表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生妖狐さんのゲームのない生き方  作者: 油揚げ山盛り
16/26

第十六話 消滅の真実

「・・・まず、大魔王様を倒しに行ったあの日、何があったんですか?突然消えたって聞きましたよ。」

「ああ、そのことか・・・。人間には絶対に言わないでね。勘違いするから。」

「はい。」

・・・イザベルは真剣な表情で話し出した。今まで誰にも話さなかった思いを・・・。

「実は、自分が大魔王に頼んだことなんだ。『自分を殺して』って。・・・ずっと思っていたんだ。自分が大魔王を倒しても、自分が思っている平和にはならないんだってね。もし大魔王を倒したとすると、人間たちは立場というものを利用して、魔物達を奴隷のようにこき使うだろうと思う。でも、そんな事を自分は望んでない。自分は、人間と魔物がお互いに助け合って生きていくということを実現させたかったんだ。でも、一緒にいた仲間たちは、『魔物のいない平和な世界を目指す』とか言ってて・・・。だから、自分は死を選ぶことにしたんだ。結局、人間では自分の理想をかなえることは不可能だと分かったから。・・・こんなことをした自分が言えるわけでもないけど、人間は自分勝手な生き物だよ。自分たちがよければ後はどうでもいいなんて、そんなことが許されていいわけがない。だから・・・・・・ね。」

・・・イザベルの顔は話が進むにつれて、悲しい顔になっていた。

自分もその気持ちは分かる。でも、全てが全てではない。人間の中にだって、そう考えている人はいたはずだ。それに、なぜ仲間にちゃんと意思を伝えなかったのか。伝えていれば、少しは変わっていたかもしれないのに。

「・・・九尾狐さん。君はどう思う?人間のこと。やっぱり、自分勝手かい?」

「ええ、そうですね。特にあなたが。」

「やっぱり。自分もそう思っていたよ。この剣に封印されている間、色々考えていてね、自分はどうしたらよかったのかとか、もう後悔しかしてなかったよ。」

「話を聞いてると、仲間に自分の意思を全く伝えてないのが一番の原因だと思うんですが・・・。」

「それは、よく分かっているよ。でも、『言わなかった』じゃなくて、『言えなかった』なんだ。」

「言えなかった・・・ですか。」

「実は、自分の仲間達の親は、魔物に殺されたんだ。だから、魔物に大きな恨みと不信感をもっていてね、そんな彼らに言えなかったんだ。魔物と共生しようだなんて。言ったら彼らは自分のチームから外れていただろうね。もちろん、ラスクさんも。」

自分が思っていることを誰にも伝えることができないことが、どれだけ辛いことか。それはイザベル自身しか分からないことだっただろう。

自分はイザベルに言ってあげる助言が見つからず、ただ黙っていることしかできずにいた。

「・・・君にお願いしてもいいかい?」

「何をですか?」

「人間と魔物が共生できる世界をつくってほしい。・・・多分、君以外には出来ない。」

「・・・本当にあなたは自分勝手な人間ですね。でも、自分の夢をかなえるためにも、それを第一の目標としますよ。・・・期待に応えられるかどうかは分かりませんが。」

自分はゲームをして一生を過ごすのが夢。それならば、まずこの世界を平和にしなければならない。そうでもしない限り、ゲームは作られないだろう。この世界には、元いた世界のようなゲームは一切ないし。

「・・・ありがとう。君の夢、かなうといいね。」

イザベルは笑顔を見せた。

「イザベルさん。平和のために、もう一個の質問していいですか?」

「うん、いいよ。」

「危険な魔物の対処を教えてください。」

「・・・君の高いステータスとスキルなら、大丈夫だよ。でも、危険な人間はいるから気を付けて。」

「危険な人間?」

「うん。・・・チート人間っていうんだけどね、攻撃力とかのステータスを大幅に上げたり、スキルを好きなだけ使って攻撃したりとかするんだ。」

・・・マジですか。ゲームの無い世界にもチートはあるんですか。

「対策は?」

「スキル『引っぺがし』を使えば元の能力に戻るよ。それに、一度能力をを戻せば、チート能力を手に入れるまでに時間が相当かかるらしいから。なんか、エンコードを入れるのに時間がかかるとか言ってた気がするよ。」

・・・元いた世界となんも変わらないな。チートの使用方法。エンコード入れる努力を別の所に回せよ。

というか、そんな物が何であるのか。誰だよ、開発した奴。

「なるほど。分かりました。」

「・・・これで、自分にできることは全部したね。」

イザベルがそう言うと、イザベルの体は少しづつ浮いていった。どうやら、もうお別れの時間らしい。

自分はイザベルが見えなくなるまで、手を振った。


・・・イザベルと別れて、10分後・・・

「・・・とりあえず、大魔王様に一度、会っておこうかな。イザベルの話とかもしておきたいし。」

自分はバッグを枕替わりにして寝っ転がり、これから何をするかを考えていた。とりあえず、大魔王様に会うことがいいかなと思っている。

というか、何をしたらいいのか分からない。

人間と話し合いしても難しいだろうし、魔物達だって賛成するかどうかも分からない。

だから、とりあえず大魔王様に相談しに行こう。

それに、大魔王様の城に行く途中に、何か分かる事もあるかもしれないしね。

・・・とりあえず、今日はもう寝よう。疲れたし・・・。

自分は眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ