問いかけ
予期せず、俺の掛け布団が戻ってきた。
それとともに。
暗闇だったが、だんだんと目が慣れて
膨らみの正体が分かった。
水色のキャミソール一枚。
で、下半身はピンク色のパジャマのズボン。
なんだけどな。
ピンク色のパジャマには見覚えがあって。
ヒナタが風呂から上がったときに、そのまま寝るとき用に着てるやつだった。
「オイ...」
俺は小さく呼びかけた。
ヒナタは応えない。
寝てるのかとも思ったのだが。
布団を返してくれたことから察するに多分かまとと(たぬき寝入り)だと思った。
もう一度声をかけてみる。
「ヒナタ...おまえ、、、」
「寝る部屋間違えてんぞ??」
「ここはおまえの部屋じゃなくて、俺の部屋なの。分かるだろ...?」
返答がない。
「...もういいよ寝るよ」
俺はそう呟き、寝ようとした。
するとどうだろう。
ぎゅっ。
「え...ちょ...」
慌てる俺。
待て待て待て!と思った。
急なバックハグ。
俺は身動きが取れず、もがくことになる。
「...寝ぼけてるだけなんだからね!
別にあんたのことが好きとかないからね!!」
「んん??」
「雷が鳴ったじゃない!?
昔、私の家の庭の一本杉に雷が落ちて火事になったじゃない!!それで、落雷がトラウマになってて!一人で寝るの怖いからシンジの布団に間違えて潜り込んじゃった、ただそれだけのことなんだからね!!」
「勘違いしないでよ、シンジ!!
たったそれだけのことなんだからね!」
「ふーん。じゃあ。このハグっていう仕打ちはどう説明してくれんの?ヒナタさん」
「そ、それはっ!
シンジが、どこの誰だか分からない女に
告白もされて?チョコももらったから?
その、なんていうか...対抗心?的な??」
「ふーん...あのな。ヒナタ。
俺の腹に抱き着くのはいいが、かなり強い力だから苦しいんですけど...少し緩めてもらえますか、、?」
パッと。
少し力が緩んで。
ヒナタのやつからちょっと解放された俺。
その後。
今度は問いかけが始まった。