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最終手段

あれから三日が過ぎた。

ソフィアさんも団長も連絡はくれない。連絡がないというのは死んではいないという事だ、と前向きに捉え仕事に専念する。

その様子にシノちゃんに会う前に戻ったみたい、とフレイに苦笑いされた。


ウタが大怪我を負ったことを各国に会議室で連絡した時、ミミダナの主は激怒し俺の解雇を命じた。仕方ないかもしれないと受け入れようとしたが、国王が「あなたの国で同じケースが起きたら無傷でいられたとでも?」と返した。

ミミダナの主は黙り、俺を睨み付けたあと今回の件の解明を最優先しろ、と言って通信を切った。


国王にウタの様子を聞いたが、ソフィアから口止めされている、としか聞けなかった。



だがそろそろ限界だ。夜、足りない温もりを想うと眠れない。

俺は正式にウタと誓いを結んだ関係だ。現状を教えてくれてもいいのではないだろうか。


起き上がり寝具から着替えて医務室へ向かうと途中でダリアと会った。目が赤い。


「ダリア。もう平気なのか?」

「ご心配お掛けしました。アルゼル様、シノ様を守れず申し訳ありません…」


俯いたダリアの目から涙が溢れる。


「守るのは俺の仕事だ。俺こそお前の主を守れなくて悪かった」

「いえ…ソフィア様からアルゼル様を呼ぶように言われてるのです。一緒に医務室へ戻りましょう」

「何かあったのか?」

「何も。何もないから問題なのです」


どういう事だ、と歩きながら問う。


「ガーゴイルの槍に毒が塗られていました。体の機能を停止させる毒です。私達は解毒魔法ですぐ体から排出されましたが…」

「なるほど」

「人が持つ自然治癒力も停止させられてしまうものです。解毒薬が出来るまでシノ様はあの日のままです」


そこまで言うと、ダリアは声を詰まらせ顔を手で覆いうずくまってしまった。

先に行っててください、とか細い声で言われたのでハンカチを渡して医務室に向かう。扉の前にはソフィアさんが待っていた。膝をつこうとする俺を手で制止した。


「ダリアは…後で来るのかしら?」

「…はい」

「ダリアは今朝目覚めたの。落ち着いてから一通り話すとアルゼル様にもご説明下さいと部屋を出ていきました。」

「そうですか…」

「シノはまだ目覚めていないわ。解毒薬が出来るのを待つしかない…けど」


けど?先の言葉を待つがなかなか喋ろうとしない。


「あまり遅いと生死に関わると言いたいんですか?」

「…今全力を尽くして医者を動かしているわ。あなたが折角巡り会えた女性だもの。死なせたくない。ジークフリードも同じ気持ちだって」

「…団長も三日ほど連絡も姿も見ませんが」


それは、と喋り出した所でソフィアさんの通信機が光った。


[城に着いた。今から向かう]


一言で通信機は切れてしまったが、ソフィアさんがすごく嬉しそうに耳を動かした。


「ジークフリードは最終手段を決行する、と言ってあの日闘技場からある場所へ向かったわ」

「最終手段?どこへ?」


ウタに有効な最終手段が俺にはさっぱり検討がつかなかった。


「…誘いの滝よ」


足音が聞こえ振り向くと、団長と見たことのない白髪の女性が歩いてくるところだった。団長は女性の腰に手をあて、とても親密そうだ。


「あなたがアルゼル君?」


目の前までくると女性は優しい声で尋ねた。そうです、と答えるとパァ、と嬉しそうな楽しそうな笑顔になった。なんだかその様子は見たことがあるような気になった。

白髪白眼ではあるが、顔の作りや表情はまるで、



「初めまして。詩子がお世話になってます。


詩子の母、ミリィデリアと申します」

3日までの更新予定でしたが、10日の最終話まで予約投稿しました。

最後までお付き合い下さいませ。

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