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転生妖狐さんのゲームのない生き方  作者: 油揚げ山盛り
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第三話 魔物達の村

「ここが私たちの住んでいる村だよ。」

・・・自分とリナさん達が会った所から歩いて10分ぐらいのところにその村はあった。村の中央に広場があり、それを民家が囲うように建っていた。自分が元々いた世界の、狩猟民族みたいな感じの村っぽい。周りが綺麗な自然で覆われているからか、凄く平和な感じがする。こういう所でゲームしたら楽しいんだよなあ。家でする時とまた違って。ああ、携帯型ゲームがほしい。

「どうかしたの?」

「ううん、何でもない」

自分の考えているような顔つきを見て、リナは少し心配しながら話を続ける。

「・・・もし他の種族の魔物が苦手ってことがあったら言ってね。村のみんなにもそう伝えておくから。」

「そこは心配いらないですよ。大丈夫です」

・・・自分はボッチではあったが、コミュ障ではない。普通に人と話せてたし、大学のプレゼンテーションでもしっかりと説明はできていた。友達がいなかったのは、自分が重度のゲーマーだからなのだ。

・・・リナさんとそうこう話しているうちに、村の広場に着いた。

「おじさーん、木の実持ってきましたよ。」

「おうサンキュ・・・うぉっ!?」

その魔物は自分を見て驚いて転んでしまった。種族は耳と尻尾を見て、狼であることがわかる。

リナ達は転んだ狼のおじさんを心配して近寄って声をかけた。

「だ、大丈夫ですか?」

「ケガはないですか?」

「料理は無事なのかー?」

「「違うでしょ!」」

今の一連のやり取りで、自分は思わず笑ってしまった。コントかよ。

そのやり取りの直後、倒れてた狼のおじさんは起き上がり、リナ達に話しかけた。

「・・・だ、大丈夫だ。問題ない。」

・・・それ、自分がいた世界では死亡フラグなんですよね。この世界で適応してないことを祈ります。


自分たちが広場でそうこうしているうちに、誰かが近づいてきていた。

「・・・どうしたの?あんた達、なんかさわいでるけど」

来たのはホルスタイン族のおばさんだった。自分たちが騒いでいるのを気になって見に来たらしい。

「ん?その子はだれ?」

おばさんが自分を見て言った言葉に、リナがおばさんに自分のことを伝えた。

「捨て子らしいんです。話し方から、ずっと一人で歩き回っていたんだと思います」

「・・・なるほど、そうだったの。一人で頑張って生きてきたのね。」

おばちゃんはそう言いながら自分の手を軽くつかんで、こう言った。

「とりあえず、おばちゃんが服を着させてあげるわ。裸じゃ寒いでしょう?」

そういって自分の体を持ち上げて肩にのせた。自分は落ちないように頭のツノをつかんだ。


                  ~30分後~


自分はおばさんと一緒に戻ってきた。服を着て。それを見てリナ達は少し苦笑いしている。1人を除いて。

「お、おばさん・・・」

「似合っているでしょう?この子を見て絶対これが似合うって思ったからねえ。」

「ま、まあうん。似合ってはいるけど・・・」

「巫女さんのコスプレがすごくにあっているのだー♪」

「「「「・・・・・・・・・・」」」」

・・・今の一言でこの場が静まりかえったようだ。

この空気をどうにかしようと思ったとき、狼のおじさんがこっちに来て、話しかけてきた。

「・・・昼ご飯できたぞ。おばちゃんはみんなを呼んできてもらえるか?」

「え、ええ。わかったわ。」

そう言っておばさんは走って村のみんなを呼びに行った。

そしておじさんは自分達にご飯を渡して、こう言ってきた。

「・・・あのおばちゃんのことだ。たぶん村のみんなに話すと思うぞ。お前のこと。だからどこか静かなところで食べてこい。自己紹介なら後でいくらでも時間はとってくれると思うしな。」

「はい。ありがとうございます。」

「じゃあ、さっきの木のところで食べようか。私たちの出会った場所で。」

自分はうなずいて、その木のある場所に行った。4人で。

                     ~5分後~

・・・自分達はさっきの場所に着いた。スープが冷めないように急いできたのでトレイに少しこぼしていた。

「さて、ここら辺に座って食べましょう。」

「ついたのだー!ごはん食べるのだー!」

「ちょ、ちょっとまって。一応これ持ってきたから。」

そう言って、リナが木の実を運ぶためのリュックサックからビニールシート的な物を取り出して、広げた。

「はいどうぞ。みんなここに座って。」

「ありがとう」

自分はそう言って、座った。端っこに。

そして、その隣にはリナが座っていた。他の二人もリナの近くに座っていた。

「「「いただきます」」」

「いただきますなのだー」

4人の声が揃った。そして食べ始める。

そして10分もたたないうちに全員食べ終わっていた。

食後のデザートとして木の実を食べているとき、リナが話しかけてきた。

「・・・そういえばまだちゃんと自己紹介して無かったよね、私達。」

「リナさん以外の2人は名前すら言ってないですもんね。」

「そういえば・・・そうでしたね」

「わすれてたのだー」

そういうわけで、自己紹介をしあうことにした。

「最初は私からね。一度言ったけど。私はコボルト族のリナ。属性魔法は使えないけどパワーは強いわ。」

「じゃあ、次は僕。僕は猫又のミルクです。よろしく。」

「・・・女の子ですよね。」

「うん。初めて会う魔物さんにはよく間違われますよ。一人称が『僕』だし。だからあまり人前では一人称を使わないようにしているんですよ。」

・・・見た目と声が100%女の子だからなあ。なんかもったいない気もする。この一人称。

「ちなみに僕は風魔法を使えます。あまり強くはないけど。」

「最後は自分なのだー!自分はドラゴンのパールなのだー!闇魔法が使えるのだー!よろしくなのだー!」

「コボルト族のリナさん、猫又のミルクさん、ドラゴンのパールさんですね。よろしくお願いします。」

「うん。よろしくね。よかったらあなたの名前と能力、教えてもらえるかな?」

・・・そういえば、名前のこと何も考えていなかった。転生する前の名前は黒木剛という男っぽい名前だから使えないし。

リナさんはなかなか名前を出さずに悩んでいる自分を見て、こう言った。

「もしかして、幼いころに捨てられたから名前無いの?」

「い、いや、ちゃんとありますよ。ノワール・クラッセという名前が。」

ノワールはフランス語で黒を意味する。クラッセは、どっかのゲームのキャラクターの名前にあった気がする。たぶん。

「かっこいい名前だね。よろしく、クラッセさん。」

「どんな力をもっているのかー?」

「光魔法。」

「見せてほしいのだー」

・・・どうやってやるんだろう。適当にやってみるか。

自分は手のひらを上にして念じてみた。『光よ出ろ!』的な感じで。

すると、自分の手のひらの上に光の玉がでてきた。

「おおー!すごいのだー!」

パールは興奮して喜んでいる。リナとミルクは興味津々な顔で見ている。

自分は光の玉の威力を確認しようと思い、草むらの方にある小さな木に向かって投げた。

 ブンっ

三人の視線は投げた光の玉を追っている。そして、光の玉は木に命中した。

 ズドーン!  メキメキメキィ・・・ ドスーン!

・・・これが光魔法Lv10の強さか。すごいな。結構太い木だったんだけどな。

三人は開いた口がふさがらない様子だ。まあ、当然だろうな。あんなことしたら・・・

「・・・大丈夫?」

自分が三人を心配して話しかけると、リナはハッとして、正気に戻った。後の二人は、まだ呆気に取られている。

「う、うん。そろそろ戻る?」

「そうですね。戻りましょうか。」

とりあえず自分たちは村に戻ることにした。呆気を取られているミルクとパールを正気に戻して。

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