛いよ。
「そら、しゅゆが凍傷になるから、冷やすならばこの部屋全体を冬にしてくれ」
『ふゆ』
「そうだね、それいいね」
『んぱー』
目の前が真っ白になった。
寒っ!?猛吹雪じゃん!
「吹雪は駄目ー! 雪はちらほらで! 穏やかな昼下がりをお願ーい!」
『しゅゆゆきおだやかひる』
「あっ、そう、これ。気持ちいい寒さ。ありがとう、そら」
『んぱ』
たった数秒だったのに、皆の肩や頭に雪が軽く山になっている。パタパタサッサと払う人急増中。そんなこんなしていると、中の炎が収まった。
「おまっ、ぎたい! お前殺す気かよ!」
「おやおや、こんな事で死ぬようなやわな方にいちめいは任せませんねぇ。やっぱり辞めますぅ?」
「辞めねえよ。あー、くそ。えきもだぞ。ごっそり筋肉持って行きやがって」
「申し訳ございません。バイタルチェック機能も含めて断ち切るために、少々幅広く抉る必要がありまして」
「えき、完全に消滅したか」
「はい。反応も無く、信号も出ていませんので」
「ワタクシの“炎”で燃やし尽くしましたからぁ」
「オレも燃やそうとしたろ」
「ワタクシ、そんな野蛮な事は致しませんですよ、はい」
「おい、きしゅう。こんなのと友人で大丈夫かよ、心配だわ」
「いちめいと呼んでくれ」
「お?おう、あんがとよ、いちめい」
???え?………………え?
~注意部分まとめ~
怪我をしたのはたいしょです。
えきが“突き”でたいしょ攻撃、たいしょはえきにパンチを一発。えきは“防御”で見事防衛しましたが壁際まで吹き飛びはしました。
ぎたいは“弾き”でたいしょの拳からうまれた風圧を消しつつ“重”でたいしょの動きを鈍らせ、いちめいは場の“力”を自分達側に集めています。
機会が出来たら、戦闘シーンでいちめいパーティーオール出場させたいです。




