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バザーイベント

誤字・脱字報告ありがとうございます。

また、評価・ブックマークを頂きありがとうございます。

いつも励みになっています!

どこの世界にも噂好きはいるもので。

特に、貴族の世界は足の引っ張り合いの噂がよく流れる。


夏期休暇が明けて一ヶ月、リリアーナ様がアル様と仲を深めているという噂が囁かれている。

そして、アル様が私に愛想を尽かし始めているという噂も。


昼食はいつもと変わらず四人でとっているのだが、それ以外の休み時間にアル様とヴァレンティノ様はリリアーナ様とダニエル様と四人で過ごす時間が圧倒的に増えた。

以前はリリアーナ様とダニエル様が一方的にアル様のところへ来ているだけだったが、最近はアル様からリリアーナ様のクラスへ訪れることもあるのだ。


アル様は一緒にいる時には相変わらず優しい笑みを向けてくれるけど、リリアーナ様と急速に距離を縮めていることに不安を覚えずにはいられない。


そうして今日はバザーの日。

一年生と生徒会の役員は交代で学園の使用人の制服を着て販売の手伝いをする。

自分の担当時間以外は自由行動が認められているため、今日は町を散策する者も多い。

ゲームではヒロインとヒロインが選択したルートの攻略対象者とが二人で出掛ける。


そして私は今、目の前の光景に愕然としている。

アル様とは担当時間が一緒なので、自由時間は一緒に過ごせればいいなと淡い期待をしていた。

自分から誘うなんてはしたないけど、来年同じチャンスは回ってこないかもしれないので意を決して声を掛けた。


「アル様、良かったら自由時間は一緒に町を散策しませんか?」


「ごめん、シア。先約があるんだ。」


「そうでしたか。直前にお声掛けして申し訳ございませんでした。」


アル様がなぜか苦しそうな笑顔で微笑む。

私から理由を聞くわけにはいかないので、私は断られたショックを隠してこの話題を終わりにする。

すると、後ろからバタバタと駆ける音が近づいてきた。


「アルベルト様!お待たせしました。行きましょう!」


何事かと振り向くと同時に、リリアーナ様が嬉しそうに笑いながらアル様に駆け寄った。


アル様の先約とはリリアーナ様のようだ。

ゲームでは二人が町を散策しているところをレティシアが見掛けて嫉妬をするというエピソードがある。多少の違いがあるものの、ゲームと似たような展開に目の前が暗くなる。


「アル様、リリアーナ様と二人でお出掛けになるのですか?」


「ああ、すまないシア。」


「学園の外で変装しているとは言え、リリアーナ様と二人で町を歩くなんて誤解を生みますわ。軽率な行動はお控え下さい。」


気がついたら、アル様を責める言葉が口から出ていた。


「わかっている。シア、勝手なことだと承知の上だが、学園にいる間は私の好きにさせて欲しいんだ。」


「それは私が何を言っても無駄だと?」


「そう解釈してくれて構わない。」


「わかりましたわ。でも私は私の矜持に従って行動します。」


「それも理解しているよ。」


「そうですか。」


表情は辛うじて変わらないものの、私は自分でも声が段々と冷たくなっていくのを感じる。

これではまるで喧嘩をしているようだ。

泣きたくなる気持ちを堪えていると、リリアーナ様の鈴を転がすような可愛らしい声が響いた。


「レティシア様、ひどいです!学園では身分に関係なく交流することが許されているのに、アルベルト様の行動を制限しようとするなんて!」


「リリアーナ嬢、シアは何も悪くない。自由が許されているとは言え、リリアーナ嬢と出掛けることは体裁が悪い。貴女を誘った私が悪いんだ。」


「でも・・・!」


「リリアーナ嬢にまで迷惑を掛けて悪かったね。時間がなくなってしまうし、そろそろ行こうか。」


「わかりました。」


「シア、今日は失礼するよ。」


アル様がリリアーナ様を誘ったことに衝撃を受ける。

今までのようにリリアーナ様が誘ったと思っていたが、アル様から誘うなんてまるでゲームの展開みたいではないか。


どうしてこんな展開になったかわからない。


その日、どうやって帰宅したかも覚えていない程にショックを受けてそのまま眠りについたのであった。

更新が空いてしまいました。

思いつきで短編「病んでる令嬢とヤンデレ従者」を書いていました。

拙い文章ですが、そちらも楽しんで頂ければ幸いです。

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