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転生妖狐さんのゲームのない生き方  作者: 油揚げ山盛り
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第二十話 新米勇者にサポートを(強制)

~セントラルタウン(クラッセが去った日の次の日の朝)~


・・・・・・僕は勇者だ。

誰が何と言おうとも勇者だ。だって、自分はイザベルお父さんの息子だからね。

周りの人達には、親の七光りだとか言われているけど、力は本当にあるんだから。

今日は旅立ちの日。ラスクさん達も見送りに来てくれる。

本当だったら、イザベルの剣を渡してくれる上に、心強い仲間を連れてくるって言っていたけど、両方とも魔物に駄目にされたらしくて、ラスクさんはかなりショックを受けているのが昨日の様子で分かっている。

・・・・・・大丈夫だ。お父さんのように、魔物達との共生できるように、頑張っていかなければ。

自分は食料、お金、アイテム等をカバンに入れて、武器と防具を装備して、港町の方向の出口に行った。


僕が出口付近に行くと、自分の親や兄弟、友達、剣術を教えてくれた先生、そして、ラスクさんが見送りに来てくれていた。

自分はみんなからの声援を受けながら、セントラルタウンを出て行った。


セントラルタウンから歩いて10分ぐらいのところに、自分はいる。

さて、どうしたものか。自分の目の前には魔物が一人倒れている。見た感じ、竜人族かな。

さて、自分はどうする?

――――――――――――

┃ 無視をして先に行く  ┃

┃➡とりあえず話しかける┃

┃ 倒す            ┃

――――――――――――

・・・・・・まず、会話をしてくれるかどうかかな。襲ってきたらやっつければいいと思う。

「あのー・・・。大丈夫ですか?」

そう話しかけると、魔物は起きたらしく、反応してくれた。

「・・・・・・別に大丈夫よ。あいたた・・・・・・。」

「どうしてこんな所に倒れていたんですか?」

僕がそう話しかけると、その竜人は僕が思いもしないような事を話し出した。

「・・・・・・あなたを待っていたのよ。大魔王様のいる所まで行くのにサポートしてあげようと思って。だって、あなたは魔物との共生を目指しているんでしょ?あなたの父親のイザベルと同じように。それは大魔王様だって、賛成してくれると思うしね。」

「さ、サポート?どういうこと?」

「道案内と、あなたが強くなれるために色々とスキルやアビリティを教えてあげたりと、色々とね。あなたは一人じゃやっていけないと思うわ。イザベルとは違うのよ。あなたの体は。」

「それはどういう・・・・・・」

「そんなことはどうだっていいの。あなたのサポートをするの。ついて行っていいわよね?」

「・・・・・・はい・・・・・・。」

・・・・・・僕はその竜人の圧力に勝てず、ついて行かせることになった。

「えっと、名前は・・・・・・。」

「イスラフィルよ。あなたの名前は?」

「えっと・・・。グランドです。」

「グランドね。・・・・・・よし、早速、港町に急ぎましょう。ここら辺には何も無いし。」

イスラフィルはそう言って、歩き出した。僕もそれについて行った。


~その夜~


僕とイスラフィルは、道の途中で野宿することになった。

イスラフィルは『自分の歩く速度が遅いから着かなかった』とか言ってるし・・・・・・。そんなこと言ってもなあ。自分は人間だし。

僕はそう思いながら、テントを組み立てていた。

イスラフィルは、自分のバッグの中にある食べ物で、料理してくれている。それも、手際よく。

そういえば、イスラフィルさんはどうしてサポートしてくれるんだろうか?魔物なのに。

・・・・・・とりあえず、食事の時にでも、いろいろ聞いておこう。これからは一緒に旅するパートナー的な存在だしね。

自分がテントを張り終わるとほぼ同時に、イスラフィルがこっちに来た。

「・・・・・・終わった?」

「あ、うん。今終わったところ。料理は出来たの?」

「ええ。とりあえず、あなたの分を持ってきたの。先に食べてて、私のも持ってくるから。」

イスラフィルはそう言って、調理していた場所に戻った。

・・・・・・先に食べてていいと言われたが、僕は料理を食べずにイスラフィルを待っていた。何となく。

1分もしないうちにイスラフィルは料理を持ってここに来た。僕の手を付けてない料理を見て、イスラフィルは僕に話しかけた。

「あれ、食べないの?別に何も変なものは入ってないよ?」

「あ、そうじゃなくて、一緒に食べ始めようと思って。」

イスラフィルは、僕の行ったことに笑顔で頷き、僕の横に座った。

そして、僕と一緒に『いただきます』をして、食べ始めた。

僕は料理を静かに食べているイスラフィルさんに、色々と質問をした。

「あの、イスラフィルさん。」

「ん?どうしたの?美味しくなかった?」

「あっ、そうじゃなくて、どうして自分をサポートしてくれるなかなって。だって、イスラフィルさんは魔物でしょう?人間は敵だと思っているんじゃ・・・。」

「そんなことないわ。魔物だって、人間と同じように色々な考えを持つわ。あと、サポートする理由だって、特に無いし。ただあなたに興味を持っただけよ。未来の英雄さん。」

・・・・・・うーん。何かなあ。何か怪しいなあ。ラスクさんが言うには、魔物は人間を襲う悪魔だとか。

イスラフィルは、僕を騙しているんだろうか。

「・・・・・・ねえ、イスラフィル。」

「どうしたの?そんな怖い顔して。・・・やっぱり信用できない?」

「信用できるとか信用できないは今はいいんだ。後からでも信用は出来るから。今聞きたいのは、魔物がどうして人を襲うのかってことなんだけど・・・。」

「う~ん・・・。それは・・・・・・。」

その質問に、イスラフィルは悩んでいた。食事の手を止めるぐらいに。

「べ、別に答えられないなら・・・・・・。」

「・・・・・・魔物達に聞いてみなくちゃ、分からないわ。想像だけで答えるのもなんかね。」

「そ、そうですか。」

・・・これ以上の会話はなく、僕は食べ終わって、食器を洗って、剣術の練習をして、テントに入って寝た。イスラフィルは料理を食べ終わって食器を洗った後は、ずっと自分の様子を見ているだけだった。


~グランドが寝た後~


イスラフィルはテントから少し離れた場所で、大魔王にテレパシーを送っている。

「・・・・・・聞こえるかしら?」

「・・・・・・ああ。聞こえるぜ。」

「とりあえず、作戦は成功。後は、あなたを倒せるほど強い勇者にさせてあげればいいんでしょう?」

「ああ。頼む。それと、1つお前に言っておかなければならないことがある。」

「どうかしたの?」

「たまもから聞いた話でな、金毛の九尾狐が急に現れたらしい。」

「えっ、金毛の狐はもういないはずなのに・・・・・・。それが本当なら、その狐は・・・・・・」

「飯綱の後継者かもしれないな。1度会って確認してほしい。・・・頼めるか?」

「ええ。わかったわ。・・・・・・あ、そうだ。結構後になると思うけど、何か欲しいものがあったら持って行ってあげる。だから今のうちに・・・・・・」

「お前はいつもそうだな。俺の心配はいらねえって言ってるのにいつもいつも・・・・・・。」

「いーじゃん。一応、あなたのお嫁さんなんだし。心配するよ。」

「俺より勇者の方に心配を向けてくれ。」

「あっちは私がいれば大丈夫よ。私は元・四天王だし。そんなに簡単にやられはしないわ。それにあなたの方こそ・・・・・・」

 ブツッ!

「あ、切られた・・・。なんで話の途中で切るかな。話したいことはいっぱいあるのに。・・・・・・ま、いいや。寝よう。」

イスラフィルはテントに戻って、グランドのそばに寄り添って寝た。

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