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誤字・脱字報告ありがとうございます。

また、評価・ブックマークを頂きありがとうございます。

とても励みになります!

「レティシア様、少しよろしいでしょうか。」


次の休み時間、サラ様が少し慌てた様子で私のクラスの教室に入ってきた。


「サラ様、どうなさいましたの?」


「それが前の時間の授業中、リリアーナ様が泣きはらしたした目で教室に入って来まして・・・ダニエル様がどうしたのか尋ねるとレティシア様に酷いことを言われたと・・・。」


「あら、次の授業は休むように申しましたのに・・・。」


「はい。先生も体調が優れないのではと仰っていたのですが、学が足りないと言われているのに休むわけにはいかないと授業に出られたのです。ただ、その様子にクラスの男性達はリリアーナ様はなんて健気なのだと・・・。」


「失礼。レティシア嬢はいるかな。」


サラ様の話の途中で私を呼ぶ声がしたので、教室の入り口の方を見るとダニエル様を筆頭に隣のクラスの男性達がいた。


「ここにおりますわ。」


「失礼。レティシア嬢、またリリアーナに酷いことを言ったそうだな。」


「あら、話の内容はご存知なくて?私は貴族令嬢としての振る舞い方を教えてあげただけですわ。」


「それでは、なぜリリアーナがあんなに泣きはらした目で教室に戻って来たんだ。」


「それには私も困っていますの。リリアーナ様って注意されるとすぐに泣き出すでしょう。」


「どうせレティシア嬢が些細なことで怒るからだろう。」


「些細なこと?婚約者のいる男性との距離が近いことを注意するのは些細なことでしょうか?」


「う、それはだな・・・。それでも、リリアーナばかりを責めているのは事実だろう。」


「ストップ、ダン。少し冷静になれ。シアは何も間違ったことは言っていない。ダンこそ、婚約者がいる身であることを自覚するべきだ。」


「・・・わかったよ、アル。今日は失礼するよ。」


アル様がダニエル様を制してくれ、ダニエル様とその他大勢の男性は隣のクラスへ戻って行った。


「アル様、あれくらい自分で対処できましたのに!」


「わかっているよ。それでも騒ぎが大きくなれば、シアの立場が悪くなる。どういう訳か、リリアーナ嬢が絡むとシアに悪い噂がたつからね。」


「悪い噂にも対処してこそ立派な淑女ですわ。」


「うん、シアの矜持はわかっている。それでも、シアが悪く言われるのは私が嫌なんだよ。」


「アル様・・・。」


可愛くないことを言う私にもアル様は優しい。嬉しくて、反論する言葉が出てこなくなってしまう。


「まぁ、レティシア様とアルベルト殿下は本当に仲がよろしいのですね。素晴らしいですわ!」


そんな私の横で、サラ様が目を輝かせて見ていたのだった。


***


翌日、私が登校すると、私がリリアーナ様を元平民だからという理由で苛めているという噂が立っていた。


そして、私はまた裏庭で先輩方に囲まれている。


「「レティシア様、申し訳ございません。」」


「私どもがレティシア様にお願いしたからこんな噂が立ってしまったんでしょう。本当に申し訳ありませんわ。」


「私どもも、婚約者には釘を差しましたの。婚約者達もレティシア様がリリアーナ様を注意した件は他の人に話していないと申していましたのに・・・どうしてこんな噂が・・・。」


「レティシア様、私どもはレティシア様のこと信じていますから!こんな噂、気になさらないで。」


「ありがとうございます。噂の出所は何となく想像がつきますし。それに私、先輩方にお願いされていなくてもおそらく同じ事をしましたわ。」


「レティシア様!ありがとうございます!」


「お礼なんて不要ですわ。あまり長居しますと授業に遅れてしまいますし、そろそろ戻りませんか?」


「そうですわね。では私どもはこれで失礼します。」


先輩方がすごい勢いでお礼を言って去っていった。


ふぅとため息をつく。

噂の出所はおそらく隣のクラスだろう。昨日のあの様子を考えると噂が立っても不思議ではない。


「シア、迎えに来たよ。」


「アル様?どうしてここへ?」


これからのことを考えていたら、いつの間にかアル様が目の前に立っていた。


「アイリーン嬢に聞いてね。変な噂も立っているし、シアの身が危険かもしれないから迎えに来たよ。」


「そうですか。ありがとうございます。」


「どういたしまして。では行こうか。」


アル様が目の前に手を差し出してきた。どうやらエスコートしてくれるらしい。


「アル様、ありがとうございます。」


アル様の気遣いが嬉しくて、迷わずに手を重ね、つい微笑んでしまう。


「ふふ、今日のシアは素直だね。」


「私だってエスコートをして頂ける時くらいは素直になりますわ!」


「いつも素直でいてくれてもいいのに・・・。」


「何か言いましたか?」


「別に~。」


そうして、アル様と他愛もない会話をしながら教室へ戻って行った。


リーン曰く、アル様と私はそれは仲睦まじく見えたようで。

朝の私の悪い噂は、アル様と私が校内でイチャイチャしていたという噂に変わっていったらしい。


「イチャイチャなんてはしたない真似してませんわ!」


可愛くない私はつい赤くなりながら必死に否定したのだけれど・・・。


「シア、そんな可愛い顔を他の男に見せないで。」


「~っアル様!」


アル様とのクラスでのやり取りが噂に拍車を掛けるのであった。

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