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ミカエル・レイトン

ミカエル・レイトン。レイトン伯爵家の次男で、ヒロインの一歳年下の設定。

攻略対象者の一人だが、攻略は学園にミカエルが入学してから可能になるので、関わるのはまだ先だと思っていたのだがー。


「ミカエル様、婚約者でもない女性に抱きつくなんてはしたないですわ!お離し下さいませ!」


我に帰り、ミカエル様の胸を押し退けて距離を取る。


「親戚なんだからいいじゃない。」


ミカエル様がプウッと頬を膨らませて、可愛い表情で見つめてくる。


「親戚と言えど私は婚約者がいる身ですのでダメですわ。それに、親戚と言っても遠縁ではないですか。」


そう、私のお父様とミカエル様のお父様ははとこ同士なのだ。なので、親戚と言っても血縁関係はだいぶ遠い。

ゲームのレティシアは、自分の親戚が貴族として非常識なヒロインに心奪われるのが許せなくて、ヒロインを苛める。

ミカエルがレティシアに懐いているエピソードも、夏期休暇で交流があったエピソードもなかったはずだが、これも裏設定であったのかもしれない。


「・・・わかったよ。」


「それにしても、ミカエル様はなぜ我が家にいらっしゃるの?」


「来年から僕も学園へ通うでしょ?学園へ通い始めたら夏期休暇は自分の領地に帰らないといけないし、ノクタール公爵領へ遊びに来れる機会なんてないから、お父様とおじ様にお願いして来たんだ。」


「そうでしたの。いつまでいらっしゃる予定ですの?」


「レティシア姉様が王都へ帰る頃までいる予定だよ。だから、ノクタール公爵領を色々案内してくれると嬉しいな。」


「わかりましたわ。私も領地の視察をしようと思っていたので、その時に案内しますわ。」


「ありがとう、レティシア姉様!」


そう言うと、ミカエル様がまた抱きついてきた。


「だから!親戚でもダメだと言っているでしょう!」


「はーい。」


天使のような可愛らしい顔でミカエル様は笑い、私から離れる。そのまま私は自分の部屋に戻るのであった。


部屋で一息ついていると、夕飯の前にお父様とお母様が帰ってきた。

そして食堂で、お父様、お母様、ミカエル様とテーブルを囲んで食堂をする。


「レティ、道中危険な目に合わなかったか?心配で心配で・・・。」


「大丈夫でしたわ。お父様のお陰で街道の治安が良いのに、心配しすぎですわ。」


「そうか。あと出発前に殿下に何かされなかったか?」


「・・・心配するようなことは何もありませんわ。」


お父様はアル様の行動をお見通しなのだろうか。思わず動揺して言葉を詰まらせてしまった。


「何かあったのだな!?殿下め・・・レティ何をされた?」


「だから何もありませんわ!」


「ふふ・・・。メアリー、何があったの?」


お母様が楽しそうに笑い、壁際に控えていたメアリーに声を掛ける。


「殿下がお嬢様の腰に手を回して馬車までエスコートして、額に口づけをしていただけです。通常運転ですので心配ありません。」


「メアリー!」


「どこが通常運転だ!殿下め。」


「まぁ、ちょっとスキンシップが過ぎるようだけどレティちゃんを大切にしてくれているようだし良いじゃありませんか。」


「ふーん、レティシア姉様と殿下ってそんなに仲が良いんだ。」


メアリーがありのままを報告するものだから、お父様が憤慨しかけたけど、お母様の言葉で丸く収まる。


「そういえば私、ミカエル様がいらっしゃるなんて聞いてませんでしたわ。」


「レティを驚かせようと思ってな。レイトン伯爵領はここと反対側の国境近くで距離があるから、親戚と言えどなかなか会えないだろう。来年ミカエルも学園に入るし、レティと挨拶しておいたら心強いだろうから来てもらったんだ。・・・あと、殿下へのささやかな嫌がらせだ。」


最後の方、お父様が何を呟いたのか聞こえなかったが事情はわかった。


「そうでしたの。それでしたらお父様の思惑通り驚きましたわ。」


「最後に顔を合わせたのは10年前ですものね。ミカエルさんの天使のような愛らしさは子供の時のままで驚きましたわ。」


「おば様、私だってもう14歳です。愛らしいと言われても複雑です。」


「ふふ。親はいくつになっても子供が可愛いのと同じだから、気になさらないで。」


「そういうことにしておします。」


お母様とミカエル様の会話が何だか可笑しくて、皆で笑い合う。


「そういえばお父様、私も夏期休暇中に領地を色々と視察したいと思っていますの。さっそく明日市井へ行ってよろしいでしょうか?」


「すぐ下の港町なら良いが・・・どこへ行くつもりだ?」


「明日はまず市場と孤児院へ行こうと思っているのですが・・・。」


「ふむ、それならいいだろう。但し、変装して行くこと。」


「わかりましたわ。」


「おじ様、お約束頂いた通り私もレティシア姉様と一緒に行ってもよろしいですか?」


「ああ、もちろん。但し、ミカエルも変装して行くように。」


ふと、ミカエル様が女の子の変装をしたらとても可愛らしいだろうなと考えていてらミカエル様と目が合い、ジト目で見られる。


「レティシア姉様、私は女装なんてしませんからね。」


「あら、残念。」


「そうなの?残念ね。」


なぜか妄想がバレたようで、ミカエル様に釘を刺される。どうやらお母様も同じことを考えていたようで、可笑しくなり皆で笑う。


こうしてとても和やかな時間が過ぎていった。

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