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転生妖狐さんのゲームのない生き方  作者: 油揚げ山盛り
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第六話 紋章の謎は増える

「・・・クラッセといったかな、おぬし。ワシと少し話をせんかのう?」

「はい。」

・・・そういえば長とは一度話しておきたいと思っていてすっかり忘れていたな。

「おぬしは本当に捨て子か?」

「・・・はい。だってほとんどの事知らないですし。この世界がどんな感じなのかも。戦い方も適当ですし。」

「そうか。なら、しばらくこの村でゆっくりとしていくといい。いつまでもいても構わないぞ。」

「はい、ありがとうございます。」

・・・捨て子でこんなに力をもったやつ、どこにもいないでしょ。多分、二次元の世界にもあんまりいないぞ。

「そういえば、今日は自分以外にも捨て子がいたと聞いたんですが、その子たちは今どうしているんですか?」

「・・・実は違うんじゃ。あの二人は親に普段から暴行を受けていて、逃げて来たんじゃ。捨て子に見えるように服装なども色々工夫をして、村のみんなに見つかるようにしたんじゃ。・・・みんなには内緒じゃぞ。」

・・・なるほど。魔物達にもいろいろな事情があるんだな。首は突っ込まないでおこう。・・・ていうかこの長、聞かれたことなら何でも喋るな。

そう思っていた時、魔物のお兄さんが長に話しかけた。

「おい、長さん。今日はどこに泊まっていけばいいんだい?」

「ああ、そこじゃよ。そこ。普段から来客用として使っているんじゃ。ただちょっとお願いがあるんじゃが・・・クラッセもそこで寝かせてあげてくれんかのう。ちょっと場所が足りなくてのう。」

「・・・ああ。構わねえぜ。」

そう言いながら魔物のお兄さんはその家に入っていった。そして荷物を置いて出てきて自分を呼んだ。

「おい、ちょっとこい。」

「?」

何の話だろうと思いながら、とりあえず魔物のお兄さんのいる家の前までいった。

「どうしました?」

「時間空いているか?」

「ええ。」

「家の中で話すぞ。入れ。」

そう言って魔物のお兄さんは家の中に入っていった。自分もそれに続いて入っていった。

・・・家の中は殺風景というか、何もない。あるのは暖炉と調理場程度だ。

 ガチャ

自分の後ろで魔物のお兄さんがドアの鍵を閉めた。

「・・・何をするつもりなんですか?まさか・・・」

「お前が今思っているようなことはしねえぞ。単に話を他の奴らに聞かれたくないだけだ。」

「・・・話って?」

「ちゃんと話してくれればさっさと終わる。だから正直に話してくれ。」

「何をですか?」

「・・・・・・お前は九尾狐だ。そして明らかに子供とは思えないパワーとスキル。あれを見てただの子供の魔物だとは誰も思わない。」

「そうですかね」

「そうだ。・・・鍵を閉めたのはお前の本当の姿を誰にも見せないためだ。」

「ほ、本当の姿?どういうことですか?」

「とぼけるな。」

「とぼけてなんかいませんって・・・」

・・・魔物のお兄さんは怖い顔をしてにらみつけている。自分はその顔から少し目を逸らしながら話をしている。

「お前の紋章はどこにある?」

「・・・?下腹部にありますが?」

「見せろ。」

「はい。いいですよ。」

そう言って自分は巫女服のスカートをめくった。下着を着てなかったので、紋章を見せるどころか下半身丸出しになっていた。・・・魔物のお兄さんは少し顔を赤くしている。

「お、お前・・・、ちょっと大雑把すぎねえか?」

「だって、この方が楽で時間かかんないですし。」

「まあ、お前がいいなら大丈夫なんだが・・・」

そう言って魔物のお兄さんは紋章に手のひらをあてて、何かぶつぶつと喋りだした。もう片方の手で大人しくしていろ的な合図をしていたので、それに従って黙っていた。・・・そういえば、自分で紋章を触ったときは全身がぞっとするよう感覚があったけど、他人に触られたときは何も感じない。まあ、理由はそのうち分かるだろう。

そして、1分ぐらいたって、

「・・・・・・、おらぁ!」

今の掛け声とほぼ同時に自分の体全体が燃え上がるような熱さが来た。

「ひゃあ!?」

「・・・よし、うまくいってるぜ。後はこのままの体制で・・・ん?おわあああああ!?」

体制を安定させようとしたときに紋章が光を放ち、魔物のお兄さんは自分とは反対側の壁まで飛んで行った。紋章から手が離れたからか、全身の熱さは無くなった。

「はあはあ・・・何だったんでしょう。あの熱さは。・・・あれ、なんであそこで魔物のお兄さんが倒れてるんだろう。」

そう言って魔物のお兄さんに近づく。

「大丈夫ですか?」

「イ、イテテ・・・何なんだ、お前の紋章は・・・ありえない力が出てきたぞ・・・」

「・・・ありえない力?」

魔物のお兄さんはゆっくりと起き上がり、話し続ける。

「紋章っていうものはな、種族を表すものだ。時々例外もあるがな。」

「なるほど。これが妖狐族の紋章ですか。」

「・・・違うぞ。それは妖狐族の紋章ではない。それに、紋章には触ったやつを吹き飛ばすとかそういう能力はないぞ。・・・はぁ、なんでちゃんと紋章の形見ておかなかったんだろう。明らかに形違うし。」

「じゃあ、この紋章は何ですか?それにさっき、貴方を吹き飛ばした力は何なんでしょうか?」

「知らん。大魔王様にでも見てもらえば何か分かるんじゃないか?」

「大魔王?」

「そこからかよ・・・ハァ・・・本当に何も知らねぇのかよ。しかたねえ、とりあえずざっくりとだが教えてやる。」

魔物のお兄さんは呆れた顔をして荷物の置いてある場所に歩いていった。自分もそれについて行った。

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