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そらのうた~ことばあそび編~   作者: はねいわ いみゆう
現在編
54/140

閑話『果たしてチョコはどこまで流れるのか……いや俺に聞かれても・後日談』

2月14日に投稿した閑話『果たしてチョコはどこまで流れるのか……いや俺に聞かれても』の後日談です。


追記・章を後日付け足した為、こちらの閑話も現在編になってしまいましたが、こちらは過去編になります。ただいま直したく方法を探しております。ご不便をお掛けして大変申し訳ありません

 

「らいあーるるーおはー、夢チョコ大会の像届いたー?」


 一週間経ち、夢チョコ大会で作ったチョコの像たちが届くよーって連絡でらいあの家へとやってきた俺、うしおです。


 玄関の鍵はらいあが登録した人なら誰でも自動で開く。「入るよー」なんて言いながら上がり、二人が居るかもしれない部屋をひょこひょこ覗いて探すのだ。

 今日は二人とも居間と繋がっている食卓で見つけた。


「おはようるん。届いたるんよ。包装剥がしてるとこるん」


「おはよう。うしおのはこちら側だ」


「すげぇー。丁寧に包装してくれてる。へぇー珍しーこれ夢売り市場柄の包装紙じゃーん。“力”のかけ方といい大会の規模といい力はいってるよなぁ。すげー。ねぇー俺さぁ、夢チョコ大会知らなかったんだよねぇ。あれから近所の人に聞いたらさぁ、毎年やってるのにって少し驚かれてさぁ。なんで俺知らなかったんだろう?」

「昨年の今頃は大雪だった。今年だけ暖かな日が続いているだけで、例年は雪の降る頃だからだ」

「あぁーなーるほどぉだからかぁー」


 そういうことね、と、箱を二つ持って居間側に行き畳に寝そべる俺。寝そべりながら包装紙をめくりめくり。

 らいあの家は安心してだらだら出来るもんねー。


「るん?雪は関係あるん?」

「なんでかねー、俺寒いと寝ちゃうの。冬眠みたくなって起きれないんだ。雪の日は寝て曜日」

「るん、それで冬は来る日が減ってたるんね」

「だねー」

「あ! これはるるの一回戦目のるん。こけーここと玉子るん!」

「おお、大きいな。迫力がある。玉子を捕られまいと踏ん張るこけーここそのものだ」

 らいあに褒められるんるん嬉しそうなるる。


 羽を広げ威嚇するこけーここがまるい雰囲気にデフォルメされている。尾の脇に転がる玉子には何故か斜線にチョコが重ねがけされて、チョコレート菓子のようになっている。

 嘴だけやけにリアルに尖ってるぅ。


「かっこいー。ほれ、俺のちっちゃな鯉」

「……上手いが、出目金か?」

「鯉だってば」


 そういや出目金でも通じそうだなぁ。あー、鱗あるからやっぱ鯉だね。あれ?出目金もあった?分かんないや、まぁいっかぁ、鯉も出目金もかわいくて優雅だもん。


「るん、二回戦はちょっと慣れたからまつごろうとひめめに挑戦したるん。時間がなくてまつごろうが小さくなったるん」

「愛らしいな。昼寝しているのか?」

「るん。まつごろうが寝てる時しかひめめ近付かないるんから」

「かわいーじゃーん」


 まつごろうはひめめの三回りは大きい犬だが、チョコレート像では逆になっていた。けれども表情は鮮明で、ひめめの眉間の皺まで作られている。

 まつごろうは元気に元気を重ねたような子だ。ひめめは冷静沈着でのんびりな子。合わない訳ではないけど会いたくはあまりない(ひめめからして)らしく、まつごろうが昼寝している寒い時に引っ付きに行くくらいである。

 時折、まつごろうは寝ている時に突然走り出す事がある。走ると言っても本当に駆けるのではなく横になりながら足をバタバタ動かすのだが、それに遭遇した際のひめめの渋い顔が表現されていた。


「俺もひめめだよー。ほら」


 こちらを見たらいあとるるの顔が真顔になった。


「え、どしたの?」

「うしおよ、お前ひめめと喧嘩でもしているのか?」

「早く謝るん」

「なんで!?」

「「ひめめの顔が怖い」」

 そお?俺と居る時のひめめなんだけどなー。あれかな?俺のご飯のおかずが納豆だった時の顔を思い出して作ったからかな?納豆と同じ部屋に居るだけでひめめは顔しかめるんだよね。


「そうそう、“固定”されてるのが三十センチ立法メートルだったじゃん。そこからはみ出しちゃってチョコ流れたんだけど、“固定”内だと棒から出るチョコ細いのに、外だとバケツから流したみたいな量ですっごい驚いたんだー。チョコがはみ出た事に気付きやすいようにだってさ。あのチョコもったいないなーと思ったらさ、俺らに掛かってた防水防御壁すごくて、分離して流れ出たチョコ空中でキャッチしてシャボン玉みたくなる機能付きだったのよぉ。しかも流れたチョコ土産にくれたし」

「るん?持って帰ってなかったるんよ?」

「うん、さやえんどうの庭のりんごくれる人に会って、欲しいって言うからあげたー」

「夢安りんご積みの先輩るんね」

「喜ばれたー」

「良かったな」

「うん。そうだ、俺の隣の人がね、俺が流したそのチョコかシャボン玉かに驚いて俺の五倍くらいチョコ流しちゃってね。シャボン玉作れる最大量超えたもんだから、床にチョコ流れちゃったのよ」

「舞台脇から見ててるる、ボウル持って滑り込みたかったるん」

「それ良いねー。作り終わってボーッとしてたらさ、司会の子が『うしおさん、果たしてチョコは何処まで流れるのでしょうか』って聞くもんだから『いや、俺に聞かれても』って言ったら『答えは溝を伝って袋の中です!』だって」

「溝を伝って袋の中?」

「そーなのー。なんとねー、あの舞台全体に“除菌”とか“浄化”とかその他衛生系の“力”が掛けてあってさ、俺らにも防水だけじゃなくてその“力”も混ざった防御壁だったんだって。だからチョコ流れても調理台と同じ綺麗さだから食べれるんだって。床にかけてある防御壁に溝があってね、しかも斜めになっててね、伝っていくと袋があって溜まるんだー。なんで答えは袋の中。“撥水”もされててツルンってチョコ自分から袋に入ってったよ」

「成る程……つなぎは必要だったのだろうか?」

「あのねー、無いはずだけど防御壁が破けた場合の万が一対策だって」

「そうだったか」

「るん、白いつなぎの人はビターチョコ部門だったるんよ。チョコと同じ色の服は防御壁から漏れたのか自由時間についたのか分かりにくくなるから、なるべく避けてってルールのとこに書いてあったるん。るる、つなぎを空色にして良かったるん。うしおも緑で良かったるんね」

「そなのー。出場する部門のチョコの色を目立たせる色を着るのは『自信あるぜ! 注目してね!』って意味なんだってー」

「面白いな」

「ねー」


「ねーねー、チョコいつ食べるー?」

「食べるのか?」

「あれ食べないの?」

「るるはこけーここ達やきーちゃん達に見せて回るん」

「そなのー?俺も見せて回ろっかな?」

「その後しばらく飾りたいのだが、駄目か?」

「そなのー?いいよいいよー。持って帰って来るわ」

「出掛ける前に“守り”を強化しておこう」

「……らいあ、これチョコだからね?金庫よりも強い“守り”かかってるよ?」

「金庫よりも大事だからな。よし、出来た」

「るーん、じゃ、一周してくるん。行こう、うしお」

「あいよー。行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」

「行ってきまするーん」


 そうしてチョコ像を両手に村を練り歩く俺達の後ろに一人、また一人とチョコ像を持つ人が増えて、小さな祭りみたいになったのであった。


 来年も参加したいなー。その日は眠くなりませんように。

閑話『果たしてチョコはどこまで流れるのか……いや俺に聞かれても』は完結です。

お読みいただきありがとうございました。

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