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私もあなたも恋してる。

「2日ともお疲れ様でしたね。3年生は最後ってことで気合入ってて、優希先輩は忙しかったんじゃないですか?」


「ううん、そんなことないよ。クラスの皆といろいろできて楽しかった。翔君は?」


「俺はずっと見回って、後は孝之と幸助とお菓子同好会にずっといましたね。というか、2日間食べ物もらえて幸せでしたね」


「ふふ、翔君らしいね。誰か女の子と2人でダンスしたりしないの? せっかく翔君が成功させた企画なのに、翔君がいないなんて変じゃないかな?」


「別に、今の会長は真理亜です。まぁ真理亜の場合は、優希先輩しか目に入ってないのは知られてますから、何もしてなくても自然だと思いますけど」


「ううん、皆この文化祭が終わるまでは、翔君も会長だと思ってるよ。それは感じなかった?」


「まぁ、それは思いましたけど」


実際いろんな人に会長会長言われてたし。


「翔君なら、引く手あまたじゃないかな? 会長になって一気に知名度上がったんだから」


「確かにお誘いはありましたけど、全部断りました。優希先輩こそモテモテじゃないんですか?」


「う~ん。私もたくさんあったけど……、断っちゃった♪」


「それはどうしてですか?」


「私も同じことを聞くよ? どうして?」


「……優希先輩は先輩なんですから、先に言うべきじゃないですか?」


「え~、翔君は後輩で男の子なんだから、女の子よりも先に答えるべきだよ♪」


「……」


「……」


お互いに沈黙してしまう。俺は優希先輩に何かを期待しているし、優希先輩の眼差しも俺に何かを期待している瞳だ。


「……、優希先輩。そういえば、俺ダンスの練習全くできませんでしたね。だからですかね。ダンス踊れないのが恥ずかしいからだと思います」


「……、そうだね。思ったよりも忙しくなっちゃって、翔君にダンスは教えて上げられなかったね。だから、私も踊るのが申し訳なかったのかもしれないね」


お互いどこかずれた言い訳をする。おそらくお互い本心ではない。


「じゃあ、ちょっと遅いかもしれませんが、教えてもらってもいいですか? ちょうどBGMもありますし、会長最後の仕事として」


「うん、先輩さんが教えてあげる。はい、お手♪」


「犬じゃないんですから」


そう言いつつも、嬉しそうに手を出す優希先輩の手に俺は手を置く。


「はい、じゃあ私がリードするから、何とかついてきて。言葉よりも動きで覚えちゃったほうがいいから」


「体育会系な教え方ですね」


「言葉で教えても分からないでしょ?」


「まぁそうですね」


優希先輩の動きについていくのだが、足をピンと伸ばしたり、背中をそり返したり、クルクル回転したり、普段の日常生活でしない動きに、俺は翻弄される。


「それじゃ力が入りすぎだよ。もっと力を抜かなきゃ」


「は、はい」


「わわっ。それは脱力しすぎ……」


「す、すいません」


「それでここから逆回転に」


「え? 逆?」


既に動きがついていかない。俺は足がもつれる。


「きゃっ!?」


「あ、危ないです!」


俺が足を絡めたせいで、俺は踏みとどまったのに、優希先輩が後ろに転びそうになる。


とっさに優希先輩の腰を支えて、倒れる前に止めることに成功する。


「すいません、また優希先輩を転ばせるところでした」


またとは、あの階段落下事件のことを言う。


あれは優希先輩も悪いが、俺も大分悪かった。


「ううん、私が倒れそうになっても、支えてくれる人がいるでしょ? 物理的にも精神的にも」


「……優希先輩?」


腰を支えた状態では、優希先輩の顔はかなり目の前にある。


その状態で優希先輩は目を閉じて急に何かを言い始めた。


「翔君。私は翔君に頼られて嬉しいし、翔君のことを翔君が思ってるよりもずっと頼りにしてる。翔君は私に頼られても嬉しくない?」


「い、いいえ、そんなことはありませんけど」


「大事な後輩だからってだけじゃないよ。私は翔君だから、頼ってもらえてうれしいし、翔君だから、頼りたいと思ってる」


「そ、それは俺も同じです。先輩だからじゃなくて、優希先輩だから……、頼ってもらいたいです。構ってもらいたいです」


「…………」


「…………」


無言でのダンスが続く。俺はとても落ち着かない。


「優希先輩……、皆すごいと思いません?」


「どうしてかな?」


「異性の人が目の前にいたら、落ち着かなくてダンスになりませんよ。何でみんなあんなにできるんですかね?」


「……、///」


優希先輩が俺の発言に顔を赤らめる。距離がかなり近く、両手を握り合っているのだから、俺も恥ずかしい。


とても距離が近いのに、お互い離れようとしない。目を逸らそうともしない。


「翔君……、こういうのは男の子からリードするものじゃないかな?」


「いえいえ、いつも優希先輩は俺を先輩としてリードしてくれてるですから、そんなことはないでしょう」


「……、私は普通の女の子だよ。皆すごく私を尊敬してくるけど、皆と1つか2つしか代わらない普通の女の子だよ。だから、男の子にリードして欲しいって思うのはそんなに変なことじゃないんだよ」


「……、優希先輩はずっと魅力的な女の子でした。俺はずっと憧れで尊敬してますって言ってましたけど、頑張っているうちに距離が近くなって、決して届かない存在とまでは思ってませんでした。それからは、ずっと女の子として見てました」


「…………」


「好きです。優希先輩。暖かくて優しくて気高いですけど、ときどきお茶目なあなたのことが好きです」


「……!」


ついに告白した。吹っ切れた俺は止まらない。優希先輩の肩を抱いて顔を近づける。


「……」


優希先輩は何も言わない。拒否されたらどうしようかと思ったけど、肩をつかんだときに優希先輩の体からは力が抜けて、俺にもたれかかってくる。これならばいけるはず。


「ん……んぅ……、ぷはぁ……」


口を一瞬つけただけで、頭が真っ白になって、つい反射的に離してしまった。


「……、もう、私まだ何も言ってないでしょ……、いきなりは駄目じゃないかな?」


「でも拒否してませんでしたよね」


「いきなりするんだったら、もっとしっかりして欲しかったな?」


「俺、初めてですから分かりませんよ」


「私だって始めてだもん。だから、大切にして欲しいな。もっともっと強引にしてくれてもいいんだよ。そしらた、もっともっと翔君のことを好きになっちゃうから」


「え、今優希先輩俺のことを?」


「うん、私も好き。いつも頑張ってて私に力をくれるあなたが好き。いざというときは、私を助けてくれて、頼りがいのあるあなたが好き。だから、こういう感じでもっと強引にしてもいいんだよ」


すると今度は優希先輩のほうから、キスされる。


頭を両手でがっちりと後ろから押さえられているので、俺から口を離すことはできない。


「ん、ん……」


優希先輩は俺に全力で抱きついてキスを続ける。優希先輩の胸を含む柔らかい部分が全て俺の体でつぶれて、とんでもない感触となっていて全身が燃えるように暑い。


香りもいつも以上に近くて呼吸困難に陥りそうだが、優希先輩は俺を離してくれない。


「ん、んん!」


「!?」


それどころか、俺の唇を割って、舌まで入れてくる。いわゆる大人のキスである。


もう体が熱いを通り越して、寒気がする。体中が優希先輩を求めているようだ。


「はぁ……。はぁ……、こ、これくらいしてくれていいんだよ……」


優希先輩が真っ赤な顔でそう言うが、俺はもう頭の中が真っ白どころか、脳が溶けてなくなってしまったかのように感じて、本当に何も考えられなくなってしまった。


「もう照れちゃって。やっぱり私がまだまだリードしてあげなきゃね♪ 本当に好きだよ。一緒にずっといてね」


最後に優希先輩が俺の手を握ってきたので、意識を取り戻した。


「はい、俺もよろしくお願いします」


そして、俺も手を握り返した。憧れの人についに横に並ぶことができたことに、俺の心は喚起に踊っていた。




今回でこのお話は最終回となります。

1ヶ月ほどお付き合いいただき、大変感謝しております。


話としてはこれで終わりですが、1話だけ番外編を本日か明日にあげて、完全に完結となります。


アクセス、ブックマークありがとうございました。



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