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そらのうた~ことばあそび編~   作者: はねいわ いみゆう
過去編・うしお
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物を得るときは仕舞いまでを、箱に入る時には出る時の事まで考えよ・side隠れん坊や

今回からは『物を得るときは仕舞いまでを、箱に入る時には出る時の事まで考えよ』を三緒地区から見た話です。

前回後書きで迷っていると書いた地区民目線の話です。

シンプルな話です、ぜひお楽しみください。

 

「にりんさーん! 鶏大根セット三つくれ」

「はーい! いつもありがとーまっさん」


「にりんちゃん! 煮物豚と根菜揚げセットとおにぎり梅昆布ちょうだい」

「どうぞー。そうそう、どーさんの好きなチキチキ焼き来週から始まるから」


「にりん、南瓜煮と豚汁セット並べるよー」

「ありがと! めるさんも休憩入ってねー」


 かあちゃん発見! オレは歯をカチカチしながら笑った。かあちゃんの働いてるとこ見るの好きなんだ!

 いまオレは、かあちゃんが働いている「にりんの煮物」の向かいのパン屋の店番でうたた寝しているあげぱんばーさんの膝かけの影に隠れている。

 へっへっへ、ここなら誰にも見つかるまい。あげぱんばーさんはうたた寝したら昼ごはんまで起きないのだ。って、んんー?あっちの木の後ろで「にりんの煮物」を見ては隠れてをくり返しているフードをかぶった変なやつ発見! わるものか!?よーし、オレがやっつけてやる!


「とあーっ!! ていっ!!」


「ほああああっ!?」


 オレの秘技、〈片足ずつ時間差ひざかっくん〉を受けたわるものは、叫び声を上げながらド派手に転んだ。あれ?


「え……よわっ……」


「……ど、どうして……」


「あれ、なーんだ。その声せいちゃんか」


 転んでも死守したフードを深くかぶり直すせいちゃん。かあちゃんが働く〈にりんの煮物〉のにりんちゃんのぱーとなーのおおね巨人のオイッコらしい。「いつもふどーで筋肉なおおね巨人とビビりで弱々なせいちゃんがシンセキとかまちがいじゃない?」ってかあちゃんに言ったら「おおね巨人ってあんたうまいこと言うねぇ。親戚だからって似る似ないは決まらないよ」と教えてくれた。「あと、せいは身体弱くて驚きやすいから何もかもやさしくね」とも。オレは元気だけどやさしくしてほしいな。


「なーんだじゃないでしょ!?なーんだじゃあ!」


 腹にひびく声に振り返るとお玉を持った眉を吊り上げているかあちゃんが。


「げっ!?鬼なかあちゃん!?」


「だぁーれぇーがぁーおーにーだぁーい!?」


 店のきゅーけーしつでしこたま怒られた。わるものじゃないやつをこうげきしてしまったんだ、あまんじてうけいれよう。


「ごめんねぇ、せい。はい、ゆでたまご」


「ご、ごめんなさいごめんなさい」


「なんでせいが謝るんだい。ほれ、甘くない玉子焼き」


 あやまってばかりのせいちゃんに呆れながらもなんか食わせようとフントウしているかあちゃん。かあちゃんいわく、せいちゃんは食が細すぎて食べたカロリーよりもしょうひカロリーが高い日が多くて身体が弱っているかのうせいが高いらしい。なるほど、逆だとかあちゃんみたごめんなさい。


「せい、今日はご飯買いに来れたんだねぇ」


「かあちゃん、せいちゃんまだなにも買ってないよ」


「来れただけでも良いんだよ。あんたは甘い玉子焼きね。ほい、せい、カスタードプリン」


「かあちゃん、たまごばっかもよくないとおもう」


「そうなんだけどねぇ。今日は〈たまごいっぱい特売〉の日でたまご料理のが在庫があるんだよ。どうしたの?せい」


 ゆでたまごを小さくかじっただけなのに、せいちゃんはお腹をさすっている。え?もうお腹いっぱいなの?食が細すぎてってレベルじゃないよそれ。


「ご、ごちそうさまでした。も、持ち帰って食べます」


「ならこれも持って行きな。ちょっと待ってて。冷凍も持って来るから」


「あ、いえ、あの、あ……」


 はやてのごとくきゅーけーしつを出ていくかあちゃんに手をのばしたまま固まるせいちゃん。


「大丈夫だよ、せいちゃん。かあちゃんたちのごはんおいしいよ」


 ゆでたまごにおいしいとかまずいがあるかわかんないけど味が合わなかったのかとおもって言うと。


「も、もちろんおいしいよ。違うんだ。あの、今日は、しゅゆが、居るから多めにほし、欲しくて」


 しゅゆちゃん帰って来たんだー。どっかのちくに旅行に行ってたんだよね?おみやげあるかなー?


「しゅゆちゃん帰って来たの?良かったね。じゃあかあちゃんに言いに行こう」


「え?あ、でも邪魔になったら」


「じゃまにならないよ。〈にりんの煮物〉にはひゃくせんれんまのもさしかいないってじいちゃん言ってたよ。もさのじしょにはじゃまなんて言葉ないよ」


 じいちゃんいわく、〈にりんの煮物〉はオーナーてんちょーのにりんちゃんが一番若手なんだって。あるばいとは全員自分のお店をやめたり他のお店で働いていたケイケンシャで、にりんちゃんに「うちの店の味を引き継いでほしい」って言ってやとってもらった人たちらしいよ。うちのかあちゃんもかあちゃんのばあちゃんがネンガンのオン村一周旅行へ行く前はばあちゃんと二人でそーざい屋やってたんだ。ばあちゃん帰って来たらまた始めるみたいだよ。


「も、猛者……」


「もさ」


「そっか、猛者……確かに、そうかも。い、行こうかな」


「うん! ほら、手つないであげる!」


 せいちゃんは壁や柱や塀や柵によくぶつかる。ここだとつくえとかタナとかバケツとか積んである白菜とかに突っ込みそうだから。オレ、もう今日はおこられたくないのだ。


「あ、ありがとう」


「へへっ!」


「持ってきたよ」


 手をつないだらかあちゃん帰って来た!


「はやい! かあちゃん、しゅゆちゃんの分も欲しいって」


「そうだと思って多めに持ってきたよ、はい」


「かあちゃんももさだった!」


「え?」


「めるさんも猛者……」


「なんであんたたちあたしを拝むのよ……」


 だってもさってえいゆーでしょ?かあちゃんたちは武器がお玉やなべややさいや肉だけど、オレらのからだをつよくしてくれるんだもん! ヒーローだよね!


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