プロローグ おんぼろ店ゲーマー、ここに誕生
不定期更新です。
人気だったら更新速度は速いと思います。
帰り道、俺はいつも帰り道にある店へと足を運ぶ。
キラキラと夜の街を照らす光の隅に一つがらんとして誰も立ち寄らない店だ。
外装はぼろく、看板のデンキはついているものの読めた状況ではない。
さらに言えば他はコンクリートとかなのに穴が開きまくって蜘蛛の巣が貼ってある木造である。
そんな店に俺はよく寄っていく。
「失礼するぞ。」
キィーという音を鳴らしながら開くこの木製の扉、埃がぼろさを引き立てるように空中を舞って行く。
俺はゴホッゴホッと咳をしながらその中にキィー、キィーと高い音を耳五月蝿く踏み鳴らし入っていく。
中に入ると【この先カウンター】と書かれた紙が扉の前に貼り付けてあった。
何故か紙は上質なものであったが彼は気にせず扉を開ける。
するとそこはお酒飲む場所、バーだと最初は思うだろうが後ろの棚に飾ってある物騒な銃だったり、綺麗にランプに照らされて光る水晶と、不気味なものばかりで、とてもまともな店には見えない。
そこに迷彩服にガスマスク、どこぞのB○1のゲームに居そうな見た目をした男。
普通なら悲鳴をあげて逃げ出してもおかしくないが主人公はそんなのを気にせず話しかける
「お前なぁ、金持ってんだから立て替えろよ」
手で埃をはらおうと手をパタパタさせながら目の前のガスマスクをつけた男に話しかける。
主人公もまた、ゴーグルにマスクと真っ黒なスーツを着ていた、これでよく今まで通報されなかったなとつっこみたくなる。
しかしガスマスク男は何も言わず手に看板を持ちキュキュとマジックの良い音を立てながらすらすら書いていく。
書き終えたら急に主人公の方に投げてくるが主人公は慣れっこなため簡単に受け取り内容を見る。
『俺はぼろい方が好きなんだ、それよりお前今日はどんな用事だ。』
「まぁ急ぎなさんな、今出すからよ、ほらこれだ。」
俺は真っ黒のコートの中から黒い、いやねずみ色と表現した方がいいかそれほど汚れた鍵を取り出しさっきのお返しといわんばかりに投げ渡す。
それを顔色変えず受け取る彼もまた社会とはかけ離れた存在なんだろう。
彼はガスマスクをはずし息を吹きかけハンカチを取り出す。
そのハンカチで汚れを取るのかと思いきや鍵をハンカチで包み放置した。
そして今度は後ろホワイトボードに音もなくすらすらと書いていく。
ガスマスクさえつけていなければ普通にイケメンなのだがと主人公はつくづく思っているが盛大なブーメランであるということに気付いては居ないのだった。
『これで一時間待てばいい、まぁ少しゲームでもどうだ』
彼はガスマスクをつけ後ろの棚の飾ってある一番下の所。
正方形だろうか、スイッチだけある謎のゲーム機に主人公は興味を惹かれているのは必然的だった。
「へー、最近のゲーム機はこんな地味な形してんだなぁ、売れてんのこれ?」
主人公の質問を無視してスイッチを押すガスマスク男、空中に表示されたウィンドウをカラカラとリズムゲーだったらなかなかに心地いい音を立てながらスライドしていく。
そして主人公の名前を選択した。
本名:伊塚 守
「プレイヤー名を記入してください」
ピコンッと急に音が鳴り青いウィンドウにそう描かれた。
最近のゲームは凄いのだなぁと呆けているとそこにピピピッと動く青い正方形がプレイヤー名を記入して行く。
「プレイヤー名:ゴーグル男 でよろしいですか?」
「おいちょっと待て。」
プレイヤー名を見てそれは隼の如く素早い動きでガスマスク男の右腕を掴み、何も言わずに作業のようにプレイヤー名を決定しようとするガスマスク男を止める。
「なんだ、このゴーグル男というプレイヤー名は、ダサすぎるだろ!もっとなんか.......エルザーグとか!いいのあるだろ!」
主人公は鬼の形相で当然のように言葉を並べガスマスク男を止める。
その姿を見てガスマスク男は"ならまずその格好をやめろよ"とつくづく思うがそれを主人公が察する事はなかった。
そして結局プレイヤー名は。
「プレイヤー名:スペルニア・ベニーシュに決定しました。」
主人公のセンスを疑うくらい酷い名前だが、本人は満足げなのでガスマスク男は何も言わず、ただ主人公を見つめ続けるのだった。
「それではゲームを開始します、プレイするゲームを入れてください。」
ガスマスク男が「はぁ・・・・」とため息を漏らしながら素早く、無駄に洗練された無駄のない無駄な動きを目の前で実現する人物、それはこのゲームをやりこんでる証拠であり、決して無駄なことではないということを主人公はまだ知らなかった。
........ゲーマーにとっては。
そんな無駄な動きに圧倒されている主人公が次の表示でハッと意識を戻す。
それは世界を騒がせ、日本という国のゲームを再び世界に知らしめたゲームの中のゲーム。
この世にこのゲームを知らないのは赤ちゃんくらいしか居ないと言われている。
「日本伝説 日本の伝統を求めて を起動しますか?」
「・・・・お前それ世界を騒がせた、超絶無理ゲーじゃねーか!!!!!ゲームに疎い俺でもそれは知ってるぞ!!」
その言葉を聞いたガスマスク男は無駄に高そうなノートを取り出しボールペンでカッカッとリズムよくすーっと何かを書いて主人公に手渡しをした。
『知ってるなら話が早い、がんばってクリアしてくれ【一時間】でな』
内容を見たことを確認し終えたガスマスク男はゲームを起動した。
すると主人公は空に浮き、ゲーム機の中に吸い込まれるように入っていった。
「一時間とかマジで無理ゲーだろぉ!!!!!!」
とか言いながら。
どうも霧夢たいたいです。
今回はおんぼろ店のゲーマー達を見ていただきありがとうございます。
最初に言った通り不定期更新のため速いか遅いかはまた別の話です。
まぁ暖かい目で見守っていただけたらありがたいと思います。