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そらのうた~ことばあそび編~   作者: はねいわ いみゆう
現在編
41/140

腹が膨らまねばうつつとて夢と同等である・十二

昨日、閑話『くりすますにはさぷらいずを』を投稿しています。

もしよろしければ読んでみてください。

今までのすべての本編と直接関係のあるストーリーではありませんので読まなくても問題はありませんが『のじゃ』口調になる前のてんが登場しています。


{次回投稿予定}

次回本編は27日・29日のどちらかに一話のみ投稿予定です。

おそらく今年ラストの投稿となります。

話の区切りはよいと言えないので悩みましたが、推敲出来ている分まで投稿することにしました。

宜しくお願いします。


本日は久しぶりのてん視点です。

「息災か、うしお」

『おうよー、俺は元気だぜぇ。腹は減ってっけどー他は快適だわー』


 嬉しそうにらいあちゃまが掛けたお声に返るは溌剌でのんびりなうしおちゃまのお声。

 なんとも良き良き良きでございまするのじゃ。おじいちゃまの事なのでなんもせんとは思うておったが、なんもせんとはええことだけではなく良くないことにもである時が多いのでのぉ。


「なによりだ」

『らいあも元気そうじゃーん。……そう、ってか元気な感じじゃね?』

「ああ、てんのお陰でな。うしお、これが見えるか?」

 らいあちゃまが胸の前に掲げる物は今朝も創っておられたが武器なのかのぉ?『“力”で創る武器集』シリーズを何度も読んだけれど、似た物は見たことなきじゃのぉ。

 滑らかで透き通っておってなんとも綺麗じゃのぉー。手のひら大の水を固めたような半円の宝石の縁を氷らしき物質が細くぐるりと包んでおる。大きな水菓子と言われたら信じるのぉ。水菓子かぁ、美味しそう……じゅるり。いかん、涎が。


「うしお?……繋がってはいるようなのだが」

 おや?うしおちゃまからお返事が無きなのじゃ。

「うしおー?返事するーん。ほらこれ、るるの作ったおやつ食べないるーん?るる食べちゃうるんよー?」

 るるちゃまのお手には先程作っておられた牛乳寒天がぷるりるり。その間にもまさちゃませいちゃましゅゆちゃまたてこうちゃまが料理やら果物やら水の瓶やらを黙々と運び込んでいた。

 おんやまぁ、てんが水菓子似の道具に魅いられておる内にこんなにも運ばれておったのか。あ、おかあちゃま、てんはせいちゃまとべったら漬けを作りましたのじゃ。後でいっしょに食べましょ。


『ヒッ、ヒッ、グズッ』

 おや?泣いておられる?誰がじゃろう?うしおちゃまかな?

『ヒッ、グスッ、グズズッ』

 確定じゃ。うしおちゃまが泣いておられる。

「ど、どうしたるん?お腹減ったるん?ほら、これ、早く食べるん。果物でたくさんデザート作ったるん。大丈夫るん、るる、うしおの分は食べないるん」

「そ、そそそそうだぞ! うしお! 腹が減ったのではないか?ほら、おにぎりを食べるのだ! 思い思いの味付けに各々工夫したのだ! きっとうまいぞ!」

「う、うしおさんっ!?た、食べてください。これ、てんさんと作ったべったら漬けです。今朝漬けたのですが“浸透”の力を使いましたから、いい塩梅になってますので」

「えっとーうしおー、稲荷寿司食べなよ。君の分はちゃんとわさび少しにしたよ。くわい入りもあるよ。そっちは少し甘いよ。あれ?こんな色の作ったかな?まぁ良いや」

「うしおさん、コーン入り唐揚げと竜田揚げと青海苔のイカフライと竹輪の磯辺揚げとエビフライです。水とお茶と米糀の甘酒もあります。後、鍋と火種とコンロとテント等を厳選しました。旅道具一式どうぞ」

「うしお?肉じゃがとごった煮もあるぞ。私が作ったのをまた食べたいとゆうておったろう?庭で採れた野菜でサラダも用意した。ドレッシングの胡麻と青じそと塩昆布は添えておくぞ」

「パ、パンもあるん。食パン二斤の一斤は基本の味、もう一斤は小倉抹茶るん。バターミルクジャムとイチゴジャムと追い小倉も別容器で添えておくん。あとは?あとは?きな粉?きな粉もいるん?」

 皆様アワアワあたふたとしていらっしゃいます。それにしても今朝の数時間でようこれだけ用意なさりましたな。てん感激なのじゃー。


『ずびっ、どれも食うぅぅぅ』

 搾り出すようなうしおちゃまのお声を聴けて、皆様ほっとしてございますのぉ。

「それは良かった。お前とうかび殿の為に作ったのでな。持ってゆけそうか?」

『グズッ、うかびがやってくれるぅ』

『はいはい、私が持って来ますよ。よっこらせっと。うしお、全部持ってきたよー。ああー、部屋が美味しそうな香りで充満したねぇー。ねぇねぇ、私も食べて良いのかい?』

 あ、おじいちゃまだー。たくさん有ったのに一気に持ってっちゃったのじゃー。おじいちゃま嬉しそうで元気そうじゃのぉ。一部の者の間に、当主の力が弱ったと言う噂が流れておったが、これを見せれば良いのでは?良かったのじゃー。あ、おじいちゃまー、おかあちゃまがお話あるってー。積もり積もってるってー。みぴゃー。

「勿論どうぞ。また明日も作るので」

『それは待って待って多い多い。え、それともうしおはそんなに食べる子なの?』

「たてこうとまさの間だな」

『二人の加減が分からないんだなぁ。どちらかは一人前なのかい?』

「いや! まさは三人前だぞ!」

「自分は二人前と数口です」

『これはどうも。それならこれで三日は持つんでないかな』

「では、早めの明後日に作るか」

「るるも作るーん」

「まさもだぞ!」

「えっと、ぼ、ぼくも作ります……上手くはないんですけど」

「せいも作るの?ならぼくも来るよ」

「自分も是非。いい訓練になります」

『ほ、程々の量でお願いするよ?』

 おじいちゃまのささやかなお願いは通じなそうじゃのぉ?皆様次回の献立表を作り始めておられる。すごいのぉ。てんもお献立作れるくらい料理出来るように練習じゃな。


「らいあさま、ちぃと、父をいただいても宜しゅうごさいますかなの?」

 先程から凪だったおかあちゃまが割って入った。普段は為さらぬ事じゃの。おこですか?おこなのですか?てんは触らぬ方が良きであるな?どうしょっかなー、てんはどこに居よっかなー。ここだよねー。みぴゃー。

「ん?良いが、別室は必要か?」

「いえ、お邪魔でなければこちらで」

「承知した。私達はうしおと話しているので、なんぞあれば声掛けをどうぞ」

 らいあちゃま、おこな気配に気付いておるでしょうに平生でござりますな。てんもそこを目指しとうございます。


「ありがとうございまする。おとうさま、さららとお話しましょうなのな」

『やあ、さらら。早いね、もうオン村に着いたんだね』

「ええ、てんがおらぬと気付きましたので、追っておりましたから」

 にこやかな二人の周りには冷気、な気がしておるのぅ。うん、てん、帰りたいかなー。

『ああ、あのね、てんは実は荷台で“隠れ”で寝ていただけで無理矢理付いて来ていたのではないよ。起きてからは護衛の背にピッタリ引っ付いていたけれどね、車の揺れが嫌だったからみたいだね。てんに気付かなかった私達の酷い落ち度なんだ。てんが冷静で怪我も無くて良かったよ』

 あれ、おじいちゃま知ってたんだー。みぴゃ。てん不安で意地張って『自分から付いて来たよー』的な事言っちゃったのじゃ。てん恥かちきー。てか、みぴゃー。おかあちゃまの視線がこちらにぃいー。

「ご、ごめんなさい、おかあちゃま」

「てん、危ない事をしたのは分かりますなのね?」

「は、はい!」

「てん、これからは、非常時以外に“隠れ”を使いながら荷台で寝てはなりませんのな」

「はい!」

「あなたが無事で良かったのな。よう落ち着いて行動しました。ありがとう、てん」

「おかあちゃまー」

 おかあちゃまにぎゅっとされててんもぎゅっとする。あぴゃー、おかあちゃまあたたかきーいー。


「それで?おとうさまはどうなさるおつもりなのな?今おかあさまが大変な思いをしていらっしゃる時に」

『かずらが!?どうしたんだい!?』

「火のが会いに来ましたなの。もう会ってますなのな。邪険に出来ぬとおかあさまが塔のご案内を」

『ハァア!?』

 あ、おじいちゃまお怒りで力漏れてるぅー。えへ、天井付近の空間歪んでるぅー。駄目だよ、おじいちゃま。るるちゃまになんかある前にらいあちゃまにどっかーんされちゃうのじゃよ。


「これ、うかび殿。“力”をしまいなさい」

 ほらーらいあちゃまに怒らりたー。

『ああごめんなさいごめんなさい許して。若い頃妻に初恋して連日会いに来つつ私に陰で嫌がらせして来たヤロウが今独りきりの妻に会ってるって言うもんだから少し苛立ってしまった』

 おじいちゃまものすごい早口じゃの。

「それは苛立つな」

 あ、らいあちゃま、落ち着いてくださりませ。何を思い出されたか存じませぬが、あちらの襖二枚真っ二つに割れました。

 あ、今度はらいあちゃまがるるちゃまに怒らりておる。

 あぴゃー、皆様お元気で良き良きなのじゃ。

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