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監獄世界の反逆者  作者: 芹澤 莉世
第1章 出会いと鍵
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3話 そして転生

 最上 樹が異世界生活を始めて3年と少しが過ぎた。

 マリーがシーラス王国の女王陛下でアンリが第二王女だったなどといろいろと衝撃的な事実を知ることになったが、個性豊かな仲間にも恵まれ、平穏な日々を過ごしていた。


 彼の1日は早い。陽が昇り始めて少し後に目を覚まし、庭で剣術の早朝稽古。そのあと、稽古でかいた汗をお風呂で流し、朝食をとる。

 今日もいつものように陽が昇り始めて少し後に目を覚ました。

 いつものように庭で稽古するために支度をしようと身体を起こそうとしたが、何かにしばられて身動きが取れない。必死にもがくが無駄な労力だった。


「そんなに動いても無駄ですよ」


 樹は聴きなれた声がした。その方向へ顔を向ける。


「おはようございます。樹さん」

「おはよう......じゃないよなアンリ。この状況をどういうことか説明しろ」


 頭に血が上った。だって朝起きてこの仕打ちはひどくないか。本当にひどくないか。

 初めて出会った時から天使だと思っていたよ。だけど今は、悪魔だ。


「えーっとですね......話せば長くなるのですが......」

「手短に頼む」

「そうですね。一言でいえば......」


 えっ、一言で表せるようなことなの?!この状況で一言で表せれるの?


 アンリはゆっくりと鞘におさめていた剣を抜きながら樹に近づく。


 もしかして、そういうことなの?!何かの間違いじゃないのか?!


 俺は一瞬戸惑った。しかし、次の言葉を聞いてから考える猶予はなっかた。


「さようなら」


 次の瞬間、鞘から現れた剣先から樹の胸を貫いた。




 **********************




 ここはどこだ?


 再びこの疑問にたどり着く。目を覚ませば、また、見知らぬ天井。

 背中にはふかふかというとても寝心地が良い環境は変わらない。

 前と同じようにゆっくりと頭を左右に傾け辺りを確認しようとしたが、身体の自由がきかないかった。


 なんで身体が動かないんだよ。俺は、アンリに剣で心臓一突きされたはずなのに、どうして生きている?


 訳も分からずに胸を刺され、こうして生きているのは、謎である。

 その解答をよく知っているであろう人物に問いただしてやろうと思った。


「やっとお目覚めね。起き上がるにはもう少し時間がかかるからそのままおとなしくしておいて」


 今まさにここで出会いたかった人物の声がした。

 腕に何かの薬物を投与され、ゆっくりと身体の自由を取り戻した。


「もう動いてもいいわよ」


 樹は身体を起こし、声がした方向に顔を向けた。そこでは、マリーがお茶の準備をしていた。


 ここでいくつか疑問に思うことがある,


 1.ここはどこなのか

 2.なぜ、アンリに心臓を貫かれなければいけなかったのか。

 3.死んだはずなのにまだ生きていること。

 4.なぜここにマリーが俺のそばにいること


 そのほかにもたくさんでてきた。この疑問の解答を全て知っているに違いないマリーに質問をぶつけてみた。


「なぁ、マリー。いくつか質問があるんだけど...」

「なんでしょうか?」

「ここはどこで、なぜ、俺のそばにいる?そして、俺は殺されたはずなのになぜ生きている?」

「一度でそんなに訊かないで。話せば長くなるけどそれでもいい?」

「かまわない。続けてくれ」


 マリーが準備していたテーブルの前まで近づき、椅子を引き、腰を下ろす。テーブルの上にはカップに注がれた紅茶とお皿にはスコーンなどが丁寧に並べられていた。マリーはカップを持ち上げ、一口飲んだ。


「まず、ここはどこかという疑問だけど、シーラス王国の宮邸。つまり、私の家ね。まぁ、樹がいた元の世界の30年後ですけどね」

「30年後ぉぉぉぉーーー?!」


 やばい、あまりにも長い月日が経っていたのに驚いて変な声が出た。

 ていうか、まじで、あの日から30年も経ってるの。マリー達とは3年ぐらいしか一緒にいなかったはずだ。どういうことだよ。


「樹が生きている理由も私がいる理由も1度転生しているので分かりますよね」


 いやいやいや。この人、まじで何言ってんの。転生したっていつやったんだよ。もしかして、俺を転生させるためにアンリに刺されたってとこか?


 全く理解できずに全ての思考が停止した。


「理解できないのなら自分が納得いくまで見て、探して、調べなさい。そうすればいつか必ず理解できるわ」

「分かったよ。できる限り自分で調べるよ」

「頑張りなさい!」


 こうなったらやけくそである。全てを理解するまで調べ尽くしてやる!


 樹は全ての真実を知ろうと心に決めた。

 マリーは樹にこれだけは渡さないといけない物を持っていたことを思い出した。

 スマートフォンに似た薄い情報端末を樹の前に置いた。これを見るのは樹は初めてだ。樹は薄い端末を不思議そうに眺めた。


「これは何?」


「これはアドイド。魔法発動補助システムが組み込まれたデバイスのことよ。あなたがいた時にはこんなのなかったでしょ。今ではこれがなければ魔法を発動することができないとされているわ」


「こんな機械使わなくても魔法を発動できる俺に必要あるのか?」


「あるわよ。アドイド使わずに魔法を発動すれば必ず目をつけられる。そしたらあなたは想像を超える出来事に巻き込まれる。それを防ぐためにはアドイドを使って魔法を発動するしかない。見せかけでもいいから魔法を発動する時は使いなさい。これは命令よ」


「そんなめんどうなことする必要本当にあるのか?」


「30年も経てばいろいろと変わっているものよ。周りの人間も、建物も、情勢も、もちろん魔法もね」


 あとこれもという勢いで薄ぺらい冊子をテーブルに置いた。


「高等魔法師養成高等学校……」

「この学校は今のあなたと同じ年齢の魔法師が集まっている学校よ。この学校で自分の目で確かめなさい。退屈しない日々をことができるはずよ」


 俺の意思は関係ないんですか。そうですか。もういいですよ。そういうことならやってやるよ。自分の目で確かめてやるよ。


 呆れと怒りが混じり、やる気が湧いてきた。


 小さく折られたメモ用紙を渡された。中にはとある住所が書かれていた。


「ここはあなたが学園生活を送るための拠点よ。隣の部屋はアンリよ。よろしく頼むわね」

「えっ……」

「頼むね」



 シーラス王国第二王女を護衛をしろということだろう。護衛なんてむいていない樹は断りたかった。しかし、笑顔で顔色変えずに威圧されては断ることができない。俺の平穏な日々を送るという夢は儚く散った。


「今日お話しすることはまだあるのですが時間がきてしまいましたね。では、参りましょう」

「えっ、どこへ?」

「もちろん日本よ」

「えっーーー!!!」


 ここ日本じゃなかったのかよ。

 突然祖国へ帰ることになった。

 数時間後、樹とマリー、アンリなどが極秘来日し、日本中が騒ぎになった。

読んで頂きありがとうございますm(_ _)m

毎週水曜日に投稿予定です。次回4話は10月17日の更新予定

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