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転生妖狐さんのゲームのない生き方  作者: 油揚げ山盛り
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第二話 妖狐さんは小さかった

「・・・・・・なんだろう、ここ。」

目が覚めて、自分がいた所は何かの台の上だった。小さな窓からわずかに光が射し込んできていたので、わずかだが周りが見えた。周りにあったのはよくわからない機械。しかもほとんど壊れている。そして人の気配はしない。

「とりあえず外に出ようかな」

そう言って自分は出口を探し始めた。ぼーっとしながら。

「暗くて先がよく見えないなあ・・・」

・・・10分後、ようやく外に出ることができた。大したこともなく。まあ、足元がよく見えなかったから何回か段差につまずいて転びそうにはなったが。

まあ、そんな事はどうでもいい。とりあえず自分の身体をチェックしよう。ここは明るいし。

まず恰好は、なにも着ていない。いわゆる素っ裸だ。ゲームでいえば、『装備なし』である。

次に頭を触ってみると髪の毛とまた違った感触の毛で覆われたものがある。おそらくこれが耳なんだろう。

そして後ろをみるともっふもふな尻尾があった。9本も。

自分が昔していたゲームでは妖狐の中でも一番強いのは9本の尻尾をもつ狐、いわゆる九尾狐であった。この世界でもそうなのかはわからないが。

それと、気になるところはまだある。

一つは、自分の下腹部にある紋章みたいなものだ。触ると全身が震えるような感覚が出てくる。あまり触らない方がいいな。

もう一つは視点が低くなったこと。これは明らかに幼体化しているのではないか。人間だったときは身長が190cmはあったから。色々と不便だ。背が低いと。

そして最後にもう一つ。性別が変わってしまっていることだ。まあ、これは自分が悪い。転生の神様、ミグに言うのを忘れていたから。胸のちょっとした膨らみと股間のあたりの寂しさは我慢しよう。


・・・確認はこれぐらいでいいか。とりあえずこの辺りを歩いてまわろう。

自分は草むらをかきわけて歩いていった。すると、誰かの気配がした。気になったので、あまり音を出さないように気配のする方向に歩いて行った。

200メートルぐらい歩くと、その先に木の実がたくさんついた大きな木が一本あり、その周りに何人かいて、木の実を取っていた。

「・・・あれは、魔物かな?獣耳あるし・・・それにあの木の実美味しそうだな」

・・・とりあえず魔物さんはおいといて、木の実を食べに行こう。少しお腹が減ってきてるし。それに夜ご飯の分もとっておこう。なにも食べれないかもしれないし。今の状況じゃあ。

・・・そんなことを考えながら、自分が草むらから出た瞬間だった。木の下の周辺にいた魔物のうちの一人が自分の目の前に走ってきていた。

「この平和な森を荒らす人間め!かくごっ!」

「うひゃあっ!?」

不意打ちだったが、なんとか相手の攻撃を避けた。

「・・・あ。」

・・・どうやら自分が人間でないことが分かったらしい。そしてその魔物は持っていたこん棒系の武器をしまった。

「し、失礼しました!人間かと思ってしまって!」

そう言いながら自分に頭を下げた。

「いえ、大丈夫ですよ。ケガは無いですし。でも、草むらから誰かが現れるなんてシチュエーションなんてあなたたちにはよくある事では?」

「たしかによくある事ですが・・・あなたの気配を察知したときの動きが人間とほぼ同じだったもんで」

・・・まあ、人間から転生してまだ1時間程度しかたってないし、人間っぽい動きであっても仕方ないだろう。それにいま、この魔物の言ったことから人間と魔物は対立していると思われる。

「そうだったんですか。紛らわしいことをしてすいません。・・・あの、それで・・・」

「「お~い!」」

後ろから2人の魔物が来た。自分の話を無理やり止めに入るように。

「何かあったの?」

「その狐さんは誰なのだー?」

「私に聞かれても分からないわ・・・もしかしたら捨て子なのかも。」

・・・捨て子と言われるのも仕方ないだろう。体は小さいし、裸だし。それに草むらをかきわけてきたせいか、体は汚れているし。

「捨て子?また?」

「今日だけで3人目なのだー」

・・・3人目?どういうことなんだろう?聞いてみるか。

「・・・あの、自分に不意打ちした魔物さん」

「その呼び方は勘弁して。私はコボルト族のリナよ。どうかしたの?」

「魔物の捨て子って多いんですか?」

「いや、ほとんどいないわ。だって魔王様に育児放棄は禁止だって言われてるし・・・」

・・・もしかしたら自分と同じで転生してきたのかもしれないな。他に理由も浮かばないし。

そんなことを考えていた時だった。

 ガシッ

「えっ」

リナさんが急に自分を抱きかかえた。

「とりあえず私の村に来てもらうわ。ここに放っておくのもかわいそうだし。あ、二人はさっきとった木の実を村まで運んでくれるかしら。」

「はーい」

「分かったのだ―」

こうして、自分はリナさん達の住んでいる村に連れていかれた。

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