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転生妖狐さんのゲームのない生き方  作者: 油揚げ山盛り
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第八話 みんなで温泉

広場に戻ると、リナとミルクとパールが大きめの石に座って話をしていた。近づいていくとリナが気づいて石から降りて、自分のもとにやって来る。ミルクとパールも続いてやって来る。

「あ、どこに行ってたの?」

「あのお兄さんと少し話をしていたんだよ。今日寝る場所で。」

「何の話してたのかー?」

「世間話。」

「うんうん。大切だよね。知らない魔物さんとコミュニケーションとるのって。」

ミルクがそんなことを言って頷いているが、なんか違うような・・・。それにさっきまでしていたことは、この世界の基礎知識を頭に叩き込んでいたんだけどね。結構な量。

そんなことを話していると、おばちゃんがタオルを持ってこっちにやってきた。

「みんな、ご飯ができる前に温泉に入りに行くわよ。」

「・・・温泉?あるんですか?」

「ええ。あっちに。」

そう言って、おばちゃんは村の入り口とは反対方向に指を指した。

「すごいね。そんなのもあったんだね。」

「ええ。とっても気持ちいいから。いっぱい入りなさい。」

「温泉とっても気持ちがいいよ。僕、朝と夜にも入っているんだ。」

「体がとっても温まるのだー」

「みんな、早く行こう。クラッセも。」

「「うん!」」

そう言ってリナ達は走って温泉のある場所に行く。

「・・・クラッセも一緒に走って行きなよ。おばさんはゆっくり歩いて行くからさ。」

「うん。」

自分は軽く頷き、三人に追いつくぐらいの速さで走ってついて行った。

                ~5分後~

三人は温泉に着いた。

「ついたのだー!」

「うん、着いたね。・・・ってあれ?クラッセは?」

「おばさんと一緒に来てるんじゃないのかな?」

「だったら待とうか。一緒に入りたいし。」

三人がそう話していると、こっちに走ってくる自分が三人の目に見えた。

「おーい!こっちこっち!」

そう言って手を振るミルクを自分は見て、スピードを上げた。そして、着いた。

「ごめんごめん。待たせちゃったみたいだね。」

「ううん、私たちもさっき着いたところだから。さ、入ろうよ。」

三人はぱっぱと服を脱いで、勢いよく入った。高い水しぶきが上がった。自分もその様子を見ながら服を脱ぎ、丁寧にたたんで、邪魔にならないところに置いた。

自分が温泉の湯船の前に来た時、温泉の中央付近にいる三人がこっちに体を向けて自分を呼んだ。

「おーい!早く入ってきてよ!」

「あ、う、うん!」

自分は顔を少し赤くして、返事をした。視線は上を向いていた。

・・・自分が元々男だったせいか、女の子の裸がまともに見れない。見ててなんか恥ずかしい。

視線を上に向けたまま、自分は湯船に入った。そして端っこに座って湯船に浸かった。目線は地面に向いている。

その様子を見ていた三人は、自分に近づいてきた。

「どうしたの?ほら、みんなで真ん中でお話しよう。」

「真ん中の方が解放感あって気持ちいいよ。ほら、こっち来て。」

「う、うん。・・・わととと・・・」

ミルクはそう言って自分の手をつかんで真ん中に連れて行く。自分は立ってついていく。手を引かれる方向に。

「一緒にお湯をかけあうのだー」

・・・海じゃないんだから。あなたは修学旅行の宿先の風呂でふざけあう生徒ですか。

そして、温泉の中央付近についた。そしてその場に座って話を始めた。

「きもちいいね~」

「うん。とっても。」

「・・・この温泉のお湯、とってもきれいでしょ。」

「うん。透き通っていて、地面が見えるね。」

「なんでクラッセはさっきから上を向いているのだー?」

「・・・こうやって無心にして湯船に浸かっていると、気分的に疲れが取れるから。」

「へー、そうなのかー。」

・・・いいえ、上を向いている理由は少しでも下を見てしまうとあなたたちのものが見えちゃうからです。せめて透き通っていなければ普通にしていられたんですがね。

「ん?クラッセのその紋章は何?見たことない形しているけど。」

リナがそう言って自分の下腹部の紋章をじろじろと見る。ミルクとパールもリナの言葉に反応して同じところを見ている。・・・なんか恥ずかしい。

「ほんとだ。見たことない形してるね。」

「変な形なのだー」

「ちょ、ちょっとごめん。そんなにじろじろ見ないで。恥ずかしいから・・・」

そう言って自分は下腹部を手で隠した。

そうこうしていたとき、ゆっくりとおばちゃんが歩いてきた。

「・・・4人で楽しそうにしているねえ。何の話をしてたんだい?」

「あっ、おばちゃん。クラッセのお腹の下あたりに不思議な紋章があるの。」

「見たことない形なのだー。」

「あら、そうなのかい?ちょっと見せてもらおうかしら。」

そう言って、おばちゃんはタオルをおいて、服を脱ぎ、一か所にまとめてから、自分の前に来た。そして下腹部を隠していた手をどけて、紋章を見た。

「・・・?本当によく分からない形しているわね。明らかに妖狐族の紋章とは違うし。」

「おばちゃんでも分からないの?僕、凄い気になる。何の紋章だか。」

「気になるのだー。」

おばちゃん、ミルク、パールの三人が自分の下腹部の紋章を見ながら考えていると、リナは自分の紋章に触ろうとしながら話しかけてきた。

「ねえ、クラッセ。この紋章が何かは自分で把握しているの?」

「ううん、分かんない。・・・・・・おっと。」

自分はリナの手を遮った。

「・・・触ったらだめ。危ないよ。」

「そうなの?」

「ううん、大丈夫なはずだよ。僕、聞いたことあるから。紋章は種族を表すものだって。」

「・・・あのさ、おばちゃんが少し補足的な説明をいれていいかい?」

「「「「?」」」」

おばちゃんが説明すると言ったので、自分達4人はおばちゃんの近くに座った。

「確かに紋章は種族を表すものだよ。でも、紋章に傷がつくと、治るまで、種族特有の技が使いにくくなるのよ。例えで言うと、クラッセは妖狐だから、化けることができるでしょ。紋章に傷がつくと、その化ける能力の質が落ちたり、化けることができなくなるのよ。だから気を付けてね、みんな。」

「うん。・・・でも触っても大丈夫でしょ?」

「ええ。大丈夫よ。」

「大丈夫だからさ、クラッセ、ちょっと触らせてもらうよー。」

・・・本当に大丈夫なんだろうか。お兄さんは紋章触ったら吹っ飛んだけど。・・・軽く触るぐらいなら大丈夫なのかな。

「や、優しくね。ミルク。」

「うん。分かってるよ。」

そう言ってミルクは自分の紋章を触った。少しくすぐったい感じがする。・・・リナ達は紋章をじっくりと見ている。

「・・・どう?ミルク。何かおきた?」

「うーん、別に何も不思議なことはおきないね。」

確かに、何も起きていない。お兄さんが触ったときは光を放って勢いよく吹っ飛ばしたけど。・・・そういえば、あのお兄さん、自分に何かしてたよな。あの時の状況から考えると、自分の化けの皮を魔法かなんかではがそうとしていたのかな?・・・もしかして、紋章に魔法で攻撃や状態異常にしたり、物理的に傷をつけようとすると、その効果や攻撃を無効にして吹っ飛ばすのかな?魔法はお兄さんで実証済みだ。物理の方は、おばちゃんで試してみようかな。 

自分がそう考えていると、リナは自分の顔を見て、話しかける。

「クラッセもどう?体に異変はない?」

「うん。おばちゃんに思いっきり殴られるぐらいじゃないと、異変がおきそうに無いと思うな。」

「そう?じゃあ、おばさん。ちょっとクラッセの紋章を思いっきり殴ってみて。」

「リナ。おばちゃんは子供に暴力はできないよ。クラッセも、そんなこと言ったらだめだよ。」

「大丈夫ですよ。これでも自分は結構丈夫な方なんで。」

「・・・まあ、確かに気になるし、少し手加減すれば大丈夫だね。クラッセ、ちょっと立ってもらってもいい?」

そう言って、おばちゃんは拳をグーにした。自分はおばちゃんの言った通りにその場に立った。

「いくよ。3・・・2・・・1・・・えいっ!」

『えいっ!』の掛け声と同時におばちゃんのパンチが出た。そのパンチはしっかりと自分の紋章に命中した。

「うひゃあああ!?」

パンチが当たった直後、自分の紋章は光を放ち、おばちゃんは温泉の端っこまで吹き飛ばされた。

「「「お、おばさん!?」」」

三人は飛ばされたおばちゃんを心配して、駆け寄っていった。自分も三人の後をついて行った。

「だ、大丈夫?おばさん・・・」

「げほっ、げほっ・・・だ、大丈夫よ。ケガはしていないし。」

「そ、そういえばクラッセは大丈夫なのかー?」

「うん。触られた感触ぐらいしかなかったから。」

「なんかすごい光、発していたよね。僕、瞬きしないで見ていたから、見えたよ。」

「そうだったの?私、クラッセがケガすると思ったから見ていられなかった。」

「自分もなのだー」

「どういうことなんだろう?紋章が光を放ったのを見たのは、僕、初めて見たよ。」

「さあ・・・。分からないわね。クラッセ自身もよくわかっていないし。」

「すごい不思議なのだー・・・。」

そんなことを話していると、狼のおじさんがやって来るのが見えた。気を使っているのか、遠くから大きな声で呼びかけていた。

「おーい!もう少しでごはんができるぞー!そろそろ戻ってこーい!」

「「「「はーい!!」」」」

自分達4人はおじさんに聞こえるように返事をした。・・・おじさんは戻っていったから、聞こえたんだよね。

「・・・よいしょっと。さてと、広場まで戻りましょうか。ちゃんと体拭いて、服着てから。」

「大丈夫なんですか?ほんとにケガとかないんですか?」

そう心配する自分を見ておばちゃんは笑顔で言葉を返した。

「大丈夫よ。体に脂肪がたっぷりついているもの。」

「な、ならいいんですけど。」

「・・・はい。タオルで体拭いてね。」

「・・・ありがとう。」

自分達はおばちゃんから受け取ったタオルで体をふいた。そして服を着た。・・・あれ、なんか心なしかきれいになっているよな。この服。

そう考えながらおばちゃんを見ると、その理由はすぐに明らかになった。

「きれいになーれ。えいっ!」

    ぱあっ

おばちゃんはみんなの服を魔法できれいにしていた。・・・きれいにする魔法もあるのか。便利だな。

そう考えていると、着替え終わっていたミルクが話しかけてきた。

「すごいよねー。あんなに簡単に綺麗にするなんて。」

「うん。どんな力があればできるんだろうね、あれ。」

「ああ、あれはね、回復魔法だよ。おばさんはね、回復魔法のレベルが高いの。だからあんな風にすぐ綺麗にできるの。あと、回復魔法は封印を解いたり、呪いを解いたりもできるの。」

・・・便利だね。回復魔法って。

「なるほどね。・・・みんなも服着たし、戻ろうか。みんなで広場に。」

「うん!」

自分はミルクと一緒にリナ達の着替えてたところに行った。そして、みんなで手をつないで広場に戻っていった。

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